下剤をお渡しする際に患者様へお伝えすること・下剤の薬歴について

下剤をお渡しする際に患者様へお伝えすること・下剤の薬歴について

 

下剤を定期的に飲んでいる方にお薬の効果・有害事象を確認することはよくあるのですが

「排便状況の確認」「軟便・水様便になる場合は調節すること」「水分摂取の励行」「食事内容の見直し」「軽度の散歩・体操・腹部マッサージ」といった内容のお話・薬歴を書くことが多い感じです。

benpi

ここ数年で下剤の種類も増えてきており、薬剤ごとに特徴的な有害事象もありますので、そのあたりを中心に下剤をお渡する際に患者様へお伝えすること、薬歴について自分なりにまとめてみました。

グーフィス錠

・食前に使用して食事をとってください。グーフィス錠を飲んだ後、食事をとらないとグーフィス錠の吸収量が3~4倍程度高くなる可能性があります。

 

・服用後の腹痛・下痢・軟便・便意切迫といった有害事象が続く場合は薬の効き目が強いことが想定されますので早めに医師へ相談しましょう

 

・悪心・嘔吐・胃部不快感・膨満感といった胃腸障害はでていないことを確認した。

 

・めまい・ふらつき・頭痛などの神経系の障害はでていないことを確認した。

 

・食欲低下・吐き気・倦怠感・尿の色が濃くなる・むくみ・おなかが張るといった肝機能低下の前兆となる自覚症状はでていないことを確認した。

 

・グーフィス錠服用後の蕁麻疹・発疹・掻痒感といった皮膚トラブルが出ていないことを確認した。

 

・腸のはたらきを促す効果がありますが、それに伴い腹痛・悪心・胃部不快感といった症状が現れることがあります。服用後の胃腸障害の程度がひどい場合は早めに医師へ相談すること。

リンゼス

添付文書上の用法は“食前”とされていますが、食事の影響は受けない製剤です。

(グーフィス錠のような食事の影響はありません)

 

・頻度は低いですが、リンゼスを使用した方の中に“重度の下痢”を生じた例が報告されております。服用後、便秘切迫・便失禁が頻回続く場合は脱水・電解質異常などの体調不良が生じることがありますので、体調変化を感じた際は早めに医師へ連絡すること。

 

・リンゼス使用後に軟便・水様便が続く場合は脱水・起立性低血圧・めまいに十分注意し適切な水分補給・電解質補給を行いましょう。薬の効果が強くでている可能性があるため服用量について医師へ相談すること。

 

・服用後の腹部不快感・腹部膨満感・腹痛といった胃腸障害の有害事象は出ていないことを確認した。

 

・悪心・嘔吐・おなかのはり(鼓腸)・口喝といった胃腸障害や食欲減退を伴う消化器症状はでていないことを確認した。

 

・食欲低下・吐き気・倦怠感・尿の色が濃くなる・むくみ・おなかが張るといった肝機能低下の前兆となる自覚症状はでていないことを確認した。

 

アミティーザ

・胸部不快感・呼吸困難・倦怠感・浮腫みなどの全身障害関連の有害事象はでていないことを確認した。

(アミティーザは胸部不快感(5.4%)という特徴的な副作用が報告されております)

 

・服用による頭痛・めまい・感覚鈍化などの神経系の有害事象はでていないことを確認した。

 

・服用後の腹痛・下痢・軟便・便意切迫といった有害事象が続く場合は薬の効き目が強いことが想定されますので早めに医師へ相談しましょう

 

・嘔吐・胃部不快感・悪心・膨満感といった胃腸障害はでていないことを確認した。

 

・服用に伴う動悸・頻脈・脱力感・倦怠感といった心疾患系の有害事象は出ていないことを確認した。軟便・水様便が続く場合は脱水対策として水分補給・電解質補給を行うこと。

 

・胃腸のはたらきを促す効果がありますが、それに伴い腹痛・悪心・胃部不快感といった症状が現れることがあります。服用後の胃腸障害の程度がひどい場合は早めに医師へ相談すること。

モビコール配合内用剤

・下痢・腹痛・水様便・軟便といった症状が続く場合は薬の効き目が強く出ている可能性がありますので服用量を調節しましょう。

 

・腹部膨満感・不快感・口喝・食欲減退・味覚異常といった胃腸関連の有害事象は出ていないことを確認した。

 

プルゼニド・アローゼン

・長期連続服用に伴い腸運動の亢進し、頻回の下痢症状に起因する低カリウム血症が報告されております。軟便・水様便が習慣化している場合は脱水・電解質異常に十分注意すること。

 

・長期間の連続服用により大腸の働きが弱まり、薬の量がどんどん増えていく重症便秘が報告されております(大腸メラノーシスなど)。いままでと同じ量を飲んでも便がでないと感じる場合は、早めにご相談ください。

 

・胃腸のはたらきを促す効果がありますが、それに伴い腹痛・悪心・胃部不快感といった症状が現れることがあります。服用後の胃腸障害の程度がひどい場合は早めに医師へ相談すること。

酸化マグネシウム

・全身のむくみ・尿量の減少・頻尿・倦怠感などの体調変化を感じる場合、腎機能低下の兆候となる可能性があります。腎機能低下は酸化マグネシウムの排泄を遅延させて高マグネシウム血症を引き起こすことが報告されておりますので、排尿時の違和感・浮腫みがつづく場合は早めに主治医へ連絡しましょう。

 

・悪心・嘔吐・血圧低下・徐脈・筋力低下といった自覚症状を感じる場合は高マグネシウム血症の可能性がありますので、上記のような異常を感じた場合は医師へ連絡すること。

 

・軟便・水様便が長期間続く場合は脱水・電解質異常を引き起こす可能性がありますので適切な便の硬さになるよう服用量を調節しましょう。

酸化マグネシウムをずっと飲み続けても大丈夫かどうか

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業