おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

痛み止め

慢性疼痛ガイドラインにおける痛み止めの飲み薬の評価

投稿日:2018年5月19日 更新日:

慢性疼痛ガイドラインにおける痛み止めの飲み薬の評価

 

2018年、厚生労働省が監修した「慢性疼痛治療ガイドライン」が発売されました。「慢性疼痛」とは“治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み”と解釈されておりますが、慢性の痛みに関する診断、治療法等の情報が科学的根拠に基づいて整理されていない実情があります。

慢性疼痛は様々な疾患による痛みが原因となっており、病体が十分に解明されていないため診断や治療が困難となることがあります。諸外国においては有効性が確立されていても、国内では適応がないために保険適用されていない薬剤が多いという指摘があります。さらに有効性が乏しいとされている従来の鎮痛剤がいまだに投与されている実態が報告されるケースもあります。

 

2018年に発刊された「慢性疼痛治療ガイドライン」では慢性疼痛を「運動機器疼痛」「神経障害性疼痛」「頭痛・口腔顔面痛」「線維筋痛症」などの要因に分けて薬剤の使用を評価しています。

サインバルタの痛み止めとして効果

chronic-pain-guideline

chronic-pain-guideline

薬剤の推奨度

強く推奨する:1

弱く推奨する(提案する):2

カロナール500mgの痛み止めとしての効果を他剤と比較

エビデンスレベル

効果の推定値に強く確信がある:A

クオカの推定値に中程度の確信がある:B

効果の推定値に対する確信は限定的である:C

効果の推定値がほとんど確信できない:D

痛み止めとして使用されている主な薬剤の評価

 

サインバルタ

運動器疼痛:1A

神経障害性疼痛:1A

頭痛・口腔顔面痛:2C

線維筋痛症:1A

サインバルタの痛み止めとして効果

リリカ

運動器疼痛:2C

神経障害性疼痛:1A

頭痛・口腔顔面痛:2C

線維筋痛症:1A

 

トラマール

運動器疼痛:1B

神経障害性疼痛:1B

頭痛・口腔顔面痛:なし

線維筋痛症:2C

カロナール500mgの痛み止めとしての効果を他剤と比較

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

運動器疼痛:1A

神経障害性疼痛:2D

頭痛・口腔顔面痛:2B

線維筋痛症:2C

アセトアミノフェン

運動器疼痛:1A

神経障害性疼痛:2D

頭痛・口腔顔面痛:1A

線維筋痛症:2C

 

デパス

運動器疼痛:2C

緊張型頭痛:2B

 

ランドセン/リボトリール

運動器疼痛:2C

 

薬剤ごとの鎮痛効果をみるとサインバルタが様々な疼痛に効果的であると評価されているように感じました。サインバルタの薬理作用はセロトニン・ノルアドレナリンを少しずつUPさせる働きですが、この作用により脳幹から脊髄へ痛みの伝達を抑制する神経を活性化することができ、各種痛みに対して効果的な作用をすることが示唆されました。

 

-痛み止め
-NSAIDS, カロナール, サインバルタ, トラマール, リリカ, 慢性疼痛ガイドライン

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

migraine-JPN

片頭痛患者に対するCGRP受容体拮抗薬の飲み薬の有用性について(2023/8/10)

片頭痛患者に対するCGRP受容体拮抗薬の飲み薬の有用性について(2023/8/10) 日本では片頭痛の治療薬として月に1回注射を行う「CGRP受容体拮抗薬)という治療が2021年から開始され、一定の評 …

white-cap

オパルモン錠(プロレナール錠)の効きめを患者さんにお伝えする

オパルモン錠(プロレナール錠)の効きめを患者さんにお伝えする 末梢循環障害(手足のしびれや冷感)や腰部脊椎管狭窄症で非常に多用されるオパルモン錠(プロレナール錠)またはそのジェネリック医薬品(リマプロ …

P2X7-receptor

神経障害性疼痛に関するP2X7受容体拮抗薬の効果について

神経障害性疼痛に関するP2X7受容体拮抗薬の効果について   神経障害性疼痛関連の薬に関して調べていたところ、P2X7受容体拮抗薬に関する薬の開発について、旭化成ファーマとラクオリア創薬との …

tab3

神経からくる痛み止め「リリカ」の不安障害に対する効果について

神経からくる痛み止め「リリカ」の不安障害に対する効果について 2019年7月7日追記 リリカ服用による自殺リスクについて   スウェーデンの処方データ解析によると、2006~2013年にリリ …

acetaminophen-febrile-seizure

アンヒバ坐剤(アセトアミノフェン坐剤)が小児の熱性けいれんの再発を減少させる

アンヒバ坐剤(アセトアミノフェン坐剤)が小児の熱性けいれんの再発を減少させる   市立ひらかた病院からの報告によると、小児(6ヵ月~5歳)の熱性けいれん患者に対してアンヒバ坐剤(アセトアミノ …

  google adsense




2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年4月薬価改定 新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

おじさん薬剤師の働き方

how-to-work

薬剤師の育成について

how-to-bring-upo

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト




how-to-work