調剤薬局の在宅業務・訪問薬剤管理指導の報告書がマンネリ

調剤薬局の在宅業務・訪問薬剤管理指導の報告書がマンネリ

私は調剤薬局に勤務しており、定期的に「在宅業務」を行っています。患者様宅へお邪魔してお薬の管理や体調変化・近況に関してお話しすることは前向きに勤務することが出来ていると感じていますが、その後の「報告書」作成がパッとしません。「報告書」をかかなければ・・・という気概で取り組みを開始するため筆も進みません。

とはいえ、在宅件数を増やすためには「しなければならない業務」であるため、現状ではバリバリ「後ろ向きな業務」となっております。

今この記事を書いているのが2022年5月のゴールデンウィーク中なんですが、なんとかして本日を境にして「報告書が苦手なんです」という現状を脱却したと思い、パソコンに向かっております。

医師やケアマネージャーに在宅業務に関して「報告書」「計画書」を作成して連絡するわけですが、この作業が「負担」になる一番の理由は「もう書くことがないです^^」なんですよね。報告書がマンネリ化してきて「毎回同じことを書いているなぁ」状態に突入することだと私は感じています。

実際に、提出される側(医師・ケアマネ)が私が記した「報告書・計画書」をどの程度しっかり目を通すかについては、この際関係ございませんので”置いておきます”。

今のテーマは「私が前むきに「報告書・計画書」に取り組むための方法を模索することです。以下に私の絞り出した案を記します。

テンプレートは大事である

何をするにも「テンプレート」と言いますか、道しるべとなるものがあると仕事がはかどります。テンプレートなしでゼロから物事を推し進めるには非常に時間がかかると常日頃から感じています。

ということで在宅の報告書・計画書にも8割程度の「テンプレート」を複数パターンこしらえて、それを使いまわしたり、追記する感じの作業で「報告書・計画書」業務の効率化を進めたいと思います。

訪問日時:〇月△日  □時に訪問

処方内容:前回との比較を記載する

訪問の目的:前回の計画書の概要を記す

薬の管理者:本人管理/家族管理/訪問看護師管理/ヘルパー管理

調剤方法:ヒート調剤/1包化調剤/粉砕調剤

管理方法:薬袋管理/お薬カレンダー管理/ピルケース管理

服薬状況/残薬状況:訪問時に確認した服薬状況・残薬を記します。

上記は客観的な情報ですので、比較的すらすらと筆が進みます。

zaitaku

これより下は患者様との会話内容であり、観察したことを記しますが、作業を簡略化させるために、ある程度のテンプレートを活用します。

訪問直後に本人を観察

・挨拶にたいする返答

・姿勢、認知力、会話はかみあっているか、声のトーン、顔の表情

・自宅内での歩行状況

・食事の頻度、嚥下状況、食欲、味覚の有無、

・排便状況、便のかたさ、回数

・排尿状況、夜間の頻度

・睡眠状況、就寝時間、起床時間、中途覚醒回数

・運動、外出頻度、訪問リハビリ頻度、

・認知、会話量、コミュニケーション

 

上記のようなチェックポイントを設けておいて、例えば1回の訪問で3つにポイントを絞って会話を広げてみます。事前に自分の中で何についての話を膨らませるかシミュレーションしておくのも手だと思います。

例えば「食事」に関していえば、コロナ感染後に味覚異常を訴える「コロナ後遺症」という報道があることも踏まえ、食事の回数を確認したうえで

・食欲はあるか?

・食事回数は?

・味覚は変わりないか

・鼻づまりはないか

・現在服用している薬の飲みこみは問題ないか

・カプセルや大きな錠剤などを問題なく飲み込めているか

・分包されている錠剤、PTPシートから錠剤を取り出す作業が苦ではないか

・食後の薬の飲み忘れ対策で何か行っていることはあるか

・1日の水分摂取量はどの程度か?

 

同様に「排便状況」についての確認作業としては

・食事回数は1日何回か

・食欲はあるか

・排便スケジュールは?1日1回?

・お通じは問題なくでているか

・便の性状(硬さ、色、形状、量)

・自力排便可能か、摘便か

・下剤の使用頻度、効果は

・下剤の残薬はないか?

・1日の水分摂取量はどの程度か?

・散歩などで体を動かすことはできるか

 

などなどでしょうか。

患者様宅で観察できる時間は限られており、会話量は相手の状態によって大きく異なります。患者様からの需要があれば話は膨らみますが、特に何も体調が変わりないのであれば、患者様からすると「早く薬のセットを終えて帰ってほしい」と思っている方も多くおられると思います。

本来であれば時間をかけて人間関係の構築を行い、お互いにとって有益な関係を築くことが理想ではあると思うのですが、正直いいまして、在宅へ行っている方全員とそのような関係を築くことは難しいです。

その中で、マンネリ化せずに「報告書・計画書」を作り続けるためには、テーマ・戦略をもって「変化の有無」を確認し続ける作業が求められると私は考えます。

食事・睡眠・排泄・認知・運動

を5つのテーマとして薬の効果・服用状況・残薬をからめがら文章を作成していきます。

時には「季節」も盛り込みながら文章を膨らませます。(花粉・夏場・寒さなど)

上記を踏まえると、調剤薬局内で行う投薬、一般的な薬歴の内容に「患者様宅で観察できること」を追加して文章を仕上げると、ある程度の内容を伴った「報告書」を作成できると考えました。

「計画書」に関しても難しく考えず

食事・睡眠・排泄・認知・運動に起因する服薬状況・薬効確認・飲み忘れ・残薬対応を疾患とからめて1つ作成し、計画書の軸とします。

体調に変化がない場合は、しばらくは「計画書」は変更しません。

例えば

「服薬状況の確認・残薬確認」だけだとちょっと寂しいなぁという場合は

「眠剤の使用状況と睡眠状況・日中の活動状況の把握」

「錠剤の飲み込み、誤嚥の頻度、剤形の適正化を継続してフォロー」

「下剤の使用状況、排便の満足度を確認」

などなどでしょうか。これに花粉症、水分摂取、冷え、季節の変わり目などといった季節柄の注意事項を盛り込むと肉付けになるかもしれません。

 

「計画書」に関しては患者様の体調が変わりない状況下ではコロコロ変更せずに、患者様から訴えがあった場合や「お困りごと」があった際に、検討する程度でいいかと考えます。

 

 

 

 

 

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業

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ojiyaku