おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

調剤方法 調剤薬局

調剤薬局でのおじさん薬剤師の働き方~失敗談・学習方法・注意点など~

投稿日:2023年3月19日 更新日:

調剤薬局でのおじさん薬剤師の働き方~失敗談・学習方法・注意点など~

追記:2023年3月19日

調剤薬局勤務の薬剤師の日常業務において、ChatGPTによる文章作成機能を利用する参考例を以下に記載します。

Chat GPTとは

Chat GPTとはAIが人間と同等またはそれ以上のパフォーマンスで文章を生成してくれるウェブサイトのことです。

例えばですが、Chat GPTに対して「アムロジピンの薬効・薬物動態を5歳児がわかるように説明して」と尋ねると以下の回答が得られます。

アムロジピンは、高血圧や心臓の病気を治療するお薬です。このお薬は、血管を広げる効果があるため、血圧を下げたり、心臓に負担をかけずに血液を流すことができます。

アムロジピンは、お腹の中で飲んだら、体の中に吸収されて血液に乗って、心臓や血管に届きます。そして、血管を広げる効果が現れて、血圧を下げたり、心臓に負担をかけずに血液を流すことができるようになります。

このお薬は、一回飲むだけで、長時間効果が持続するので、毎日一回飲むだけで治療ができます。ただし、お薬を飲む時には、お医者さんが指示した量や時間通りに正しく飲むことがとても大切です。

お薬を飲むと、病気が治るわけではありませんが、お医者さんの指示通りに正しく飲むことで、病気を治療するための力を強くすることができます。また、お薬を飲むことで、病気の症状が改善されて、元気に過ごすことができるようになります。

以上のように、アムロジピンは血管を広げる効果があり、血圧を下げたり、心臓に負担をかけずに血液を流すことができるお薬です。毎日一回飲むだけで長時間効果が持続するので、お医者さんが指示した量や時間通りに正しく飲むことが大切です。

さらに例をあげます。「ロキソプロフェンNa錠の薬効と副作用、使用上の注意点を5歳児にわかるように詳しく説明して」とChat GPTに背質問すると以下の回答が得られます。

ロキソプロフェンNa錠は、痛みや炎症を和らげるお薬です。お医者さんが処方した量や時間通りに正しく飲むことが大切で、アレルギーがある場合や体調が悪化した場合には、すぐにお医者さんに相談するようにしましょう。副作用にはお腹が痛くなったり、吐き気や下痢などの症状が起こることがありますが、アレルギー反応が起こる場合もあるため、注意が必要です。

 

例えばですが、薬学部で習った専門用語ですとか、今日の治療薬に書いてある「薬理作用」を患者様へお伝えするときなどに、Chat GPTに「わかりやすく説明して」と尋ねることが臨床現場において役に立つ可能性を秘めていると私は感じています。

 

更に「Do処方が続く患者様の薬歴」を記載する際にも、Chat GPTは一役買うことができます。

例えばモーラステープが毎回処方されている患者様の薬歴がマンネリ化していることを想定します。

Chat GPTに対して「ケトプロフェンテープを患者様へ投薬した後の薬歴を3パターン書いて 副作用の説明は毎回違う内容にして」と尋ねます。

すると以下の回答が得られます。

【薬歴1】 患者様は、肩の痛みを訴えて来院されました。ケトプロフェンテープが処方され、1日1回、痛みのある部位に貼るように指示されました。このお薬は、痛みや腫れを緩和するために処方されています。副作用として、使用中に皮膚のかゆみや赤みが出ることがありますので注意してください。

【薬歴2】 患者様は、膝の痛みを訴えて来院されました。ケトプロフェンテープが処方され、1日1回、痛みのある部位に貼るように指示されました。このお薬は、痛みや腫れを緩和するために処方されています。副作用として、使用中に皮膚のかぶれが出ることがあります。この場合は、使用を中止して医師に相談してください。

【薬歴3】 患者様は、腰痛を訴えて来院されました。ケトプロフェンテープが処方され、1日1回、痛みのある部位に貼るように指示されました。このお薬は、痛みや腫れを緩和するために処方されています。副作用として、使用中に皮膚が赤く腫れることがあります。この場合は、使用を中止して医師に相談してください。また、このお薬は短期間で使用することが推奨されており、長期使用は避けるように指示されています。

さらに具体例を記します。

Chat GPTに対して「アムロジピン錠を患者様へ投薬した後の薬歴を3パターン書いて 減塩に対するコメントを添えて」と尋ねると以下の回答が得られます。

【パターン1】 患者様にアムロジピン錠を処方しました。投薬後、血圧が下がりやすくなる可能性がありますのでめまいふらつきに注意すること。減塩が良いですね。また、今後気温が上がってきますので水分補給もしっかりと行いましょう。

【パターン2】 アムロジピン錠を処方しました。血圧を下げる効果がありますが、塩分を過剰に摂取すると効果が弱まってしまうことがあります。減塩には気をつけて、塩分の多い食品は控えるようにしましょう。また、季節の変わり目には体調が崩れやすくなることがありますので、十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

【パターン3】 患者様にアムロジピン錠を投薬しました。減塩が血圧に良い影響を与えることが知られていますので、今後は食事内容にも注意してください。また、気温の変化によって血圧も影響を受けることがあります。暑い日には水分をこまめに補給するように心がけましょう。

どうでしょうか、場合によっては自分で文書の一部分を改善する必要もあるのですが、ゼロから自分で考えるよりは、Chat GPTにベースのテンプレートを作ってもらうことが有益に感じます。

必要な場合はChat GPTをご活用ください。

 

以下に、私が考える「調剤薬局薬剤師の働き方」についてを記しています。

 

おじさん薬剤師でございます。

調剤薬局で勤務するようになって数十年、過去のさまざまな失敗から、おじさん薬剤師が調剤薬局でうまく?立ち回るために日々考えている事、継続して実践していることを文章にまとめてみました。2万文字を超える内容となっておりますので、お時間のある時にお読みいただければ幸いです。

 

新人薬剤師さん、これから調剤薬局への転職を希望されている薬剤師さん、薬局長やエリアマネージャーなどの管理職をされていて後進の育成をお考えの薬剤師さん、ギクシャクした環境で働かれている薬剤師さん、お悩みを抱えながら働かれている薬剤師さん、なかなか店舗の歯車として活躍できない薬剤師さんなどなど、おじさん薬剤師の失敗談・立ち回り術・勉強方法が皆様のお力になれれば幸いです。

「三方よし(さんぽうよし)」の考え方

江戸時代中期の近江商人の考え方に「三方よし:買い手よし、売り手よし、世間よし」という言葉があります。売り手と買い手がともに満足し、さらに社会貢献もできるのが良い商い(あきない)であるという心得を意味しています。

私は調剤薬局勤務で心に抱いていることは
「三方よし:患者様よし、病院よし、薬局よし」
という気持ちを忘れないぞ!
ということです。

患者様にとって病院や薬局は「できれば行きたくない場所」です。しかし、自分や家族の体調を改善させるために、「仕方がないので行くかぁ・・・支払い高いなぁ・・・」といったいわゆる「マイナス思考の場所」だと考えています。

調剤薬局は「長い待ち時間を終えて病院での治療を終え、病院代を支払った患者様」が薬をもらいに足を運ぶ場所です。疲れ切った患者様も多くいらっしゃるでしょう。そのような患者様に対して、
「こんにちは。処方箋をお預かりします。お薬手帳をお持ちですか?」というフレーズで業務を開始する場所です。ガソリンスタンドやデパートの開店時のように「あかるく・元気な声掛け」を一律に行うことが毎回の正解とは限りません。

1:「患者様よし」「病院よし」の在り方について

健康状態の把握や治療方針については、既に病院にて必要要件は満たされています。
ここで言う「患者様よし」とは、薬局から帰る患者様が「今日は〇〇だったわ(^^)」と笑顔でお帰りいただけるかどうかです。

・とにかく早く帰りたい
・できるだけ薬代を安くしたい
・効く薬を出してほしい
・飲みやすい薬(剤形)で薬をもらいたい
・一包化してほしい
・お薬カレンダーがほしい
・薬が〇日分あまっているから調整してほしい
・ちょっと話を聞いてほしい

などなど患者様の需要は様々かと思います。
「患者様よし」という環境を作るには「患者様への声掛け・観察・状況説明」を心がけること必要と考えます。(具体例は「投薬」項目に記します)

 

患者様にとって待ち時間は長いものです。自分の薬が現在どの段階まで出来上がっているのか、処方箋内容にエラーは無いのか、最終的に何時になったら帰れるのといった不確実の要素が待ち時間の体感を長くさせる要因です。

 

薬局が混み合っている場合や、調剤に時間を要する処方内容の場合は、とりわけ患者様への配慮が必要となります。

最善を尽くして患者様へお薬をお渡しし終え、患者様が帰路に就く際に
「次回もこの薬局へ足を運ぼう」と思っていただける環境づくりが、「経営面における薬局よし」の正のスパイラルにつながります。

貼り薬が剥がれたら?貼ったまま入浴は?切って使える?貼り忘れたら?(エクセルダウンロードあり)

国が推進している健康サポート薬局や地域連携薬局などは「患者様への関わりをこれまで以上に手厚くした薬局像」というようにも解釈もできます。これら、国が推進している薬局像は、店舗設備や個々の労働力として超えなければならないハードルはいくつもありますが、患者様満足度UP&薬局収益UPというダブルウインの理想形かもしれません。

 

「病院よし」の在り方に関しては、薬局にて患者様から病院の悪口がでないことです。
・今日は病院が混んでいた
・病院の先生がイライラしていた
・病院の先生が話を聞いてくれなかった
・検査で〇万円もかかった
・出してほしいといった薬を出してくれていない

 

基本的に病院は「行きたくない場所」ですので、ある程度の不満は致しい方ないのですが、それを声に出す患者様を放っておくことはできません。その声が連鎖すると思うとゾッとします。とかく今はSNSの時代ですので、病院の悪口・不評は広がると、薬局の経営に直で影響します。

 

「患者様が次回も病院へ足を運ぶ」ことが「病院よし」の原則ですので、薬局内で“病院”の不満を口にする患者様がおられた場合は、病院のフォローを必ず行います。

 

病院が混んでいたのであれば、「連休明けだった、週明けだった、混む曜日だった、人気の先生が外来にいた」など、なにがしかの理由を伝えて、次回以降に混まない状態となるようお役に立てる情報を提供することができます。

 

「病院の先生に対する不満」に関しては、ヒトとヒトですので、合う合わないはどうしてもあるわけですが、「ヒトとしての特徴」と「医師としての腕」を分けて患者様へお伝えするようにしています。〇〇先生の勉強会・講演会などの実績を伝えると医師としての人柄はともかく「医師としての腕」について患者様は納得してくれることが多い印象です。

 

調剤薬局は、病院を受診する患者様がいらっしゃって、初めて経営が成り立ちますので、とにかく「病院よし」となるよう、病院の悪口が聞こえたら、その火消しに走ることを心にとめております。

ここまでが「患者様よし」「病院よし」についてです。「薬局よし」とするための序章と考えております。

それでは、以下に「薬局よし」の環境づくりについて私の心構え・考え方・過去の失敗談から学んだことについて「薬識」「調剤」「監査」「投薬」「薬歴」という5つのカテゴリーに分けて、日常業務の具体例を織り交ぜながら記載いたします。

 

2:「薬局よし」の在り方について

調剤薬局は“こぢんまり“とした店舗が多く、少人数で毎日同じ顔触れで働く業種であるため、人間関係の構築が良質な職場環境へとつながります。裏を返せば離職率が高くスタッフがコロコロ入れ替わる店舗ではコミュニケーション・情報伝達がうまくいかずにヤキモキ・イライラするケースが起こりえます。スタッフ間のイライラは患者様にも伝わりますので「薬局よし」「患者様よし」の環境づくりには程遠いものとなります。

 

店舗スタッフ(薬剤師・事務員)との人間関係に関しては
“自分と他者”
“他者と他者”
という関係がありますが、まず取り組むべきは“自分と他者”の関係を良質なものにすることです。人間関係の構築において自分が努力すべきことは
“スタッフからの信頼を勝ち取ること“です。
複数のスタッフがいる中で「〇〇さんに相談しよう」と思ってもらえる人を目指すことです。

 

ここでのポイントは「自分が考える“私”の力量」「他者が思っている“私”の力量」をできるだけ合致させることを目指します。

 

少し表現がしにくい案件ですので補足します。

「自分が考える自己評価が“高い”」にも関わらず「他者が思っている“私”の評価が“低い”人」
(自分は「できる」と思っているが、他者から見ると「そうでもない」と思われている状況)
この状況は、他者からしてみると「あの人(私)はプライドだけ高いのに実力が伴っていない」と思われがちです。はたから見ていて痛々しい感じとなり人間関係の構築が難しいタイプの一つと考えます。

「自分が考える自己評価が“低い”」にも関わらず「他者が思っている“私”の評価が“高い”人」
(自分は「できません」と思っているが、他者から見ると「できるのにねぇ」と思われている状況)
この状況は、他者からしてみると「あの人(私)は実力を出し切っていない(さぼっている)」と思われがちです。「他者からの期待に応えないタイプ」とも表現できるかと思います。この場合、他者から「ズルい人」と思われるケースがあり、人間関係の構築が難しいかと思います。

 

私の考える理想とイメージとしては「薬剤師が100人いるとして、私は上位〇%くらいかな」と自分で思っていると同時に、他者からも同程度に思われている人物を目指す作業となります。

 

そのためには行うことは、闇雲にではなく「相応の自助努力を続けること」と私は考えます。「続けること」が大切です。一定の場所に到達して自助努力を怠ると「〇〇までしかわからない人」「努力をやめた人」という印象となります。少しずつでも「自助努力を続けること」が、何よりも大切です。

以下に私が考える「薬剤師として信頼を得るための自助努力」について、
・薬識
・調剤
・監査
・投薬
・薬歴
という5項目にわけて、それぞれ具体的に取り組んでいる事を記していきます。
注)カンサという漢字については「監査or 鑑査」を書き分けることはせず、「監査」で統一して記載することをご理解お願いいたします。

薬識

薬に関する知識をどのように勉強していくか・・・
「何」の「どこ」を「どれだけ深く」見るかについて考えてみます。

私の場合、薬剤師になりたての頃は「薬の効きめ」に目が行きがちでした。

 

とかく、薬剤師になりたての頃、私は暇があれば「今日の治療薬」を読んでいました。「今日の治療薬」には薬効ごとに、それぞれ薬理作用が書いてあり、“薬の分類“を把握するには最適な書物だと考えています。また医師が「〇〇の治療をする上で使えそうな薬は・・・」と探すうえでも最適な書物だと思います。

 

しかし、「薬の効きめ」だけで言いますと、調剤薬局で患者様へお渡しする「薬情(薬の説明書き)」におおむね書いてあります。9割の患者様は「薬情」に書いてあることをお伝えすると納得されます。もっと言いますと、初めて飲む薬の効果については、診察時に医師から説明されるので患者様が薬局でわざわざ聞かなくても大丈夫とも言えます。

今の私が考える「調剤薬局勤務の薬剤師が必要な知識」すなわち「薬識」とは
・患者様が死なないこと
・安全に薬の使用をスタートできること
・「飲む意味がある薬」と患者様に理解してもらって、続けていただくこと

という3点です。

 

~患者様が死なないこと~

併用禁忌・疾患禁忌を見落とさないことです。これにつきます。
正直言いまして、医師・看護師・同僚の薬剤師・患者様から「併用禁忌・疾患禁忌を見落とさない薬剤師」と認知してもらえるのであれば、多少性格に難があったとしても、多少怠け癖があったとしても、“薬剤師としての一定の評価”を得らえれると私は考えます。

 

店舗に在庫している医薬品500~1500品目について、網羅的に「併用禁忌・疾患禁忌」を把握することは非常に大変な作業であり、例えば知識ゼロの状態から取り組むとなると、考えるだけで「やめよっかなぁ」と思ってしまいます。

 

以下に私が取り組んできた方法を記します。
・配属されている店舗で使用頻度が多い上位30品目について、添付文書をサラっと見ます。
・覚えることは併用禁忌・疾患禁忌が「ある」か「ない」かだけです。
例えばムコスタ錠100mgの添付文書を確認してみると

「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」

とだけ書かれています。ムコスタ錠100mgは「なし」と覚えます。

次にPL配合顆粒の添付文書を確認してみます。

PL

PL

なんかいっぱい書いてあります。「閉塞隅角緑内障」「前立腺肥大症」「2歳未満の乳幼児」
という文言を確認しますが、覚える気はありません。「あり」とだけ覚えます。

 

ポイントは「自分ならば全部覚えられる」という自負を持たず、「ある」か「なし」だけに徹して添付文書を確認するだけです。

この作業を、店舗で使用量の多い30品目だけに限定して行います。これだけです。

インターネットで「医療用医薬品の添付文書情報」と検索すれば添付文書が閲覧できるホームページを開くことができます。
使用量の多い上位30品目名をそれぞれ検索窓にいれて調べていきます。
30分もあれば終わるかと思います。

 

あとは、日常業務中で構いませんので、「ある」と暗記した薬が処方された時に、店舗に配置してある「今日の治療薬」や店舗で使用している「電子薬歴の添付文書情報」をチラッと見てから、併用薬・相互作用チェックを行います。

「ある」としか暗記していませんので、開始当初の時期は「〇〇と△△が併用禁忌」と頭に入っていませんので、同じ薬について何度も「今日の治療薬」や「電子薬歴の添付文書情報」を開いて確認することがあるかもしれませんが、構いません。

 

使用頻度が多ければ多い薬であるほど、何度も調べることになりますので、そのうち頭に入るはずです。手間を惜しまず「ある」と覚えた薬を何度も調べます。

さて、このようにして使用量が多い30品目については併用禁忌・疾患禁忌対策を行う習慣が、なんとなく身についてきたかなぁとします。

 

上記のような作業をご提案した私の本質的な狙いをお伝えします。
「添付文書を見直す習慣」
をご自身の習慣として取り入れていただきたいと真に思っているためです。

添付文書の「併用禁忌・疾患禁忌」欄は常に更新されています。
例えば2021年2月にNSAIDS内服薬全般について、「妊娠後期の女性」が禁忌対象として追加されました。
また、2019年には抗コリン薬に関して、緑内障禁忌→「閉塞隅角緑内障禁忌」へ禁忌事項が変更となりました。

このように、添付文書は常に改訂を繰り返していますので、「添付文書を見直す習慣」が「ある」か「ない」かという点が最新の情報を取り入れる手段と私は感じています。

 

このようにして30品目について併用禁忌・疾患禁忌」が「ある」か「ない」かを身に着けることができれば、その後は少しずつでも構いませんので、その品目数を増やしていく「自助努力を続けていく」ことが「スタッフからの信頼」につながるはずです。

「いやいや、上位30品目くらいなら頭に入っているのよ、そうじゃなくて店舗に在庫している500~1500品目について網羅的に併用禁忌・疾患禁忌を調べる(覚える)方法はないかね?」

とお考えの皆様へ以下をご提案いたします。

インターネットで「医療用医薬品の添付文書情報」と検索して一番上に表示さえるサイトをクリックして以下の画面を表示してください。

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緑矢印部分で示した「その他の検索条件指定」をクリックします。

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すると上図のように拡大表示されます。

例えばですが、薬効分類(赤矢印の部分)から
「解熱鎮痛消炎剤」
を選択し、

青矢印の部分から
「禁忌/原則禁忌」
を☑(チェック)して

黄色矢印をクリックして
「10件ずつ」→「100件ずつ」へ変更後に

「検索実行」(黒矢印)をクリックします。

 

すると以下のように「消炎鎮痛剤」で「禁忌/原則禁忌」がある医薬品が表示されます。

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「271件もある!」と思うかもしれませんが、実際は先発医薬品とジェネリック医薬品のよ
うな同一成分が多数含まれていますので、クリックする意味がある品目数でいうと1/5~1/10程度かと思います。

さらに、実際に医薬品をクリックしてみると
「〇〇に対して過敏症の既往歴のある患者」
しか書かれていないことも多数あります。

 

この検索方法には「注射薬」もリストアップされますので、調剤薬局勤務の方にとっては、そのあたりも除外できるかと思います。

上記方法を用いますと、薬効分類ごとに、あるいみでは網羅的に「併用禁忌・疾患禁忌」を確認することができるかと考えます。

例えば、門前医院が「消化器内科」であれば、薬効分類を「消化器官用薬」と設定して検索できますし、門前医院が「呼吸器科であれば、薬効分類を「呼吸器科用薬」と設定して検索することで、薬識の幅を増やすことができるのではと考えております。

 

~安全に薬の使用をスタートできること~

認知症治療薬のアリセプトD錠は1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgへ増量する薬です。
開始量を守らないで5mgからスタートすると、胃腸障害や精神神経系の副作用が強めに現れてしまって、内服中止→治療ストップとなってしまうことがあります。

 

有効な治療を長期的に行うためには、薬の飲み始め(初期量)が非常に大切です。

さらに、調剤薬局は保険請求によって収入の7~9割を得ていますので、アリセプトD初回処方において理由もなく5mgでお渡ししてしまった場合は、保険請求の査定を受ける可能性も十分にあります。

 

そこで、患者様のためにも調剤薬局のためにも初期量が設定されている薬は初期量をしっかり守る意識を用いましょう。

以下に、初期量が設定されている医薬品の網羅的な検索方法を記します。

今回も「医療用医薬品の添付文書情報」サイトを使用します。

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「その他検索条件指定」(緑矢印)をクリックします。

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すると、上の図のように拡大表示されます。

例えばですが、薬効分類(赤矢印の部分)から
「中枢神経系用薬」
を選択し、

「全文検索(文書内全体を対象)」(青矢印の部分)をクリックして「用法及び用量」を選びます。

次に、緑矢印部分に「開始」と入力します。

黄色矢印をクリックして
「10件ずつ」→「100件ずつ」へ変更後に

「検索実行」(黒矢印)をクリックします。

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上図のように入力した後に「検索実行」をクリックします。

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すると、上図のように開始量がある「中枢神経系用薬」が表示されます。「462件!」と表示されていますが、GEや注射薬を含むことにご留意ください。

 

現実的な話をしますと、開始量がある医薬品は1500品目程度(先発・GE含む)ありまして、医薬品全体で言いますと1/10程度に該当します。そのうち「中枢神経系用薬(認知症治療薬や抗てんかん薬)」で約1/3を占め、「循環器官用薬(降圧剤)」約1/3程度をしめます。

 

ソラナックス錠やマイスリー錠のように「高齢者」のみに対して「初期量」が設定されている医薬品もあるので、注意が必要となります。

以上の方法により、初期量がある医薬品であることを認識して、初めてお飲みいただく薬を患者様へお渡しすることができれば、安全な医療・継続的な医療のスタートをきることができると私は考えます。

~「飲む意味がある薬」と患者様に理解してもらって、続けていただくこと~

定期薬とて使用している降圧剤や血糖降下剤、鎮痛剤などに関しては飲み忘れなく使用を続けていただいて、症状が悪化していないのであれば、それが理想です。

 

その過程で、もし患者様から
「〇〇という薬と△△という薬はどちらも血圧の薬だけど違いはなに?」
「□□という薬を飲み続けていいの?飲み続けて大丈夫?」
「☆☆薬は1回飲んだらどれくらい効き目が続くの?」

といった感じで、ご質問をいただくことが時折あります。

「自分が飲んでいる薬を知りたい」という欲求が生じた時が
「飲む意味がある薬」と患者様にご理解いただくチャンスです。

 

このタイミングは患者様にとっても、薬剤師にとってもチャンスと私は考えています。

 

患者様にとっては「知りたい欲求を満たす」チャンスですが、薬剤師にとっては「飲む意味がある薬」と患者様にご理解いただくチャンスでもあり、もしかしたらですが「顔や名前を覚えてもらえるチャンス」となるかもしれません。

患者様からご質問をいただいたときに、いかにして「患者様の心が動くような言葉」をお伝えすることができるかがポイントです。

 

「薬の作用」について質問をしてくれた患者様は、もしかしたら自宅のインターネットで、すでに自分で下調べをしているかもしれません。その上で調剤薬局の薬剤師に「聞いてみよう」と思っている可能性が一定数あることを想定します。

私は、その期待を超える「回答」をしたときに「患者様の心が動く」のではないかと感じています。

以下に私の薬の勉強方法(どこの何を見るか)を記します。

医師や看護師は添付文書を見る。
薬剤師はインタビューフォームの要点を読み込む。

ということで、私はインタビューフォームの必要部分をかいつまみ、インタービューフォームに記載されている文言を「患者様へお届けする言葉に変換」して、自分の頭の引き出しにしまうという作業を行っています。

インタービューフォームのページ数は医薬品ごとに異なりますが、内服薬の場合は、だいたい50~150ページくらいあるかなぁと感じています。

私が必ず読む部分は極一部です。
1:「開発の経緯」
インタビューフォームを開くと、「目次」の次に「開発の経緯/治療学的特性」が記載されています。この「開発の経緯/治療学的特性」は必読です。

「開発の経緯」には、既存薬とは異なる狙いをもって「開発」に製薬会社が製造に挑み、〇という薬理作用をもった医薬品の製造に成功したこと、発売後に適応症が追加になったこと、製品名をマイナーチェンジしたこと、などなど
薬理作用を知るだけでなく、他の薬との違い、メーカーとしてアピールポイントが記されています。

 

そのため、患者様から「〇〇という薬ってどんな薬?」とご質問をいただいたときに、インタビューフォームの「開発の経緯」を読んでいれば、あとは「患者様へお伝えする言葉」に変換して説明するだけで、十分なお答えができると思います。

 

もしお時間があれば、店舗での使用頻度が多い(メインで使用されている)医薬品について、1品目でも2品目でもインタビューフォームの「開発の経緯」を一読していただきたいです。「ほほーっ」と感じるポイントがあるかもしれません。

ここでは2つほどインタービューフォームの「開発の経緯/治療学的特性」を要約してみます。

ロキソニン錠
鎮痛・抗炎症・解熱作用は強く、消化管障害作用は弱い鎮痛・抗炎症・解熱剤の開発を目的として開発さた。
ロキソプロフェンNa水和物が消化管障害作用は比較的弱いにもかかわらず、鎮痛・抗炎症作用がつよく、物性的にも安定な化合物であることが明らかとなった。

消化管より速やかに吸収され、すぐに鎮痛・抗炎症・解熱作用を発揮する。
本剤は生体内で活性体に変換された後に作用を示すプロドラッグである。

PL配合顆粒
アスピリンに比し胃障害等の副作用が少ないサリチルアミドをアスピリンに替えて配合した。

フェナセチンの生体内活性代謝物であり,毒性が弱く副作用が少ないといわれるアセトアミノフェンをフェナセチンに替えて配合した。

抗ヒスタミン作用のほか副交感神経抑制作用を有し,しかも鎮痛効果の増強作用があるといわれているプロメタジンメチレンジサリチル酸塩をジフェンヒドラミン塩酸塩,クロルフェニラミンマレイン酸塩に替えて配合した。

といった感じです。どうでしょうか、私はPL配合顆粒の「開発の経緯」を初めて目にしたとき、何気なく手に取っていた“あのPL配合顆粒”の各成分に、「それぞれ明確な選定理由があったとは!」と、心が動いたことを記憶しております。

 

インタービューフォームには「開発の経緯」に続いて「製品の治療学的・製剤学的特性」が記載されています。
この部分には「薬理作用」「薬物動態」「副作用」などの概要がギュッと詰まって記されているのでサラーっと見ます。

 

「開発の経緯/治療学的特性」を読み終えると、私の場合は「薬効薬理」まで一気に進みます。
薬効薬理には「図入り」で薬理作用が解説されていることが多く、薬理作用をイメージしやすいので助かるなぁと私は感じています。

(いつのころからかは定かではありませんが、新しい薬のインタビューフォームの薬効薬理欄には薬理作用の図が表記されるようになっているので、助かります)

 

次いで、「食事の影響」まで進みます。
添付文書では割愛されることが多いのですが、インタビューフォームには必ず「食事の影響」が「ある」か「ない」かが記されています。
インタビューフォームを開いている状態でパソコンのキーボードの「Ctr + F」を押すと「検索窓」が表示されますので、「薬効薬理」「食事の影響」といったワードで検索すると、該当部分をピンポイントで検索することができて便利です。

私がインタビューフォームから得る情報はこの程度です。

 

しいて言えば、錠剤を粉砕できるか?半錠にしていいか?分包したら何カ月まで大丈夫か?といった安定性試験情報について、必要な時(初めて粉砕・分包・半錠にするときなど)に確認する感じです。

私としては、上記以外の情報に関しては、添付文書を見ればいいかなぁという認識でおります。

 

薬の効果時間についての調べ方
患者様から「この薬を1回のんだらどれくらい効きめが続くの?」というご質問をいただくことが時折あります。

「〇分後(時間後)に効き目が出始め、△時間続きます」
という具体的な回答を患者様は求めています。

もちろん個人差があることですので、一般的な臨床データ(平均値)でしかお答えできないことはご了承いただいた上で、以下のこと調べて患者様へお答えします。

 

まずは、ご質問いただいた薬について、定常状態が「ある」か「ない」を判別します。
ここでは例として「ロキソニン錠」「マイスリー錠」「アムロジン錠」の3剤について定常状態が「ある」か「ない」かを確認します。

 

注意)定常状態とは血液中に入ってくる薬の量と、尿や便として体外へ出ていく薬の量がおおむね等しくなっており、薬の効き目が一定に保たれている状態をいいます。

定常状態があるか、ないかを調べる式は
投与間隔 ÷ 半減期 < 4 (定数を3と考える方もおります)

という式です。いきなり式がでてくると「あー、昔習ったかも」という感じにはなりますが、無理やり暗記したとしても、患者様を目の前にすると「パッ」と頭に浮かばないですよね。
私はこの式を丸暗記はしません。意味を考えて毎回思い出しています。

 

この式の意味を私は以下のように暗記しています。
・1日何回飲む薬かな?
・1回飲んだ後、体の中で何回分解されるかな?

 

という感じです。
まず、1日何回飲む薬かな?ですが、ロキソニン錠であれば1日3回まで、マイスリー錠やアムロジン錠は1日1回飲む薬です(アムロジンは1日2回で使用しているケースもあります)

次に、1回飲んだ後、体の中で何回分解されるかな?ですが、これは半減期を何回ある通過するかな?という意味です。(半減期:量が半分になるまでにかかる時間)

ロキソニン錠は1日3回飲む薬ですので、1日を24時間とすると、8時間に1回飲むことができる薬と考えます。
(実際には朝昼夕で飲む場合5時間ごとに飲んでいる方もおりますので、その計算はあとで行います)
ロキソニン錠の半減期は約1.5時間です。

 

このことから、ロキソニン錠を1回飲んだ後、次に飲むまでの8時間の間に半減期(半分になるまでの時間)が8÷1.5=5.3回と計算できます。

イメージとしては1回ロキソニン錠を飲んだ時点の体内のロキソニン量を100とした場合、1.5時間後には50となり、3時間後には25となり、4.5時間後には12.5となり、6時間後には6.25となり、7.5時間後には3.125となるという意味です。

 

どのあたり(半減期を何回経過した段階)まで薬の効果が続くかなぁ・・・
3~4回の半減期を経過したら薬の効き目はなくなるだろうなぁ・・・と私は考えます。
ここでは「4回」半減期を経過したら(100→6.25まで減ったら)効き目がなくなると想定します。
最初に記載しました式を、もう一度記載します。

投与間隔 ÷ 半減期 < 4 (定数を3と考える方もおります)

最初に上記の式を記載した時と比較して、なんとなくですが、イメージしやすくなっていましたら幸いです。

 

上記の式の計算値が4より小さければ、薬の効果は「なくなる」と考えます。言い換えますと「今飲んだ薬の効果は、次に飲むまでに効果が切れる」とも言い換えられます。

投与間隔 ÷ 半減期 < 4 (回)(定常状態がない薬)

上記の式を満たす薬は「定常状態がない」=効き目が持続しない、薬の効果が切れる

というイメージとなります。1日3回、8時間に1回ロキソニン錠を飲む方は、次にロキソニン錠を飲むまでに薬の効果が切れているという解釈となります。

では例にありました「ロキソニン錠を5時間ごとに飲む方」についてロキソニン錠の持続効果を確認します。

5÷1.5=3.3(回)<4

4より小さいですね。一時的に定常状態あり?になります?という状態となります。

 

朝7時に飲んだロキソニン錠(100%)の効果が、昼にロキソニン錠を飲む直前までに(10~12.5%)まで減量しているものの、かろうじて残っているという状況です。この状況で昼食後(12時)にロキソニン錠を飲みますので、(100~110%)まで回復します。夕方、ロキソニン錠を飲む直前までに体内のロキソニン量は(12~14%)まで減少しているものの、かろうじて残っています。この状況で夕食後にロキソニン錠を飲むと(100~115%)まで回復します。

定常状態?となるのはここまでです。17時にロキソニン錠を飲んだ後、次にロキソニン錠を飲むのは翌日の午前7時です。その間“14時間”あります。14時間の間にロキソニン錠は9回も半減期を経過しますので、夕方に100~115%となっていた体内のロキソニン錠は、翌朝の7時には0.2%まで減量します。鎮痛効果ゼロといっていいと思います。

ということで、朝7時から午後5時までの間、5時間ごとにロキソニン錠を飲む方のロキソニン錠の効果は、日中はある程度ロキソニン錠の効き目が続くものの、その効果は夜23時~25時あたりでなくなり、次の日にはゼロからのスタートという解釈となります。

ここまでがロキソニン錠の効果のご説明となります。

最初に例として記載しました「マイスリー錠」「アムロジン錠」について薬の効果時間をササっと計算してみます。

マイスリー錠:1日1回飲む薬。半減期2~2.5時間

式:投与間隔(24時間)÷半減期(2~2.5時間)=9.6~12(回)>4

式の答えが4回より大きくなりました。
マイスリー錠は入眠剤ですので定常状態はありません。実際に24時で10回程度の半減期を通過します(半減期10回:100%→0.1%まで減少します)。

夜に寝る前に飲んだマイスリー錠の効果は翌朝(8時間後)には100%→6.25%程度まで減少しており、効き目がほとんどない状態:すっきり起きられる状態とイメージできそうです。

 

アムロジン錠:1日1回飲む薬。半減期35時間

式:投与間隔(24時間)÷半減期(35時間)=0.68(回)<4

式の答えが4より小さくなりました。
アムロジン錠は1日24時間以内には半分量にまで減らない薬です。
ということで定常状態がある薬=効き目が一定に保たれる薬

とイメージできます。

 

患者様から「この薬を1回のんだらどれくらい効きめが続くの?」というご質問をいただいた際に、ざっくりですが「〇分後(時間後)に効き目が出始め、△時間続きます」

とお答えする場合、定常状態が「ある」か「ない」かを判別した後、添付文書を見ながら私は以下のようにお答えします。

 

ロキソニン錠の場合(定常状態なし)Tmax:0.5~0.8、半減期:1.5時間
ロキソニン錠は定常状態がありせんので、「飲んだら一定時間効果が続いて効き目が切れる」薬です。
Tmax(薬を飲んでから血液中を流れるロキソニンの量が一番高くなる時間)30~48分で体内のロキソニン量が最大となるわけですから、だいたいですが、その半分の時間15~24分で体内のロキソニン量ピーク時の50%を超えて増えていきます。薬の効果が効き始めるのはこのあたり(15~24分頃)でしょうか。その後は前述しましたように1.5時間ごとに薬の量が半減していきます。持続時間に関しては、半減期の3~4倍(4.5~6時間程度)薬の効果が感じられることが想定されます。

 

マイスリー錠:(定常状態がない)Tmax:0.8、半減期2時間
マイスリー錠は定常状態がありせんので、「飲んだら一定時間効果が続いて効き目が切れる」薬です。

Tmax48分後に、血液中のマイスリー量が100%になることから、50%となる24分後あたりから効果が実感されるでしょう。持続時間は半減期の3~4倍(6~8時間程度)薬の効果が感じられることが想定されます。

 

アムロジン錠(定常状態がある):Tmax6時間、半減期35時間
アムロジン錠には定常状態があります。
定常状態がある薬は、「体の中に入ってくる薬の量=体の外に出ていく薬の量」となった時が「安定して薬が効いている状態」となります。
この時間が半減期の4倍と考えられています。
アムロジン錠の場合:半減期35時間 × 4 =140時間(5.8日)

となりますので、アムロジン錠は飲み始めてから6日後に製薬メーカーが考える「薬が効いている状態」となります。

 

余談ですが、ずっと飲み続けていたアムロジン錠を中止した場合、アムロジン錠が体の中から完全に消失するまでに要する時間も140時間(5.8日)と考えて差し支えありません。

ここまでで、「薬識」における「薬理作用の勉強方法」「薬物動態を患者様へお伝えるする方法」を記載しました。

あとは「薬学全般」について継続的に勉強する方法として“認定薬剤師”を取得するための「e-ラーニング」なども上手に活用できればと私は考えています。

私は“認定薬剤師”を取得するための手段としてe-ラーニングを活用しておりますので、以下の表の色の濃い部分(2年に1度)にe-ラーニングに加入しております。

e-learning

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2年に1度e-ラーニングに加入する具体例

例えば1月1日に認定薬剤師を取得されている方を例にご紹介します。
3年間で30単位(年間5単位以上)が認定薬剤師取得要件となります。

2021年~2023年シーズンで合計30単位を取得する場合、私でしたら2021年7月1日(認定薬剤師取得日から半年後)にe-ラーニングに加入します。2021年7月1日~12月31日までの間に20単位を取得して、1年目を終了します。

 

次いで、2年目に入ります。2022年1月1日~6月30日までの間に5単位を取得し、2年目の取得要件を満たします。こでれ2年目は終了です。(2021年7月に加入したe-ラーニングは2022年6月30日で終了となります)。

3年目は2023年7月1日にe-ラーニングに再加入します。2023年7月1日~12月31日までの間に5単位を取得して、認定薬剤師の要件を満たします。これで2021年~2023年までに必要な30単位の修得を終えます。

 

まだ2023年7月に加入したe-ラーニングの使用期間は続いていますので、2024年1月1日~6月30日までの間に20単位を取得して2024年~2026年シーズンの1年目の取得単位を満たします。

このようなサイクルで2年に1度e-ラーニングに加入して、取得単位を受講していくとコストパフォーマンスが良いかなぁと感じております。

 

注)認定薬剤師の取得に関して、以前は取得単位がシールとして自宅に郵送されてきましたが、2021年10月よりPECS(薬剤師研修・認定電子システム)へ移行されました。
それに伴い、PECS稼働後は、PECS登録をしなければ、研修受講単位の交付を受けられないのでご注意ください。
薬剤師のPECS登録については「日本薬剤師研修センター」ホームページをご参照ください。

 

薬に関するお勉強は、上記のような感じです。あとは日々の業務をこなす中で、疑問に思ったことや患者様とのやり取りの中で気になったこと、うまくお伝え出来なかったことなどをメモにとり、調べるような感じで取り組んでおります。

新薬の情報に関しては月に1回程度「日本製薬団体連合会」さんのホームページから、「医薬品等承認情報」をクリックし、CSVファイルを自分のパソコンにダウンロードしてエクセルで開いて活用しております。

調剤

「店舗スタッフや患者様から薬剤師として信頼を得るための自助努力」として調剤業務で私が取り組んでいることや、過去に思いついてメモしたことなどを記載致します。
何か少しでもお役立ちいただければ幸いです。

ピッキングエラー対策

ピッキングエラーで一番多いミスが「規格の取り間違い(規格ミス)」です。
メチコバール250μgと500μg
ラシックス20mgと40mg
プレタールOD50mgと100mg
など外観がそっくりな複数規格を発売している医薬品は多数あります。以下にピッキングエラーを回避する方法を箇条書きで記します。

 

~卸から仕入れた医薬品を棚や引き出しに充填する際のミスを防ぐ~
・規格ごとにPTP10/14/21などの採用包装を変更する
・規格ごとに100錠包装、500錠包装と購入包装サイズを変更する
・規格ごとに仕入れ先卸を変更し、納品するタイミングをずらす
・複数規格を採用している医薬品の調剤棚の配置を見直す

 

~調剤時のピッキングミス対策~
・処方箋コピーを用いて調剤を行う
・調剤前に規格やGEメーカーに注意喚起のマークをつける
・過去に何度もピッキングミスをした医薬品を調剤する際は輪ゴムでくくらない
・「急ぐ」ことがミスの主因と捉え、調剤品目数が多い場合は2人で調剤する
・複数規格採用している品目の調剤棚に注意喚起のマークをつける
・輪ゴムのサイズを複数用意して、店舗として使い分けのルールを決める
・調剤するスタッフがプレッシャーを受けるような環境を作らない。
・PTP10錠シートをハサミでカットするルールを設ける
・PTPシートを輪ゴムでくくるルールを設ける

 

私の個人的な主観ですが、「あせる気持ち・急ぐ気持ち」がピッキングエラーの要因の上位に挙げられるのでは?と感じています。特に「0402通知」により非薬剤師が調剤可能というルールが認められて以降、非薬剤師が調剤を行い、薬剤師が監査する店舗が増えたのではないでしょうか。

この場合、監査台で薬剤師が待っている状況下で、非薬剤師がピッキングを行いますので、「あせる気持ち・急ぐ気持ち」が大きくなればなるほど、ピッキングエラーの頻度が増えてしまうような気がします。

 

「調剤するスタッフがプレッシャーを受けるような環境を作らない」ために、調剤スタッフを「ジーっ」と見ない。急かせない。ピッキング後にセルフチェックをする時間を設ける。
といった薬剤師側の配慮があると調剤ミスが減るのではと考えています。

あとは、調剤ミスをした薬をすぐに調剤棚に戻すのではなく、一度「調剤ミスBOX」などに入れて置き、店舗として集計をとって、対策を考えることが有益かと思います。

「PTP10錠シートをハサミでカットするルールを設ける」についてですが
・端数1錠をつくらない
・かぎ型にPTPシートをカットしない
・PTP10シートにハサミを入れる場合は5錠・5錠となるように縦にカットする
などのオリジナルルールを設けている薬局もあるようです。

 

「次の人が調剤しやすいように端数を管理する(PTPシートをカットする)」ことは回りまわってピッキングエラー対策になるのではないか?と私は考えております。

半錠調剤

半錠調剤をする際の難点として
・OD錠:錠剤がもろいため砕けてボロボロになりやすい
・糖衣錠:ハサミや半錠カッターの刃がすべって5:5に割れないことがある。

などの失敗が起こりえます。

そのため私は「OD錠」「糖衣錠」を半錠調剤する際は以下の方法を用いております。

tablet-cut

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OD錠、糖衣錠に疑似的な「割線」をつける作業を行います。作業工程は上記の写真のように行います。半錠ハサミのすきまに錠剤を挟んで、刃先→刃元→刃先となんどか錠剤を行き来させると↓のメルカゾール錠のような「疑似割線」が錠剤の裏表に刻まれます。

meruka2

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ここまでくれば、半錠ハサミの刃がすべることはありませんので、きれいに
錠剤を半分に割ることが可能です。OD錠の場合は、「錠剤表面を削る」気持ちで「疑似割線」をつけると、錠剤が砕けずに割ることができます。

一包化予製・半錠予製

「前回の1包化の処方に基づき、事前に特定の患者様の薬を1包化して用意しておく1包化予製」は処方箋を受け付ける前に調剤を行うことに該当するため、行ってはいけません。

 

とは言いつつ、1人薬剤師として働いている場合や、長期処方1包化(90日分)がゴロゴロ処方される薬局では、患者様の待ち時間を軽減させるために,何らかの準備をしておくべきだと私は考えます。「1包化予製」という言葉は調剤ルールとして良くないようなので、以下に「1包化予製らしきもの」「半錠予製らしきもの」と表現をぼやかして記します。

 

私は「1包化予製らしきもの」「半錠予製らしきもの」を用意しておくことは薬局運営に必要と考えるタイプです。以下の要件を満たす処方内容には事前準備を行います。
・2人以上がバラ錠として使用している品目
・2人以上が半錠として使用している品目
・バラ錠で数カ月間の安定性が確認されている品目
・チェーン展開している他店舗でバラ錠をつかっている品目

 

上記の要件を満たしている医薬品であれば、患者様が来局されなかったとしても、他に利用先がありますので無駄にはなりません。そのため積極的に一包化予製らしいきものを作っていきます。
注意)他店舗へバラ錠を移動する際は、「お互い様」という体で事前に了承を得ておくと仕事がスムーズかと思います。

 

~1人にしか使用していない薬がある場合の1包化予製らしきもの~
どうしても1品目だけは患者様が来てからバラしたいという品目がある場合は、以下の準備が有益となる場合があります。

該当1品目を除いて、それ以外を分包しておく

ipouka

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分包紙のミシン目で1包ずつカットして、7包ずつホチキス留めしておく

ipouka-1

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患者様が処方箋をもって来局されたら処方内容を確認して、ホチキス留めしてあった薬を写真のようにカットして調剤を開始する。

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このように準備をしておくと、上記の分包さられた薬にあと1錠だけ追加すればいいだけですので、作業効率が上がるかと思います。

 

事前に「1包化らしきもの」を用意するのであれば、時間があるときに「監査」作業を落ち着いて行うことができますので、DO処方であれば過誤対策にもなります。
注意)非薬剤師が調剤した場合は、錠数監査(1包に入っている錠剤の数)が正しく入っているかを調剤者自身に確認させることが「責任ある仕事」と私は考えます。

その後、最終監査を薬剤師が行う行えばいいかと思います。

 

1人にしか使用していない薬が「朝食後」だけに入っている場合であれば、昼食後・夕食後・寝る前の薬は予製しておいて、「朝食後」だけを患者様が来てから調剤するという方法も有益かもしれません。

監査

安心安全に薬をご利用いただくために「間違えないためのルーティーン」を身にしみこませる作業と私は考えています。

私の業務手順を記します。
・処方箋のコピーとお薬手帳のコピーをとり、見比べて「併用禁忌」「重複」がないかを確認します
・処方箋コピーを見て、初処方の薬がないか確認する。初処方があれば併用禁忌がないか、同効薬の併用はないかを確認します。
ここまでが事前準備です。
できれば「他者」が調剤をしている間に、上記のポイントを平行して確認できると仕事がスムーズかと思います。

他者が調剤した薬を監査します。

 

PTPシート監査

「錠数監査(何錠ピッキングされているか)」と「識別監査(調剤された薬品名が正しいか)」という2つを確認します。

「錠数監査」
PTP10錠、PTP14錠などの規格に気を付けながら、抱き合わせで輪ゴムにくくられているPTPシートを数えます。
処方箋コピーに調剤された薬の錠数を記載します。
できば、この処方箋コピーは投薬後1カ月程度保管しておくと、帰宅後の患者様から「薬もらってない」などの電話をいただいた際に、確認できるかと思います。

「識別監査」
GEへ変更調剤する際は変更した医薬品名(メーカー名)を処方箋コピーに記します。複数規格を採用している品目については、規格部分にマーカーを引く(赤〇を記す)など、目立たせることも有益と考えます。

アイン調剤が積極的に取り入れている「一文字監査」を私は行っています。
(PTPシートの耳部分を処方箋の薬品名に合わせ、薬品名の1文字目とPTPシートの1文字目が合致していることを確認します。次いでPTPシートを横にずらして、目で追いながら1文字ずつ対応させて確認します。)

尚、PTPシートを監査する際は、裏面で監査を行います。
表面(錠剤が見える側)には

PTPシートの「色」「文字」「模様」「形状」
錠剤の「色」「形状」「刻印」

といった7種類の要素がちりばめられており、先発品とGEでは酷似している品目が多数あります。医薬品の規格ミスの原因の多くは、表面監査(ぱっと見)が原因とも考えられていますので、それを避けるために裏面監査をルーティーンとします。

裏面のみの監査では「シートの文字と模様」しか識別要素がありませ(品目によっては異なります)。そのため目から入ってくる情報が非常に少ないため、1文字監査に適していると私は考えております。

 

一包化監査

ミスをしないことと、迅速に作業することを求められる作業です。
全自動分包機を作用している店舗と、手撒きで錠剤を手撒きアダプターへセットする店舗もあるかと思います。どちらにしても出来上がった薬を「ミスなく迅速に監査」する必要があります。

事前作業として、処方箋コピーに1包化で使用した錠剤PTPシートの耳部分をカットして、テープで貼り付けます。いわゆる「調剤後の証拠」を残す作業です。この処方箋コピーは1カ月程度保管します。

刻印監査:1錠ずつ刻印を監査します。
時間があるときは全ての薬について刻印監査を行うことがベストです。しかし、リアルタイムで1包化調剤をする場合は、最初の1包と最後の1包は刻印監査を行い、それ以外は錠数監査(1包に必用錠数が入っているか)を確認するという監査方法を用いる場合もあります。店舗によって監査ルールがあるかと思います。

 

非薬剤師に1回目の錠数監査を行ってもらい、薬剤師が刻印監査&錠数監査を行うことも有益な方法と考えます。

一人薬剤師の店舗で、処方箋の7割が1包化調剤(精神科など)といった調剤に手間のかかる店舗に配属された場合は、基本的に予製・下準備を入念に行います。

それでもリアルタイムで10人連続1包化調剤といった事例に遭遇する場合は、
・患者様に時間がかかることを説明する
・全員に1週間分ずつの1包化薬しか渡さず、残りは郵送対応する
・手持ちの薬が余っていれば、郵送対応する
などの提案を行うことも有益かと思います。

 

PTP調剤、1包化調剤を問わず、一番最後は、患者様へお薬をお渡しする際に、薬情の写真と薬を付き合わせて、正しい薬であることを確認しながら投薬を行います。

投薬

私が考える投薬は「患者様に求められた時に120%をご提供する」ということです。求められていないにもかかわらず、薬歴を充実させるためだけに会話を広げることはしません。求められていない場合は必要最小限で済ませます。

以下にいくつか患者様の例と私の対応・投薬に関する考え方を記します。

薬の準備を終えて、前回との変更点を確認し、投薬カンターに着きます。

チラッと患者様を見渡します。ここで、時計やバスの時刻を気にしている(急いでいる)、小さい子供連れである(子供から目が離せない)、杖や歩行器を使っている(足が悪い)
等の外見から推測できる要素を把握します。

投薬席でお薬をお渡しすることもあれば、待合席へ薬を運んでお渡しするケースもあります。

 

「A様」と患者様の場合

A様が投薬口(投薬席)へ着くまでに鞄からお財布を出しながら歩いてきた場合、A様の心理としては「お金をはらって、薬をもらって帰ろう」です。
この場合、A様が投薬口に着くと「いくらですか?」という会話から始まることもよくあります。

 

薬剤師に用事がない患者様心理からするとこの流れは当然です。一方で薬剤師側からすると「薬剤服用歴管理指導を算定するために、あれこれ確認しなければ!!」と鼻息あらく待ち構えしまうとチグハグな感じになってしまいます。

 

常に心にとめることは「患者様ファーストです」

「いくらですか?」と尋ねられたわけですから
「はい、今日はいつもと同じお薬が56日分で〇〇円です」
と最小限の確認(処方内容と処方日数)を織り交ぜながら金額をお伝えします。

 

するとA様はお財布からカードまたは現金を取り出して、釣銭トレイに支払います。
患者様の手から現金が離れた直後から「投薬チャンス」が始まります。
「会計作業を行い、お釣りをお返しし、PTPシートまたは1包化薬を薬袋にしまい、場合によっては患者様が持参されたマイバックに薬袋を入れる。」ここまでの作業を行っている間、患者様はフリーです。一つでも二つでもお声掛けできるチャンスがあります。

 

例えばバイタルを確認してもいいでしょう。定期的に検査・採血をしているかを確認してもいいでしょう。薬の効果を確認してもいいでしょう。食欲はあるか、眠れているか、排便状況はどうか、日常生活で不備はないか?季節の変わり目であれば体調は変わらないかお伺いしてもいいでしょう。

 

「求められていない場合の投薬」にもかかわらず、ダラダラとこちら側が会話を広げようとすれば、患者様がイラつくだけです。薬局に対して「負」の印象が植えつけられるだけ損です。

帰りたい方には金額をお伝えする際に必要最小限の確認だけを行い、会計後の「おつりとレシートのお返し」、「くすりのお渡し」の数秒間に2~3言だけでも言葉を交わしてお帰りいただきましょう。

何を話してよいやらわからない場合は、会計後に薬やら薬情やらを整理しながら「体調どうです?」「体調はいかがです?」「どうです?その後は?」といった感じで「どう?」を上手に使うということをご提案いたいます。

 

私の体感ですが、「どうです?体調は?」と患者様にお尋ねすると、なにがしかの答えが返ってくる印象です。ただ、新人薬剤師が初対面の患者様に「どうです?」とお伺いすのは「馴れ馴れしいかもなぁ」という感じになってしまう場合があります。

 

その際は、「どうです?体調はお変わりありません?」までをセットにして、YES/NOクエッションにしてしまいましょう。初回はYES/NOで留めておいて、数回の投薬で見知った顔になれば「どうです?」をチャレンジできるかもしれません。

とにもかくにもA様のように「いくら?」から始まる会話に発展はありません。必要最小のお会話でお帰りいただきましょう。

 

B様(何カ月もずーっとDO処方)の場合

「お待たせしました、B様」とお呼びします。
特に時間がないという様子もなく、お財布をすぐに出す様子もありません。
急性期の小児科は別ですが、多くの薬局ではDO処方の患者様が多いのではないでしょうか。この場合は「何か求められているか」を軽く探ります。

「処方内容はいつも通りで、〇〇日分、△月×日までのお薬が出ていますね。」
と処方内容を確認します。ここでは、まだ金額は伝えません。この段階でB様が、鞄からお財布をゴソゴソと探し出す仕草が見られたら、「何も求められていないなぁ」と判断して、A様と同様な対応を行います。

 

特にお財布をゴソゴソする仕草が見られない場合は、少しお話をする時間があるのかもなぁと考えます。とは言え何カ月もずーっとDo処方の患者様ですから、おそらく薬に関して大きな体調変化はないでしょう。またB様は薬剤師に特に何も求めていないものとします。

そこで、何かアレンジをするのであれば、会話のポイントとして「季節変化」と「時世変化」と「定期検査」などはいかがでしょうか。

 

「季節変化」の例としては「寒くなってきましたが血圧は・・・」とか「気温の高い日が続いていますが、具合は・・」とか「ご高齢の方:気温の高い日が続いていますが、食欲どうです?1日3食取れてます?」とか「1日中暑いですね、夜は眠れています?」といった感じで、「気温と健康状態」「気温と食欲変動」「気温と睡眠状況」を絡めながら生活やバイタルをお伺いすると1トークができるので、患者様のご自宅での経過が見えてくるかもしれませ。

 

「時世変化」の例としてはコロナ・インフルエンザ・風邪などの流行時期に、その予防や対策から食欲・睡眠などの生活リズムを維持することが健康を維持することにつながることをお伝えすることは有益ですね。

 

「定期検査」については、毎回の病院受診で行う作業ではありませんが、一定の受診間隔で採血検査や心電図検査、CT検査やMRI検査などを実施しているかどうか、検査結果に大きな変動はないかを確認することは有益です。「どうです、病院ではたまに検査や採血はしてますか?」という質問でもいいでしょうし、「毎年、定期的に採血やら検査はしてますか?」といった感じで患者様の病院でのルーティーン検査を確認して、患者情報に記載しておくと、薬歴が充実するかもしれません。

 

糖尿病治療やワーファリン服用の方であれば、定期的なルーティーン検査を把握しておくことが有益です。ただし、患者様にもよりますし、患者様との関係性にもよりますので、毎回、検査値を確認することがいいかどうかは場合によります。

 

新患C様の場合

薬剤師にとって新患は非常に多くの注意点があります。
併用薬・禁忌薬・アレルギー歴・副作用歴・妊娠・授乳など要確認です。お薬手帳の見開き1ページ目に細かく過去の副作用歴を記載されている患者様もおりますので、注意が必要です。

 

投薬に関しては、処方内容からある程度の病態を把握し、実際の症状をお伺いして、薬の作用・注意点をお伝え増します。新患への対応としては、「しゃべることがない/薬歴がかけない」という悩みはないかと思います。

 

病院の先生から薬の効き目や注意点について、説明を受けている新患C様に対して薬局でも同じ説明をすることは「薬の実物を見ながら薬識が定着する」ので大切です。

あとは、アレンジといいますか、病院の先生があまり言わない+αの薬情報をお伝えすると患者様にとって有益かもしれません。もしかしたら店舗の同僚や事務員から「おっ、やるな」と思われるかもしれません。

 

+αの薬情報としては、強い副作用などのマイナスな情報は「患者様の服薬拒否」につながる恐れがあるため避けます。あくまで「薬を飲んで症状を改善」のための情報をお伝えすることが目的です。

例えば、頓服薬の薬物動態で言えば「あくまで一般的なデータですが、薬を飲んでから〇〇分後に腸から吸収された薬が血液中を薬がめぐり、効果が出始めます」といった具体例をお伝えすると印象に残るのではないでしょうか。

 

私の場合ですと血中濃度がピーク比で50%を超えたあたりから効果が出始めると説明します。添付文書にはCmax(100%)到達時間(Tmax)しか記載がないことが多いですが、その中間あたりの時間を添付文書の血中濃度の図を見ながら、大体の目安としてお伝えすることがあります。

 

また定常状態がある薬の場合は半減期の4倍程度で効き目が安定するため、半減期×4を電卓で計算して、〇日後(〇時間後)とお伝えします。(降圧剤など)

 

また、複数の類似薬が同時に処方された場合はインタビューフォームの開発経緯を思い出しながら、具体的な効きめの違いをお伝えします。使用頻度の少ない薬であれば、なかなか覚えられませんのでメモ帳に違いを書いておくことは有益かと思います。
(ムコダインとムコサール)/(降圧剤2種類)/(血糖降下剤2種類)/(胃薬2種類)
(NSAIDSとトラムセット)/(テルネリンとミオナール)/
など

あとは、錠剤の特徴(OD錠、カプセル剤)と飲み方などもお伝えできることがありそうです。
カプセル剤は口に水とカプセルを入れて、下を向きながら飲むと飲み込みやすいですよ。
(上を向くとカプセルが浮いてしまい、水だけ飲むことになるためです)
頓服のOD錠を水なしで飲むケースが多い方であれば、味をお伝えすることも有益かと思います。

 

新患患者様は、なにがしかの体調不良で受診しており、それの対処療法・治療として薬が処方されたわけです。その薬に「改善」を期待していることを踏まえまして、必要であれば(患者様の求めに応じて)より詳細な情報をお伝えすることは、お互いにとって大切であると私は感じております。

上記対応に関しては、新患患者様だけでなく、定期処方に変更があった患者様についても似た対応が可能と考えております。

 

D様(薬に質問ありの患者様)

「〇〇について教えてほしいですけど」
「〇〇ってどれらい強い薬ですか?」
「〇〇って飲んだほうがいいですか?」
などなど、病院の先生ではなく、薬局で質問されるには最善をつくします。
「求められている時に120%でお答えします」
この気概を常に心に持って働きます。

 

もちろん、わからないこともたくさんあります。その際は、同僚に確認することもありますし、インターネットで調べて患者様の言葉に置き換えてお伝えすることもあります。
とにかく、患者様からのご質問はチャンスと捉えます。

 

あいまいにしないこと、「次回、先生に聞いてください」は最後の最後まで言わないこと。
患者様がわざわざ薬剤師を選んで質問したことをよく踏まえて、薬剤師としての回答を用意すべきだと私は考えます。

 

熱量120%でお答えすることができれば、もしかしたら、次回来局されたときに顔を覚えていてくれるかもしれません。患者様から声掛けしてくれるかもしれません。常勤として薬局で勤務している薬剤師であれば、患者様に顔を覚えてもらうことは、仕事の励みにもなり、やりがいにつながります。店舗スタッフからの信頼にもつながるのではないでしょうか。

 

とにかく、私は「求められたら時」は120%をご提供します。120%の熱意は患者様や店舗スタッフへの信頼につながり、まわりまわって自分に返ってくると信じております。

 

薬歴

処方内容:「Do処方」
経過:「体調変化なし」
主訴:「バスの時間があるから急いで!いくら?」

本来薬歴は、投薬時にお話ししたことをそのまま記載できれば理想です。しかし、そこまでうまくはいきません。

 

薬剤服用歴管理指導を算定している以上、患者様が副作用なく安全に服薬を続けられており、体調が落ち着いていて、現在の治療を継続することに意義が見出せることを確認する義務があります。

保険請求で7~9割を社保か国保に請求していますので、いついかなる時に厚生局による個別指導が入るとも限りません。

 

私が考える薬歴は患者様の言葉を多少ですが拡大解釈して薬歴として記すことが答えです。

例えば「いつも通り1日3回食事をおいしく食べられている。食欲はかわりない」ことが確認できたのであれば、
胃腸障害・嘔気・腹痛・膨満感関連の副作用(-)
と薬歴に記すことができると解釈します。

例えば「体調がかわりない」ことが確認できたのであれば
血圧変動なし。動悸・倦怠感なし。日中の傾眠なし。
日常の生活リズムに変動なし。睡眠状況現状維持

などの日常生活の変化なく経過していることを薬歴に記載できると解釈します。

 

本来であれば患者様に具体的なことを質問することができればベストです。
「便通があるか?」
「眠れているか?」
「筋肉痛は起きていないか?」
「排尿回数は減っていないか?」
「尿勢はあるか?」
「怒りっぽくなっていないか?」
「ふらつきはないか?」
薬の副作用から想定されることは無限にあります。
しかし、体調が変わりないと言っている患者様へ上記のような質問をぶしつけにしてしまうと、「何?私の飲んでいる薬ってそんなに副作用があるの?」と誤解を招いてしまいます。

 

副作用については「出ていないことを確認する」必要があります。それは私たちの義務です。あとは質問の仕方をどこまで工夫できるかた私たちのチャレンジ枠です。

直接的な表現ではなく、「ちょっと間接的な表現」くらいが患者様にとっても薬剤師にとってもナチュラルな会話としてちょうどいい気がします。「ちょっと間接的な表現」は投薬時にその場では浮かびにくいケースもありますので、事前に準備しておくといいかもしれません。

以下に、ざっくりとした例を記します。

 

・抗生剤・抗菌剤・抗がん剤をしばらく続けている方
「どうです、しばらく続けてみて体調は?おなかの調子問題ないです?」
→抗生剤使用による軟便・水様便のSEなく経過しいている。自己調節せず継続確認

・NSAIDSをしばらく続けている方
「つづけてみどうですか?(効果の確認)、おなかがキリキリ痛くなることもないですか?」
→NSAIDS継続服用による胃腸障害のSEなし。継続服用による鎮痛効果確認

・抗アレルギー剤をしばらく続けている方
「つづけてみどうです?(効果の確認)、日中にぼーっとしたりしません?」
→抗ヒスタミン剤継続使用による傾眠・倦怠感のSEなし。継続服用により経過良好

・抗コレステロール剤をしばらく続けている方
「お飲みいただいて変わりないですか?体のだるさや痛みはでてませんか?」
→抗コレステロール剤使用に伴う筋肉痛・倦怠感などの横紋筋融解症の前兆症状なし

のような感じでしょうか。

薬の副作用項目には「貧血」「横紋筋融解症」「低血糖」「出血傾向」「黄疸」「無顆粒球症」
「便秘」「口喝」など様々な記載があります。

 

「便秘」や「口喝」であれば「お通じ」「口の渇き・喉の渇き」と言い換えることができます。
「貧血」→息切れ・疲労感・頭痛・ふらつき
「横紋筋融解症」→体の痛み・倦怠感・褐色尿
「低血糖」→強い空腹・末梢のしびれ・冷や汗
「出血傾向」→青あざ、黒色便、血尿、内出血、鼻血、白目が赤くなる
「黄疸」→疲労感、白目が黄色くなる、食欲低下、不眠
「無顆粒球症」→かぜぎみ、喉の痛み、発熱、倦怠感

 

などなど、薬の副作用の中で直接患者様に伝えにくい症状・疾患名に関しては「自覚症状の例」について、それとなく確認してみて副作用が出ていないことを確認することが、「私なりの言い回し」と考えております。

 

もう少し薬歴をナチュラルに増やしたい場合は、上記の副作用が出ていないことに加えて、生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病・高尿酸血症など)にならないための食生活・運動・睡眠・排便・社会性維持などの要素について「アドバイスしました」という感じの話し言葉を1行追加するだけで、自然な薬歴になるかと思います。

 

例えば生活習慣病に関する一般的なアドバイスとしては
・食事の減塩をこころがけましょう。
・食事のバランスに気を付けましょう。1日3回の食事をここがけましょう。
・血圧を測る習慣をつけましょう。
・体を動かす習慣をつけましょう。
・良質な睡眠を維持するために、規則正しい生活を続けましょう。
・血流維持のためにもこまめな水分摂取を心がけましょう。
・週に1回程度で構いませんので、体重測定を行い記録しましょう
・寝つき改善のために、就寝前のストレッチを取り入れましょう。

 

このあたりの文章を「降圧剤」「血糖降下剤」「抗コレステロール剤」「睡眠薬」「抗血小板薬」などを飲んでいる方の薬歴に1行加えると、自然な感じがでるかもしれません。

電子薬歴を使用しているのであれば、単語登録や文章登録機能を使用すると選択するだけで薬歴を記載することができて便利です。また電子薬歴に「文章登録機能」が備わっていない場合はwindowsの単語登録機能を使用しても定型文を登録することができます。

 

Windowの単語登録機能を使用する場合、1台のパソコンを複数人で共通利用している場合は、他の方に迷惑が関わらないような文字登録をする必要があります。
例えば「くすり」という単語に「服用による体調変化なし」と登録してしまうと大変です。店舗の薬剤師がパソコンで「くすり」と入力するたびに「服用による体調変化なし」と表示されてしまうため店舗のスタッフに対して、非常に迷惑をかけてしまいます。

 

その際は「くすり1」などのように「自分が登録したい言葉」+「数字」などを組み合わせて登録すると他者へ迷惑がかからなくて有益かと思います。

 

以上で
・薬識
・調剤
・監査
・投薬
・薬歴

に関する、私の取り組みのご紹介を終えます。
薬剤師として私が継続的な努力を行っている内容は以上となります。

 

以下は私が店舗スタッフ(上司・薬剤師・事務職員)と働くにあたり、「他者と働く人間」として取り組んでいることです。一般的な会社員としての経験がないため、あくまで少人数で働く薬剤師として、気を付けていることを記します。

 

対人関係がうまくいかない方、ギスギスしてしまう方、孤立してしまう方、職場にとけこめず何度も転職を繰り返す方など、お困りの方がおりました、以下の10項目の中のいくつかが、お役に立てるかもしれません。

 

1:管理薬剤師が作り上げた環境・ルールを正しく把握する。
管理薬剤師(調剤薬局の責任者)が設けたルール・空間・環境に準ずることが仕事をスムーズに行う一番の秘訣です。たとえ現行のルールの中に、多少の不満要素があったとしても、現状で業務がまわっているのであれば、現行通りで様子を見る。事を荒立てない。
改革をしたいと思うのであれば、自分が管理薬剤師になってから行うことです。

 

2:暇なときは他者の動きを、それとなく観察して、次に行うことを予想します。繁忙時は
他者の動きを予測し、サポート・先回り作業を行い「他者」を中心として自分が潤滑剤、隙間を埋める業務を行います。暇なときの観察力が繁忙時に発揮されます。
(自分が中心となる場合はよりも、他者が中心となって自分がサポートに回る場合に「何をしていいかわからない」という方に対するメモです)

 

3:雑談・会話の量は、他者と同じ程度にするよう心がけます。無言でしゃべらなすぎると“不気味”であり、喋りすぎると“うるさいだけだな”という印象を与えかねません。

 

4:何事にも“反応する”
英語でresponsibilityという言葉があります。Response(反応)+ability(能力)という単語がくっついてresponsibility(責任)という単語になります。何事にも反応し続けることが、自分自身にとっても(第三者が見た場合でも)「責任」ある行動に思えるためです。

 

5:「しかし」「でも」「ですけど」「ですが」
といった逆説の接続語は店舗スタッフ対しても患者様に対しても使わない。
(無意識でも使用しないように日ごろから注意しています)

「逆説を使わないこと」が仕事をする上で一番の柱です。基本的に「アドバイス」や「助言」「ご指導」をいただいた場合に、「でも」「いやいや」「ですけど」といった逆説をつかって話を覆すことは決してしません。
「アドバイス」や「助言」「ご指導」をいただいた場合は、「はい、ありがとうございます」が最適解です。

6:投薬内容は誰に聞かれても恥ずかしくないという気持ちで話す。
(薬の説明に負い目を感じないこと。負い目がある場合は、その薬について「インタビューフォームの開発の経緯をご確認ください)

 

7:少しずつでもいいので努力をつづける

 

8:「すごいですね」「さすがっすね」といった言葉を他者へ使っていく

 

9:仕事量で他人に負けない。他人の1.1倍働く気持ちを常に持つ。効率の良い仕事ができればベストですが、効率は人によって異なります。まず大切なことは「効率はどうあれ、よく働く」と他者から思われることです。
(ズルい人、さぼってる人と思われると、あとあと大変になります)

10:業務内容を記したメモ帳は半年に1回は新しいものに書き写す。私の場合は書き写すのが面倒くさいので、エクセルに必要な業務内容を記載しており、半年に一回、紙に印刷してメモ帳サイズにカットして貼り付けるという作業を行っています。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
皆様のご活躍の一助となれば幸いです。
                                おじさん薬剤師

 

第二弾

薬剤師の育成に関するおじさん薬剤師の考え方について

薬剤師の育成に関するおじさん薬剤師の考え方について

-調剤方法, 調剤薬局
-投薬, 業務内容, 監査, 薬剤師, 調剤, 調剤薬局

執筆者:ojiyaku


  1. もり 〇〇 より:

    いつもブログの内容を参考にさせていただいております。
    大変有用な情報が多く感謝しております。

    少し前に今回の記事の薬剤師の働き方につきまして、〇〇円で冊子を
    販売しますという記事を拝見しましたが、まだ購入は可能でしょうか?
    それとも今回のブログで全てを公開されていますでしょうか?
    今回のブログ以外にも為になる内容が書かれているということでしたら、
    是非購入させていただきたいです。

    • ojiyaku より:

      お読みいただきましてありがとうございます。

      お恥ずかしい限りなのですが、「○○円で販売しようとした冊子」=「調剤薬局でのおじさん薬剤師の働き方~失敗談・学習方法・注意点など~」という記事でございます。
      当初、〇〇円ほどで販売できないものか?と考えたのですが、数日で心変わりして「全てオープン」にしよう!」として現在に至っております。

      調剤薬局での立ち回りは常に変化していますので、今後とも何か思いつくことがあれば「追記」という形で記載していければと考えております。

      ご連絡いただきましてありがとうございました。

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