眠剤をお渡しする際の注意点としては「アルコールと併用しないこと」「残眠感が残る場合は車の運転には避けること」「翌朝の眠気持越しに注意すること」「服用後は速やかに床に就くこと」「服用翌日のふらつき・傾眠がおこらないか確認すること」といった感じで投薬・薬歴記載を行うことが多いのですが、Do処方で同じ眠剤をずーっと使用している患者様に
お伝えすることや確認することは同じような感じになってしまう現状がありました。そこで投薬・薬歴内容について重大な副作用や、その他の副作用をしっかり確認して投薬・薬歴の内容をじっくり検討してみました。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬では以下の禁忌・原則禁忌があります
禁忌:重症筋無力症/急性隅角緑内障
原則禁忌:呼吸機能が高度に低下している場合(呼吸抑制の恐れがあるため)
レンドルミン
残眠感・眠気:144件
ふらつき:66件
頭重感:50件
めまい25件
だるさ:48件
重大な副作用に肝機能障害という記載があるものの、肝機能・腎機能などの検査値に関しては、取り立てて有害事象頻度が高い報告はなされておりません。
ハルシオン
眠気:152件
ふらつき感:128件
倦怠感:97件
頭痛:40件
頭重感:51件
口喝:13件
下痢:12件
ハルシオンの副作用発現率は消化器関連(口喝・下痢)の副作用がみられますが、それ以外はだいたいレンドルミンと同じ感じです
マイスリー
不動性めまい:62件
傾眠:55件
倦怠感:34件
悪心:29件
ALT上昇:29件
頭痛:26件
γGTP上昇:24件
AST上昇:20件
疲労感:12件
記憶障害:16件
レンドルミンの副作用に肝機能異常・悪心(胃腸障害)が追加されたような感じの副作用頻度となっております。
サイレース
ふらつき感:250件
眠気:239件
倦怠感:168件
頭痛:68件
めまい46件
ALT上昇:40件
口喝:26件
ST上昇:26件
頭がぼーっとする:26件
脱力感:24件
頭重感:19件
サイレースにはレンドルミンには見られない重大な副作用として「刺激興奮・錯乱」という副作用が報告されていますので、初回服用時には気に留めてよいかもしれません。
その他の副作用としては、マイスリーと似たようなラインナップとなっており、発現頻度が高い印象を受けます。
ベルソムラ
併用禁忌:イトリゾール・クラリス・HIV感染症治療薬
傾眠:167件
頭痛:63件
疲労:56件
口腔内乾燥:45件
異常な夢:36件
不動性めまい:32件
悪夢:27件
悪心:24件
ベルソムラは日中の疲労感・口腔内乾燥・異常な夢・悪夢といった特徴的な副作用が報告されていますので、継続服用されている患者様に対して、ベンゾジアゼピン系の副作用とは異なる確認事項を検討してもいいかもしれません。肝機能等の検査値異常に関する報告はそれほど多くありません。
ロゼレム
禁忌:ルボックス(デプロメール)
傾眠:63件
頭痛:18件
不動性めまい:10件
倦怠感:9件
γGTP増加:9件
皮膚トラブル:9件
ALT増加:7件
AST増加:4件
肝機能異常:6件
悪心:6件
ロゼレムは全体的な副作用報告数が少ないため、何とも言えませんが、肝機能関連・皮膚トラブル関連の副作用が他剤にくらべて多いかもしれません。
ルネスタ
味覚異常:118件(36.3%)
傾眠:12件(3.7%)
頭痛:7件
口喝:6件
不動性めまい:4件
ルネスタ服用の3人に1人が味覚異常を訴える薬です。食事がおいしく食べられているかどうか、食欲減退・体重減少といった自覚症状が出ていないかどうかは確認が必要です。
さらに海外での報告では上記に加えて、異常な夢・神経過敏・咽頭炎・感染・鼻炎といった副作用も1~2%の割合で報告されておりますので注意が必要かもしれません。
・服用翌朝に眠気が持ち越して朝起きられない・起床時に足元がふらつくといった残眠感はでていないことを確認した。
・眠剤を服用することで、日中の頭重感・めまい・倦怠感・集中力低下など、日中の生活に支障をきたすような副作用はでていないことを確認した。
・日中に頭がぼーっとする、力がはいらない(脱力感)、だるい(倦怠感)といった活力低下・思考力低下に関する副作用はみられないことを確認した。
・日中に頭痛を感じる・頭が重い感じがする・不快感・不安感が増長するといった精神神経系の有害事象は感じていないとを確認した。
・眠剤服用により口喝・下痢・便秘・食欲変動などの胃腸障害に関する自覚症状はでていないことを確認した。
・食欲低下・吐き気・倦怠感・尿の色が濃くなる・むくみ・おなかが張るといった肝機能低下の前兆となる自覚症状はでていないことを確認した。
・ベルソムラを服用した翌朝に嫌な夢で目が覚める(悪夢・異常な夢)といった経験は見られないことを確認した。
・ルネスタを服用してから、ご飯がおいしくない(味覚異常)、苦みを感じる、体重減少、食欲低下・口喝などの消化器関連の副作用はでていないことを確認した。
・ルネスタを服用してから継続的な喉の痛み・鼻水症状といった感染に関する副作用はでていないことを確認した。
・眠剤服用後の不眠・刺激興奮・錯乱といった本来の作用とは逆の症状を呈することがあればすぐに主治医へ連絡してください
・服用翌朝以後の眠気・注意力・集中力の低下が起こることがありますので、自動車の運転には十分注意すること(避けること)を伝えました。
・アルコールとの併用により眠剤の排泄が遅延することで鎮静作用・倦怠感が増強されることが報告されているので併用しないこと。
・睡眠薬は寝る直前に使用すること。服用後は速やかに床に就きましょう。TVや電気、スマホなどの光源は消して眠れる状況を作りましょう。
上記の内容をwindowsの単語登録に登録し、電子薬歴を入力する際に通常の薬歴に1行でも追記すると既存の薬歴にボリュームを持たせることができるような気がします。