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鉄欠乏性貧血を改善するために服用するリオナの量は?

鉄欠乏性貧血を改善するために服用するリオナの量は?

 

日本たばこ(JT)と鳥居薬品はリオナ錠(高リン血症治療剤)に関して、鉄欠乏性貧血を対象とした国内臨床第三相試験の結果、7週間の服用によりフェロミア錠と比べて非劣勢が確認されたことを報告し、鉄欠乏性貧血を適応症とした効能追加申請を目指すことを公開しました。

リオナ錠の鉄欠乏性貧血患者を対象とした速報結果

リオナ錠(クエン酸第二鉄水和物)の特徴

 

リオナ錠は第二鉄(3価鉄)を有効成分とする薬であり、消化管内でリン酸とくっつくことで、リンの消化管吸収を抑制するための製剤です。そもそも第二鉄(3価鉄)は、第一鉄(2価鉄)と比較して、消化管から吸収されにくいことが知られており、リオナ錠の特徴は

・溶けやすい

・消化管内でリン酸とくっつきやすい

・消化管からの吸収を抑える

 

という目的でリン排泄を目的そて製造された医薬品です。

 

しかし、今回の効能追加申請はリオナ錠が吸収されて鉄欠乏性貧血を改善するという意図で第三相試験が行われております。

 

そこで、これまで公開されている情報をもとにして、一般的に吸収されにくいといわれる第二鉄(3価鉄)のリオナ錠をどの程度飲むと、吸収されるのかを調べてみました。

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リオナ錠の吸収経路

 

第二鉄(3価鉄)は大部分が吸収されずに糞便中に排泄されますが、一部の第二鉄(3価鉄)は腸上皮細胞の還元酵素により2価鉄に還元されて吸収されることが報告されております。

 

血液透析患者さんを対象として、1年間にわたってリオナ錠を様々な量で服用した場合の血清鉄の推移がインタビューフォームに記載されておりましたので、1年後の血清鉄の変化を概算で記します。

(血清鉄の基準値は男性:58~188μg/dl、女性48~170μg/dlです)

リオナ錠250mgを1日4錠服用した場合

スタート:血清鉄60μg/dl→1年後:約75μg/dl

 

リオナ錠250mgを1日6~12錠服用した場合

スタート:血清鉄60μg/dl→1年後:約81μg/dl

 

リオナ錠250mgを1日12~18錠服用した場合

スタート:血清鉄58μg/dl→1年後:約90μg/dl

 

リオナ錠250mgを1日18~20錠服用した場合

スタート:血清鉄58μg/dl→1年後:約122μg/dl

 

上記のようにリオナ錠をたくさん飲むと、それに相関して1年後の血清鉄の値も上昇していることがわかります。血清鉄と同じように血清フェリチン濃度(TSAT)もリオナ錠の服用量に相関して上昇していることもインタビューフォームには記されております。

日本たばこ・鳥居薬品が公開した速報結果には具体的なリオナ錠の服用量が記されておりませんでしたが、上記のデータを見る限り、ある程度の服用量が求められる可能性があります。

 

また、公開データにはリオナ錠服用群の悪心・嘔吐の発現率が13%と記されておりました。

一方で、既存のリオナ錠の添付文書には悪心・嘔吐の発現率は2%未満と記されております。

 

このあたりの副作用発現率に関しては、服用するリオナ錠の量や服用するタイミング(食後服用・空腹時服用など)によっても変わってくるかと思いますので、より詳細なデータが開示された時点で確認が必要かと思います。

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業