季節による帯状疱疹の発症率

季節による帯状疱疹の発症率

帯状疱疹

  • 原因:過去に感染した水痘ウイルス(VZV)が神経節に潜伏し、免疫低下時に再活性化して発症。
  • 主な症状:皮膚に帯状の水疱と激しい神経痛。胸部・背部・上肢・顔面などに現れる。
  • 神経痛:通常3週間ほどで改善するが、慢性化するケースも。帯状疱疹後神経痛として知られる。

診断と治療

  • 血液検査では抗体の有無が判断しづらいため、皮膚所見や問診が重要。
  • 水疱の内容液による検査キットが登場し、診断精度向上。
  • 抗ウイルス薬は早期投与が推奨される(アシクロビル、バラシクロビルなど)。

予防・ワクチン情報

  • 2025年4月より定期接種制度開始、原則65歳以上が対象。
  • 生ワクチンか不活化ワクチンの選択が可能。

季節性

  • 春(3月)と夏〜秋(7月〜10月)に患者数増加。
  • 冬期(11月〜1月)は横ばいまたは減少傾向。
  • 夏の疲労や免疫力低下が要因の可能性。

年齢・性別

  • 発症率は加齢とともに上昇。特に70代、80代が多く、帯状疱疹後神経痛のリスクも高い。
  • 男女差はわずかに女性が多いが、神経痛は男性の方がやや多い傾向。

治療薬の使用動向

薬剤名 使用傾向
アシクロビル 最も多く使用され、近年増加傾向あり
バラシクロビル塩酸塩 次いで使用されており、安定して推移中

季節による帯状疱疹の発症率

帯状疱疹予防ワクチン“シングリックス筋注用”が医薬品として承認申請

 

グラクソスミスが開発した帯状疱疹予防ワクチン“シングリックス筋注用”が2018年3月2日の薬食審医薬品第二部会において医薬品として承認されました。

既存で使用されていた帯状疱疹予防ワクチン(乾燥弱毒性水痘ワクチン「ビゲン」)は生ワクチンであったのに対して、シングリックス筋注用は遺伝子組み換えワクチンとなっています。臨床データを確認してみると

シングリックス筋注用の臨床データ

70歳以上の被験者(14800名以上)に対してシングリックス筋注用を2回(初回と2か月後)に筋肉内注射した結果、プラセボと比較して90%の有効性が実証されました。また50歳以上の成人を対象としたデータ(被験者16000名以上)においても同様の結果が報告されております。

 

さらに帯状疱疹後の神経性障害の予防効果についても実証されており、70歳以上の成人において神経性障害の予防効果は89%、50歳以上の成人においては91%の予防効果が示されています。

 

帯状疱疹後の神経性障害については、既存の発症者を対象としているのではなく、あくまでも予防効果(未然に防ぐ)についての報告です。

 

シングリックス筋注用は海外では2016年11月に欧州で、2017年11月に米国で医薬品として承認されております。

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業