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100倍量のモルヒネを処方された患者がモルヒネ中毒で死亡

100倍量のモルヒネを処方された患者がモルヒネ中毒で死亡

2021年2月に東京都国分寺市の「武蔵国分寺公園クリニック」の40代医師(女性)と市外の調剤薬局の60代薬剤師(女性)が必要量の100倍にあたるモルヒネを誤って処方し、患者男性(93歳)を死亡させたとして書類送検されました。

93歳の男性患者はモルヒネの粉薬を服用し、1週間後にモルヒネ中毒により亡くなっています。

医師が電子カルテの入力を誤り、薬剤師が処方箋に従って薬を調剤したことが原因としています。

警視庁の任意の事情聴取に対し、2人は容疑を認めているということです。

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このニュースを聞いて薬局や病院でモルヒネ原末を扱ったことがある薬剤師であれば「モルヒネ原末は100倍散で使用する薬だなぁ」とイメージできるんですよね。

モルヒネは咳止めや痛み止めに対して1回に5~10mgを飲む薬なのですが、モルヒネ原末を0.01gとか0.005gとか計測するのは難しいため、あらかじめ

モルヒネ0.1g + 乳糖9.9g を混合しておき「100倍散モルヒネ」を作っておくんですよね。

こうすると、100倍散のモルヒネ1gの中には10mgのモルヒネが含まれていますので、

1回に100倍散モルヒネを0.5~1gで調剤することが可能となります。

 

今回の事件では「電子カルテの入力を誤り100倍量が処方された」わけですから、

モルヒネ原末500mg~1gが記載されていたことが想像されます。

 

このニュースを見て現場の薬剤師として感じたことは、

「普段から扱っている薬であれば気づくことができるはず」であり、「普段扱っていない薬であれば、よくよく調べて扱うべきである」ということです。

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業