おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

抗血小板薬

エフィエント錠とブリリンタ錠の比較データ/プラビックスへの切り替えについての報告

投稿日:2018年2月12日 更新日:

エフィエント錠とブリリンタ錠の比較データ/プラビックスへの切り替えについての報告

 

急性心筋梗塞により経皮的冠動脈形成術(PCI治療)を行った患者さんが1年間エフィエント錠またはブリリンタ錠を服用した時の効果を比較するデータが公開されました。

被験者:急性心筋梗塞によりPCI治療を受けた1230例

治療期間:術後1年間

服用薬:エフィエント錠またはブリリンタ錠をランダムに振り分け

一次エンドポイント:1年以内の心血管死・急性心筋梗塞・脳卒中の発症リスク

エフィエント錠とブリリンタ錠の臨床比較データ

結果

一次エンドポイント

エフィエント群:6.6%

ブリリンタ群:5.7%

 

心血管死亡リスク

エフィエント群:3.3%

ブリリンタ群:3.0%

 

急性心筋梗塞リスク

エフィエント群:3.0%

ブリリンタ群:2.5%

 

脳卒中リスク

エフィエント群:1.1%

ブリリンタ群:0.7%

 

全死亡率

エフィエント群:4.7%

ブリリンタ群:4.2%

 

ステント血栓症リスク

エフィエント群:1.1%

ブリリンタ群:1.5%

 

出血リスク

エフィエント群:10.9%

ブリリンタ群:11.1%

 

結論

「急性心筋梗塞によりPCI治療を行った患者さんにおける、エフィエント錠またはブリリンタ錠の効果は同様に有効である」とまとめています。各エンドポイント発症率を確認してもても、ほとんど同じ、多少ブリリンタ錠の方がいいかなぁ程度となっています。

この報告はチェコの医療チームが報告したものですが、エフィエント錠を服用した633人のうち216人、ブリリンタ錠を服用した597人のうち265人が経済的理由によりクロピドグレル(プラビックスのジェネリック)へ切り替えを行っていました。

 

経済的理由によりエフィエントまたはブリリンタからクロピドグレルへ切り替えを行った群を、本研究群と比較したデータによると主な心血管リスク(心血管死、非致死性の心筋梗塞・脳卒中)の発症リスクが低下していたというユニークな結果となっています。

 

クロピドグレル切り替え群の心血管リスク:2.5%

本研究(エフィエントまたはブリリンタ)服用群の心血管リスク:8.5%

エフィエント錠とブリリンタ錠の臨床比較データ

さらに出血リスクに関しても

クロピドグレル切り替え群の心血管リスク:7.3%%

本研究(エフィエントまたはブリリンタ)服用群の心血管リスク:13.4%

というデータとなっており、クロピドグレルへの切り替えで出血リスクが有意に低下していました。

 

薬のはたらきだけを言いますと、クロピドグレルはプロドラッグですので、肝臓の代謝酵素量により個人差が出やすい薬であるのに対して、ブリリンタ錠はプロドラッグではありませんので、一律の効果が期待できるという印象があるのですが、本研究の付属データではクロピドグレルに軍配が上がっていました。この辺りの解釈は難しいところです。

ともあれ、メインテーマであるエフィエント錠とブリリンタ錠に関しては同等の試験結果であることが確認されました。

ketueki

ketueki

-抗血小板薬
-エフィエント, クロピドグレル, ブリリンタ, プラビックス, 切り替え, 同等

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

risk-christmas-eve

クリスマスイブの22時に心臓発作リスクが2倍近くまで上昇

クリスマスイブの22時に心臓発作リスクが2倍近くまで上昇   クリスマスや年末年始、夏休みといった長期休暇中の感情の高まり・食生活が心臓発作リスクと、どのような関係にあるかについて、スウェー …

kekkan1

クロピドグレルとワーファリンの違いはなんですか?(自分まとめ)

クロピドグレルとワーファリンの違いはなんですか?(自分まとめ) 調剤薬局で働いていると、ふと「○○について詳しくしらべてみよう」と思うことが、たまーーにあります。 今回は「自分まとめシリーズ」から「血 …

biyou_tsurutsuru

美白でトラネキサム酸を飲むことによる血栓症のリスクは?

美白でトラネキサム酸を飲むことによる血栓症のリスクは? シミや肝斑を薄く保つ目的でトラネキサム酸を長期的に服用されている方がおります。 医療用で使用する場合、トラネキサム酸は止血剤という分類です。 出 …

Antiplatelet-Anticoagulant-1

60歳以上の心血管イベント抑制にアスピリンは使わない方がよいという報告(2022/5/22)

60歳以上の心血管イベント抑制にアスピリンは使わない方がよいという報告(2022/5/22) 20年ほど前までは、「低用量アスピリン(バイアスピリン100mgなど)は1錠あたり10円未満と安くて、血液 …

fluoroquinolone-aortic-aneurysm

大動脈瘤・大動脈解離とフルオロキノロン系抗菌薬の関係について

a大動脈瘤・大動脈解離とフルオロキノロン系抗菌薬の関係について   2019年1月10日、厚生労働省は重大な副作用としてフルオロキノロン系抗菌薬に「大動脈瘤・大動脈解離」を追加すること日本製 …

  google adsense




2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年4月薬価改定 新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

おじさん薬剤師の働き方

how-to-work

薬剤師の育成について

how-to-bring-upo

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト




how-to-work