おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

糖尿病

2型糖尿病患者におけるSGLT阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤の心血管疾患イベントへの影響について

投稿日:

2型糖尿病患者におけるSGLT阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤の心血管疾患イベントへの影響について

追記:2021/7/9

新規グルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体作動薬「efpeglenatide」の心血管安全性を評価したAMPLITUDEO試験が公開され、心血管リスクに加えて腎複合リスクも軽減することが示されましたので下記します。

新規GLP-1受容体作動薬「efpeglenatide」とは

アメリカドクトカゲの唾液腺から分離されたexendin-4を基本骨格としてヒト免疫グロブリンGのFc領域を結合させて製造された製剤です。

週1回注射する医薬品として臨床試験が行われています。糖尿病治療薬でありながら心血管リスク、腎複合リスクも軽減できる可能性があるとして臨床し意見が行われていました。

AMPLITUDE試験

HbA1c7%以上の2型糖尿病であり、心血管疾患の既往がある18歳以上の患者または、eGFRが25~59.9ml/分/1.73㎡であり、心血管リスクを1つ以上もつ男性50歳以上、女性55歳以上を対象として、2型糖尿病の標準治療に加えて、efpeglenatide 4mg/週1回投与群、同6mg/週1回投与群、プラセボ投与群の3群にランダムに割付らて試験が行われました。

主要評価項目:心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中のいずれかの初回発生

結果

主要評価イベント発生率

efpeglenatide投与群:189例/2717例(7%)

プラセボ投与群:125例/1359例(9.2%)

相対的にみると、efpeglenatide投与群が27%抑制されたことになります。投与開始から3カ月以内に差が開き始め、心血管イベント発生率はefpeglenatide群の方が低い結果となりました。

 

腎複合イベント

efpeglenatide投与群:353例/2717例(13%)

プラセボ投与群:250例/1359例(18.4%)

相対的に見るとefpeglenatide投与群で32%抑制されたことになります。

 

有害事象

efpeglenatide投与群:5.4%

プラセボ投与群:3.6%

でefpeglenatide投与群が有意に多かった結果となりました。主な副作用は消化器症状、膵炎などでしあ。

以上のデータよりefpeglenatideは血糖降下作用に加えて、心血管リスク・腎機能低下リスクを軽減できる作用が期待される新有効成分として期待されています。

新GLP-1受容体作動薬efpeglenatideの有効性について

以下は2018年4月29日の記載した内容です

2型糖尿病患者さんに対する血糖降剤“SGLT2阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤“について心血管疾患イベントへの影響に関するメタ解析をイギリスの研究チームが報告しました。

 

調査内容

プラセボと比較してSGLT2阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤の服用することで心血管イベントへどの程度影響するかを調査する

SGLT2阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤の心血管イベントへの影響について

被験者

2型糖尿病患者(n=17万6310例)についてメタ解析を行った。

 

評価項目

一次アウトカム:全死亡

 

結論(プラセボに対するハザード比リスク)

~全死亡率~

SGLT2阻害剤:ハザード比0.8

GLP-1作用薬:ハザード比0.88

全死亡率がSGLT2阻害剤で20%、GLP-1作用薬で12%低下していることがわかります。

 

一方で

DPP-4阻害剤には全死亡率を低下させる作用は示されませんでした。(プラセボと比較して低減効果なし)

 

以下、プラセボと比較して発症リスクを低減したデータを示します

~心血管死亡率~

SGLT2阻害剤:ハザード比0.79

GLP-1作用薬:ハザード比0.85

 

~心不全発症リスク~

SGLT2阻害剤:ハザード比0.62

SGLT2阻害薬での心血管リスク低下について40万人規模でのデータ報告(CVD-REAL2試験)

sglts-dpp4

sglts-dpp4

~不安定狭心症発症リスク~

SGLT2阻害剤:ハザード比0.86

 

有害事象の発症リスクを確認してみると

GLP-1作用薬はSGLT2阻害剤の1.8倍、DPP-4阻害剤の1.93倍のハザードリスクで有害事象が発症していました。

SGLT2阻害剤、GLP-1作用薬、DPP-4阻害剤の心血管イベントへの影響について

まとめ

ネットワークメタ解析の結果、SGLT2阻害剤およびGLP-1作用薬はDPP-4阻害剤やプラセボと比較して死亡率の低下と関連していました。DPP-4阻害剤の使用は死亡率の低下とは関連していませんでした。

メトグルコ服用と体重増減について

-糖尿病
-DPP-4阻害剤, GLP-1作用薬, SGLT2阻害剤, 不安定狭心症, 心不全, 心血管リスク, 死亡率

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

Suglat-type-1-diabates

アステラス製薬 スーグラ錠に「1型糖尿病」の適応追加申請を行う

アステラス製薬 スーグラ錠に「1型糖尿病」の適応追加申請を行う   アステラス製薬はSGLT2阻害薬スーグラ錠の効能効果に「1型糖尿病」を追加する承認申請を行いました。 スーグラ錠は腎臓近位 …

futoru

プレドニン(ステロイド)を飲み続けると太る複数の理由について

プレドニン(ステロイド)を飲み続けると太る複数の理由について   プレドニンなどのステロイド薬を飲み続けると、少しずつ体重が増えていく方がおります。この理由には複数の要因があるようなので、プ …

OZEMPiC

オゼンピック皮下注が1月26日に再承認審査

オゼンピック皮下注が1月26日に再承認審査   薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会が1月26日に行われます。新薬2製品が審議される予定です。 オゼンピック皮下注2mg 対象疾患:2型糖尿病 …

type2-diabetes-propecia

アボルブ・ザガーロ・プロペシアを飲むと糖尿病発症リスクが1.3倍増加する?

アボルブ・ザガーロ・プロペシアを飲むと糖尿病発症リスクが1.3倍増加する?   イギリス・台湾での大規模臨床データによると前立腺肥大症治療薬アボルブ・男性型脱毛症治療薬ザガーロ・プロペシアの …

linzess-chronic

7月27日リンゼス錠に慢性便秘症の効能追加/フェブリクに小児用量/トラディアンス承認可否が検討

7月27日リンゼス錠に慢性便秘症の効能追加/フェブリクに小児用量/トラディアンス承認可否が検討   厚生労働省は2018年7月27日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において以下の品目の審 …

  google adsense




2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年4月薬価改定 新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

おじさん薬剤師の働き方

how-to-work

薬剤師の育成について

how-to-bring-upo

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト




how-to-work