財務省が2023年11月1日に社会保障に関する「財務省案」を公開しました。
これは財務省が予算を作成する上での「案」でしかなく、「財務省案」をうけて厚生労働省が令和6年度の診療報酬に関して検討を進める流れです。
この財務省案は、かなり厳しめのコメントが記載されていることがおおく、直近で実現されることは無いイメージですが、5年後10年後には診療報酬に組み込まれる要素を含んでいると私は捉えいます。
以下に調剤薬局に関係があると思われる「財務省案」を記載します。
「対人業務」への真の意味でのシフトの必要性
・かねてより厚生労働省は薬剤師について、医師に処方された薬の調製・交付などの「対物中心の業務」から、処方内容を確認し、医師への疑義照会などにより重複投薬・相互作用等の防止、患者への服薬指導など、「対人業務」へのシフトを目指してきた。
・対人業務については、医療機関等への情報提供や在宅訪問への関与のように伸びているものもある一方で、多剤・重複投薬に係る患者や医師との調整を評価する点数といった算定回数が少ないものも存在する。また、2022年度改定では対人業務の評価体系の見直しが行われたが、既存の点数の一部を表面上対人業務と整理するにとどまっている。
改革の方向性(案)
・経済の実態も踏まえながら、処方箋集中率が高い薬局等における「調剤基本料1」の適用範囲等を見直す。
・調剤基本料1の薬局を対象とした地域支援体制加算1・2の要件について、地域医療に貢献する薬局を重点的に支援する観点から抜本的に見直す。
(見直し例:処方箋集中率が高い薬局の後発品調剤割合要件の見直し、残薬への対応や減薬の提案に係る実績の必須化、「地域連携薬局」の認定を受けていることを要件化)
・わが国は1人当たりの医薬品費が先進国の中で極めて高い(世界で第二位)ことを踏まえ、長期収載品等の自己負担の在り方を見直す必要がある
・毎年薬価改定が行われる中で、2年に1度しか適用されないルールがあるのは説明が困難。例えば、新薬創出加算の控除などについては、収載のタイミングによる不公平も生じる。こうしたことから、令和7年度改定では、既収載品の算定ルールについて、すべて適用するべきである。