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調剤薬局でフルイトランを患者さんへお渡しするときにお伝えすること

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調剤薬局でフルイトランを患者さんへお渡しするときにお伝えすること

フルイトランはARBとの併用や合剤として高血圧患者さんへお渡しすることがあります。私が勤務する調剤薬局のお薬の説明書き(薬情)にはフルイトランやヒドロクロロチアジドなどのサイアザイド(チアジド)系利尿薬について「このお薬は利尿薬です」と記載されています。

塩分の過剰摂取と高血圧の関係

ARB(降圧剤)の違いを代謝経路とインバースアゴニストから検討する

ラシックスやダイアートなどのループ利尿薬のお薬の説明書にも同様に「このお薬は利尿薬です」と記載されています。大きな分類ではどちらも利尿薬なのですが、患者さんにとって「利尿薬=おしっこを出す薬」というイメージがあると思うと、フルイトランをお渡しするときに、いつも「利尿薬とお薬の説明書きに書いてありますけど・・・」と言い訳じみた説明をしております。

特に高齢の女性にはトイレの回数が増えることに嫌悪感を示す方もおりますので、フルイトランの初回投薬には注意をしています。そこでフルイトランやヒドロクロロチアジドを誤解なく患者さんへお伝えする方法を検討しました。

○チアジド系利尿薬がARBや食塩過剰摂取型高血圧症と相性がよい理由
ARB:RA系(レニンアンジオテンシン)を抑制する作用
食塩過剰摂取型高血圧症:塩分濃度の増加により血圧が上がってしまっているためRA系が不活性化している状態。

食塩過剰摂取型高血圧症はRA系が不活性化しています。ARBはRA系を抑制する働きをもっていますが、RA系が不活性化していては(塩分過多により抑制されていては)、ARBは十分な降圧効果を示すことができません(すでに抑制されてるRA系をARBで抑制しても期待している降圧効果はでません)。

チアジド系利尿薬は尿細管でのNa再吸収抑制して、体の外へNaを排泄させる効果があります。それにより循環血流量が減少します。通常であれば一定量の循環血流量が減少するとRA系が活性化して血流量及び血圧を上昇させます。

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チアジド系利尿薬とARBを併用していると、循環血流量低下によって活性化したRA系を更にブロックすることができるため血圧を低めに維持することが可能となります。チアジド系の用量をあげる(常用量で服用する)と低カリウム血症や高尿酸血症のリスクが増す可能性がありますが、ARBの補助として使用する場合は通常量の1/2や1/4量で十分効果を発揮するため副作用の頻度も低くなります。

~低用量フルイトランの特徴~
・通常は2~8mgが常用量のところを0.5~2mgで使用する
・Na、Clの再吸収を抑制し、脱塩・利尿作用を上げることで循環血液量を減少させる
・交感神経刺激に対する末梢血管の感受性を低下させることで降圧効果を有すると考えられている。
・フルイトラン8mgを飲むと100分以内に最大利尿を示し、利尿作用は6~7時間持続する
・蓄積尿量:データなし
・降圧効果のデータはありますが、利尿作用時間、量を示すデータなし

私独自の解釈ですが、低用量フルイトランとARBを服用した場合について以下のように想定します。(具体的な利尿量データがほとんどないため、臨床使用状況を踏まえた想定です。)

チアジド系利尿薬をごく低用量を使用していることから短時間に大量の利尿効果を感じることはなく、12時間ほどかけてじわじわ利尿作用(Na排泄作用)が持続すると想定します(2mgを単回経口投与したときの血漿中濃度より)。

チアジド系の利尿作用はラシックスのような急激な利尿作用ではないため、循環血流量の減少に伴うRA系の急激な亢進(反跳作用)は生じにくいと推測されます。またRA系が活性化したとしても併用しているARBが再度RA系を不活性化して血圧を低く維持することが可能となります。ポイントは長時間にわたりNaをじわじわ排泄し続けるというところです。

○各種ARBとチアジド系利尿薬の相性について
ARBとチアジド系利尿薬の配合剤は現在5種類が薬価収載されています。ARBによるK値上昇をチアジド系利尿薬(K値低下作用)でカバーすることで双方の副作用を補完しあう良い組み合わせと考えられています。

しかしフルイトランにはもう1つ高尿酸血症の副作用があります。以前、「ARBの違い」というテーマでも記載しましたがイルベタンとニューロタンは腎臓への移行性が高く、さらにURAT1阻害作用もあるため尿酸の再吸収を阻害する働きがあります。このためARBとチアジド系利尿薬の合剤を考える場合、K値および尿酸値という2つの副作用をカバーし合えることを考えるとイルベタンやニューロタンとチアジド系利尿薬の合剤が理想的と私は考えます。

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~低用量フルイトランを患者さんへお渡しする時にお伝えすること~
以上のことから私がフルイトランを患者さんへお渡しするときにお伝えること検討します。

・単独で降圧効果を期待するのであれば4mg~6mgを飲む薬です。(2~8mgというインタビューフォームに記載されている使用範囲を狭めて伝えることで「少ない」というニュアンスを伝えます)
・今回は少ない量を飲むという指示なので、この薬の単独での効果というよりは、他の降圧薬(ARBやACE-I)の効果を底上げ(補助、お助け)して、効き目を安定させることを目的として使用していただきます。
・「利尿剤」とは記載されていますが、通常量よりもすごく少ない量をご使用いただきますので、自覚できる程の尿量の増加を感じることはないと思います。また、じわじわと長く効くタイプの利尿剤ですので、飲んですぐに「トイレにいきたい」という利尿剤のイメージではありません。
・降圧効果の補助を目的としておりますので、血圧が少し下がることによる「めまいフラツキ」の可能性がゼロではありません。急な動作を控え、座位から立ち上がる時には注意してください。

・減塩はフルイトランの効果を押し上げることができるので効果的です。




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