尿路結石診療ガイドラインには「尿管結石(シュウ酸カルシウム)の再発予防薬として酸化マグネシウムを使用することに対して「推奨グレードC1」有効なエビデンスがないためマグネシウム製剤による再発予防効果は議論のあるところである。エビデンスは十分とは言えないが、日常診療で行っても良い
と記されています。
尿路結石診療ガイドライン2002年版の記載によると、酸化マグネシウムを尿管結石(シュウ酸カルシウム)の再発予防として使用する際は用量を少なくして投与する必要があると記されています。予防効果については議論の余地がある薬物療法ですが、わかる範囲で酸化マグネシウムによる尿管結石抑制作用について調べてみました。
尿管結石の原因はシュウ酸カルシウムが尿管に集積することです。酸化マグネシウムを摂取すると、腸管内でマグネシウムとシュウ酸が結合し腸管におけるシュウ酸の吸収を抑制します。またマグネシウムは尿中においても、カルシウムと置き換わってシュウ酸と結合し、シュウ酸マグネシウム(水に溶ける)を形成することで尿管結石を防ぐ効果が期待されています。
健常者7名、再発を繰り返す尿管結石患者4名を対象として、クエン酸マグネシウムまたは酸化マグネシウムを摂取した場合の尿管結抑制作用についての報告によると、1日486mg相当のマグネシウムを空腹時に2週間摂取した場合、尿中マグネシウム量は77mgから79mgへ増加し、1日当たりの尿中クエン酸塩の量は98mgから142mgへ増加、尿中カルシウム量は21~25mg増加したという報告があります。マグネシウムを食後に摂取した場合ではン法中マグネシウム量が顕著に増加し、尿中のシュウ酸塩量が減少したと報告されています。
筆者らは食後に酸化マグネシウムを摂取することが、シュウ酸カルシムの尿中飽和度が低下させ、尿管結石の再発を予防するのに寄与すると記しています。
また、他の報告では尿管結石の既往がない45619名の男性を被験者として調査したところ1473名が尿管結石を発症し、その食事内容を調査したところ1日に摂取するマグネシウムの量が少なく、ビタミンC摂取量が多い(1000mg以上)方が尿管結石を発症しやすいというデータが報告されています。