急性心筋梗塞により経皮的冠動脈形成術(PCI治療)を行った患者さんが1年間エフィエント錠またはブリリンタ錠を服用した時の効果を比較するデータが公開されました。
被験者:急性心筋梗塞によりPCI治療を受けた1230例
治療期間:術後1年間
服用薬:エフィエント錠またはブリリンタ錠をランダムに振り分け
一次エンドポイント:1年以内の心血管死・急性心筋梗塞・脳卒中の発症リスク
結果
一次エンドポイント
エフィエント群:6.6%
ブリリンタ群:5.7%
心血管死亡リスク
エフィエント群:3.3%
ブリリンタ群:3.0%
急性心筋梗塞リスク
エフィエント群:3.0%
ブリリンタ群:2.5%
脳卒中リスク
エフィエント群:1.1%
ブリリンタ群:0.7%
全死亡率
エフィエント群:4.7%
ブリリンタ群:4.2%
ステント血栓症リスク
エフィエント群:1.1%
ブリリンタ群:1.5%
出血リスク
エフィエント群:10.9%
ブリリンタ群:11.1%
結論
「急性心筋梗塞によりPCI治療を行った患者さんにおける、エフィエント錠またはブリリンタ錠の効果は同様に有効である」とまとめています。各エンドポイント発症率を確認してもても、ほとんど同じ、多少ブリリンタ錠の方がいいかなぁ程度となっています。
この報告はチェコの医療チームが報告したものですが、エフィエント錠を服用した633人のうち216人、ブリリンタ錠を服用した597人のうち265人が経済的理由によりクロピドグレル(プラビックスのジェネリック)へ切り替えを行っていました。
経済的理由によりエフィエントまたはブリリンタからクロピドグレルへ切り替えを行った群を、本研究群と比較したデータによると主な心血管リスク(心血管死、非致死性の心筋梗塞・脳卒中)の発症リスクが低下していたというユニークな結果となっています。
クロピドグレル切り替え群の心血管リスク:2.5%
本研究(エフィエントまたはブリリンタ)服用群の心血管リスク:8.5%
さらに出血リスクに関しても
クロピドグレル切り替え群の心血管リスク:7.3%%
本研究(エフィエントまたはブリリンタ)服用群の心血管リスク:13.4%
というデータとなっており、クロピドグレルへの切り替えで出血リスクが有意に低下していました。
薬のはたらきだけを言いますと、クロピドグレルはプロドラッグですので、肝臓の代謝酵素量により個人差が出やすい薬であるのに対して、ブリリンタ錠はプロドラッグではありませんので、一律の効果が期待できるという印象があるのですが、本研究の付属データではクロピドグレルに軍配が上がっていました。この辺りの解釈は難しいところです。
ともあれ、メインテーマであるエフィエント錠とブリリンタ錠に関しては同等の試験結果であることが確認されました。