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レキサルティ錠(ブレクスピプラゾール:統合失調症)とエビリファイの比較

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レキサルティ錠(ブレクスピプラゾール:統合失調症)とエビリファイの比較

エビリファイ錠の後継として大塚製薬が開発したレキサルティ錠(ブレクスピプラゾール)が2017年12月4日の厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において承認可否が検討されることがわかりました。

薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会(2017年12月4日)

レキサルティ錠の第Ⅲ相臨床試験データ

レキサルティ錠(ブレクスピプラゾール)1mg、2mgはセロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用及びドパミンD2受容体部分アゴニスト作用を併せ持つ薬剤です。大塚製薬としては「Serotonin-Dopamine ActivityModulator(SDAM)と呼ばれる新しい作用機序を有しています」と売り出していますが、薬理作用としてはエビリファイと非常に類似していることから、エビリファイの後継という印象です。

 

レキサルティ錠は、日本国内では「統合失調症」の適応症で承認可否が検討されますが、米国では成人の統合失調症と大うつ病補助療法という2つの適応症で2015年8月から医薬品として使用されています。

 

レキサルティ錠の第3相臨床試験データを確認してみます。

636人を対象としてレキサルティ0.25mg、2mg、4mgの各用量で投与する群とプラセボ投与群を6週間投与した時の比較データによると、2mg、4mg投与群はプラセボ群と比較して陽性・陰性症状が改善しているが、レキサルティ0.25mg群はプラセボ群と同等だったとしています。

 

もう一つの試験報告として674人を対象にレキサルティ1mg、2mg、4mgの各用量で投与する群とプラセボ投与群を6週間投与した時の比較データによると、レキサルティ4mg群がプラセボ群と比較して陽性・陰性症状の改善がみられ、2mg、1mg群もデータ上の改善が示されています

 

レキサルティ錠とエビリファイ錠の比較

 

レキサルティとエビリファイの分子構造比較

分子構造

違いを見てみるとエビリファイのCl部分がレキサルティではSを含む五員環へ変わっています

 

代謝部位

レキサルティもエビリファイもどちらもCYP2D6、CYP3A4により代謝されます。臨床試験中はグレープフルーツ、オレンジなどの皮の厚い柑橘類は避けられていました。

 

レキサルティ錠の作用部位

セロトニン5HT1A受容体およびドーパミンD2、D3受容体に対して部分作用薬、セロトニン5HT2A、5HT2B、5HT7、α1A、α1B、α1Dおよびα2Cアドレナリン受容体の阻害薬と考えられています。抗コリン作動性効果はありません。上記の幅広い阻害作用によりエビリファイよりも広域の薬理作用が検討されています。

薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会(2017年12月4日)

レキサルティ錠の第Ⅲ相臨床試験データ

半減期

エビリファイ:61時間

レキサルティ:91時間であり、活性代謝物の半減期:86時間

レキサルティ:単回投与53~67時間、反復投与71~92時間

 

活性代謝物:DM-3411

レクサルティよりも受容体への親和性は低く、脳への移行性も低いため中枢作用への寄与は小さいと考えられる。

投与14日目での未変化体に対するDM-3411のAUCの割合は23~41%

 

レキサルティの主な副作用報告(第Ⅱ相臨床試験における副作用報告)

レキサルティ:プラセボ

上気道感染(6.9%:4.8%)

精神異常(6.6%:3.2%)

体重(6.3%:0.8%)

鼻咽頭炎(5%:1.6%)

 

第三相試験における副作用報告としては

頭痛・不眠および興奮が最も一般的な有害事象として報告されています。

レキサルティ錠の第Ⅲ相臨床試験データ

レキサルティ錠の第Ⅱ相臨床試験データ

エビリファイ錠の国内臨床段階での副作用報告は

・不眠27%、神経過敏14.8%、アカシジア11.7%、振戦10.5%、不安9.6%とされていましたので、レキサルティが医薬品として認可された際は副作用頻度がどの程度改善された製品であるかが一つのポイントになりそうです。

レキサルティの主な副作用報告(追記)

日本国内:アカシジア5.7%、高プロラクチン血症4%

海外:頭痛6.3%、不眠5.7%

エビリファイ錠はプロラクチンを低下させる印象を持っていたのですが、レキサルティ錠の国内副作用報告で高プロラクチン血症4%となっておりました。このあたりは注意が必要かもしれません。

 

レキサルティ錠は現在、米国において「アルツハイマー型認知症(AD)の行動障害(アジテーション)」を適応とした第III相試験が行われており、今後さらに双極性障害Ⅰ型につても第III相試験が行われる見通しです。

 

追記)

上記内容は海外におけるレキサルティ錠に関する報告をまとめたものでした。

 

2018年1月19日、レキサルティ錠の添付文書が公開されましたので、国内情報をもとに、レキサルティ錠とエビリファイ錠との具体的な違いについて確認してみます。

 

〜セロトニン5HT1A受容体アゴニスト作用(作動薬)〜

 

・レキサルティ錠

G蛋白質への最大結合量(Emax)=60%

ヒトセロトニン5HT1A受容体への結合親和性(Ki値)=0.12

 

・エビリファイ錠

G蛋白質への最大結合量(Emax)=73%

ヒトセロトニン5HT1A受容体への結合親和性(Ki値)=1.7

薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会(2017年12月4日)

 

レキサルティ錠の第Ⅲ相臨床試験データ

G蛋白質への最大結合量とは薬固有の活性値のことで、高ければ作用が強いという意味です。結合親和性とは受容体へ結合し続ける能力でして、値が低ければ長く結合できるということを意味します。

 

メーカーの学術へ確認したところ、レキサルティ錠はエビリファイ錠に比べて固有活性は2/3程度ですが、結合親和性が10倍以上高いため総合的な薬の力価としては強くなります。という回答を得ました。

 

セロトニン5HT1A受容体作用薬は人において抗うつ・抗不安作用を発現し、統合失調症による認知機能の改善が確認されています。また抗精神薬による錐体外路系副作用の軽減も報告されています。

 

〜セロトニン5HT2A受容体アンタゴニスト作用(拮抗作用)

 

・レキサルティ錠

ED50値:4.7mg/kg

ヒトセロトニン5HT2A受容体への結合親和性(Ki値)=0.47

 

・エビリファイ錠

ED50値:21mg/kg

ヒトセロトニン5HT2A受容体への結合親和性(Ki値)=4

 

ED50とは50%の反応を惹起する用量ですので、値が低いほど効き目が強い薬と言えます。レキサルティ錠はエビリファイ錠に比べてED50もKi値も低いことからセロトニン5HT2Aを強力に抑制することが確認できます。

薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会(2017年12月4日)

 

レキサルティ錠の第Ⅲ相臨床試験データ

5HT2A受容体アンタゴニスト作用とは感情鈍磨・自発性欠如・社会引きこもり等の陰性症状を改善するとともにD2受容体拮抗作用に伴う錐体外路系副作用を軽減する働き

 

〜ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用(部分的作動薬)

 

  • レキサルティ錠

Emax:43%

レセルピン誘発DOPA蓄積最大抑制率:55%

ヒトドパミンD2受容体結合親和性(Ki値)=0.3

 

  • エビリファイ錠

Emax:61%

レセルピン誘発DOPA蓄積最大抑制率:89%

ヒトドパミンD2受容体結合親和性(Ki値)=0.34

 

レキサルティ錠はエビリファイ常に比べて固有活性が低く、Ki値が同程度です。レキサルティ錠のD2受容体へのアゴニスト作用はエビリファイより低いことがわかります。

 

コントミンなどの古くからある抗精神病薬はD2受容体拮抗作用により統合失調症の陽性症状に改善をもたらす反面、錐体外路系副作用や高プロラクチン血症といった副作用が問題となります。

 

エビリファイ錠はD2受容体のパーシャルアゴニストですので、これらのD2受容体拮抗薬における副作用を軽減する働きがありました。レキサルティ錠はD2受容体への力価がそれほど高くないと記されていますので、エビリフィ錠のような使用方法は難しいのかもしれません。

薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会(2017年12月4日)

 

レキサルティ錠の第Ⅲ相臨床試験データ

実際、D2受容体関係の副作用を確認してみると

  • エビリファイ錠

5%以上の副作用:アカシジア・振戦・流涎

1〜5%未満の副作用:プロラクチン低下

 

  • レキサルティ錠

5%以上の副作用:アカシジア

1〜5%未満の副作用:高プロラクチン血症

 

上記のように、エビリファイ錠ではプロラクチン低下が多く報告されていたのに対して、レキサルティ錠では高プロラクチン血症の頻度が増えています。このあたりがD2受容体への作動性の差があらわれている気がします。

 

以上のことから、レキサルティ錠は構造式だけをみるとエビリファイ錠に似ていますが、効能効果・副作用には明確な差があることを認識して良いかと思います。

 

追記(2018/4/18)

日本人の統合失調症患者282例にレキサルティ錠1~4mg/日を52週投与したデータ

被験者282例(短期試験98例、新規患者184例)

陽性・陰性症状の評価尺度・CGI-S平均スコアともに安定

副作用報告:鼻咽頭炎23.1%、統合失調症症状の悪化22.4%

  1. くま くま

    D2アンタゴニストをBMSの意見でパーシャルアゴニストといってるだけで
    実際は何が利いてるのかわからないと思います。

    • ojiyaku ojiyaku

      レキサルティ錠のD2受容体(in vitro)への作用に関してはアリピプラゾール(パーシャルアゴニスト)より固有活性の小さいドパミンD2受容体部分アゴニストとして作用することが開示されました。D2受容体作用薬はプロラクチン遊離を抑制することで高プロラクチン血症を回避することが可能です。しかし、レキサルティ錠のD2受容体アゴニスト作用はアリピプラゾールに比して弱いため、日本国内の副作用報告で高プロラクチン血症の発症率が4%と報告されました。このあたりがご指摘いただいたD2受容体アゴニスト作用の低下がもたらす結果かと推測いたします。

      非常に貴重なご意見ありがとうございました。

  2. こんにちは

    レキサルティとエビリファイの違いについて探していたところこちらにたどりつきました。
    薬学の知識は全くと言ってありませんが
    いま息子がエビリファイのLAI400を使用しているので息子の薬ぐらいはすこしでも知識を持てたらと頑張ってます。
    でも専門用語も多い薬学ですからもちろん主治医に頼り切ってます。

    はじめての訪問ですですが
    こちらの記事を私のブログにリプログしても(またはコピペ)してもよろしいでしょうか。
    https://kusuri-yakuzaishi.com/abilify-rexulti-brexpiprazole

    了解を得て載せたいとおもいます。
    もちろんお断りくださってかまいません。

    よろしくお願いします

    • ojiyaku ojiyaku

      リプログしていただいてかまいませんよ。

      わざわざご連絡ありがとうございます。

  3. ぺかぷう ぺかぷう

    ありがとうございました
    掲載させていただきます

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