ニプロ株式会社は「脊髄損傷の治療に用いる自己骨髄間葉系幹細胞“ステミラック注”について条件および期限付承認を取得したことを公開しました。
2019年2月20日の中央社会保険医療協議会総会にて、ステミラック注の保険適応が了承されました。算定薬価は1回1495万7755円です。2月26日付で薬価収載されます。ステミラック注は世界に先駆けて日本で承認された医療であり、2019年2月時点では臨床試験が行われた札幌医科大学でのみ使用が許可された製剤です。
間葉系幹細胞とは骨髄・脂肪組織・胎盤組織・臍帯組織など様々な組織に分布しており、骨や血管・心筋などの再生医療への応用が期待される“分化能をもつ幹細胞”のことです。
その中でも骨髄間葉系幹細胞は、患者の骨髄から直接採取、培養する技術が確立されており、医療への応用が期待されておりました。
患者自身から採取した骨髄液中の間葉系幹細胞を体外で培養・増殖させ、患者の血清を含む凍結保存液に懸濁し、凍結保存した細胞、副構成体として
から構成される再生医療等製品です。
脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善。
ただし、外傷性脊髄損傷で、ASIA機能障害尺度が A、B 又は C の患者に限る。
アメリカ脊髄損傷協会の略で、同協会がまとめた脊髄損傷の評価尺度を意味します。
ASIA分類
A:仙髄節 S-4~S-5 に運動・知覚機能がまったくないもの。完全麻痺
B:S-4~S-5 を含む神経学的損傷レベルより下に何らかの知覚機能を残しているが、運動機能がないもの。神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存
C:神経学的損傷レベルより下位に何らかの運動機能は残っているものの、主要筋群の半分以上が筋力3未満であるもの
ステミラック注については、7年間の承認期限内に有効性・安全性が確認され、その後の継続承認となるかが検討されます。
骨髄液の採取
・脊髄損傷受傷後31日以内を目安に実施する
投与
・製品が製造され次第、可能な限り速やかに投与する
国内治験データ
損傷から1~2か月内に投与され、220日後の効果を確認したデータでは13例中12例でAISA機能障害尺度で1段階以上の改善が確認されました。改善割合は尺度B(2例)とC(5例)の患者では100%、Aの患者(完全麻痺)の患者6例中5例で改善が確認されました(83.3%)