抗凝固薬をDo処方で継続している患者様への投薬・薬歴内容

抗凝固薬をDo処方で継続している患者様への投薬・薬歴内容

 

ワーファリンやプラザキサ・リクシアナといった抗凝固薬をDo処方で継続服用している患者様へお薬をお渡しする際に確認する事項・薬歴に記載する事項については「出血関連の副作用の有無」が多くなってしまいがちだなぁと感じておりました。そこで、抗凝固薬を継続服用している方へお薬をお渡しする際の文言・薬歴について、副作用関連の言葉を盛り込みながら考えてみました。

抗凝固薬について

血液サラサラという言葉には「抗血小板薬」と「抗凝固薬」という機序が含まれているのですが、抗凝固薬は主に左心房・静脈においてフィブリンという網状構造タンパクが赤血球などの血球を包み込んで塊(血栓)をつくることを阻害するはたらきを持つ薬のことです。現在5種類の抗凝固薬が薬価収載されています。

 

(抗血小板薬は、主に動脈内で血管壁に複数の血小板がこびりついて、内腔(血液が流れる空洞)を細くしてしまうことを妨げるはたらきをもつ薬のことです)

 

 

ワーファリン

警告:ゼローダとの併用でワーファリンの作用が増強

禁忌:ケイツー・グラケー(メナテトレノン)/ケアラム・コルベット(イグラチモド)/フロリード・オラビ(ミコナゾール)

副作用発現頻度は不明

 

目に見える出血(本人が自覚できる)に加えて、目に見えない出血(臓器内・頭蓋内)のリスクを把握すること

 

 

プラザキサ

併用禁忌:イトリゾール

 

消化不良:4.7%

皮下出血:3.1%

胃食道炎:3.1%

悪心:2.8%

腹部不快感:2.2%

胸痛:2.2%

鼻出血:1.3%

プラザキサ服用後の副作用は胃腸障害と出血関連の副作用が同程度に生じています。

イグザレルト

併用禁忌:HIVプロテアーゼ阻害剤、イトリゾール、ブイフェンド、フロリード、オラビ

 

鼻出血:13.8%

皮下出血:7.8%

歯肉出血:6.3%

尿血:3.8%

結膜出血:3.6%

尿中血陽性:2.8%

貧血:2.7%

口腔内出血:1.9%

イグザレルトの副作用は出血関連のSEが1~10%で上位を占めており、肝機能関連や胃腸関係の副作用は0.1%~1%の間に入っています。そのため薬歴・投薬時の確認事項としては出血リスクに関して確認することが多くなるかもしれません。

 

エリキュース

併用禁忌薬:なし

 

鼻出血:5%

血尿:2.6%

挫傷:1.7%

血種:1.4%

貧血:1.1%

エリキュースは1%以上の有害事象はいずれも出血関連の副作用です。1%未満の副作用として胃腸障害関連・肝機能関連・皮膚トラブルが記載されています。

リクシアナ

併用禁忌薬:なし

 

鼻出血:6.2%

血尿:3.5%

挫傷:2.1%

貧血:1.6%

歯肉出血:1.4%

斑状出血:1.1%

ALT上昇:6.4%

AST上昇:3.1%

γGTP上昇:9.9%

リクシアナ服用による副作用発現頻度は出血関連と肝機能関連の副作用が同程度に起こりえることがわかります。

投薬および薬歴記載内容

・皮下出血・血尿・鼻血・歯磨き時の出血などの目に見える出血はでていないことを確認した。

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・目に見えない部分の出血(消化管出血・頭蓋内出血・腹腔内出血などの出血性合併症)の初期症状である麻痺・頭痛・息苦しさ・嚥下困難・胸痛・腹痛・関節痛などの自覚症状はでていないことを確認した。

 

・ワーファリン服用開始(3~6日)に伴うプロテインC活性の低下が原因で生じる皮膚の紅班・点状出血・出血性水泡などの皮膚壊死の前兆となる症状はでていないことを確認した。(ワーファリン初回処方時に説明する)

 

・ワーファリンの服用による四肢・体幹・臀部などに痛みを伴う皮膚疾患・痛みを伴う紫斑といった症状はでていないことを確認した。(カルシフィラキシスの前兆と思われる自覚症状なし)

 

・かゆみ・紫斑・点状出血・水泡・皮膚びらんなどの皮膚トラブルは出ていないことを確認した。

 

・食欲低下・吐き気・倦怠感・尿の色が濃くなる・むくみ・おなかが張るといった肝機能低下の前兆となる自覚症状はでていないことを確認した。

 

・結膜出血(白目部分)、歯茎のときの出血・鼻出血などの出血に関する有害事象はでていないことを確認した。

 

・排便時の出血・下痢・悪心・黒色便・嘔吐などの消化器関連の副作用は生じていないことを確認した。

 

・消化不良に伴うおなかの張り・胃部不快感・吐き気・黒色便といった有害事象はなく経過していることを確認した。

 

・食欲減退・腹部膨満感・悪心・吐き気といった胃腸障害はでていないことを確認した。

 

・発疹・蕁麻疹・皮膚乾燥などの皮膚トラブルは起きていないことを確認した。

 

・皮下出血・鼻出血・血尿なおの出血傾向の前兆となる症状は出ていないことを確認した。

 

・胸痛・浮腫み・熱感・胸部不快感・倦怠感などの循環器・呼吸器関連の副作用は出ていないことを確認した。

 

上記の文言をwindowsの単語登録機能を使用して電子薬歴に記載する文言として使用することが、業務短縮につながるかもしれません。

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業