東北大学の研究グループは「体内の鉛が子供の発達に与える影響」について報告を行いました。
その結果、12歳児の血中鉛濃度および出生時の臍帯血中の鉛濃度は、12歳時点での知能検査や語彙検査の結果に影響を及ぼすことを明らかにしました。
(鉛の影響について、女児では観察されず男児でのみ示されました)
12歳児男子の血液中の鉛濃度を4群に分け、知能検査・語彙検査を行ったデータを確認したところ
知能指数
血中鉛濃度(0.33~0.57μg/dl群):99.6
血中鉛濃度(0.58~0.70μg/dl群):96.7
血中鉛濃度(0.71~0.89μg/dl群):95.8
血中鉛濃度(0.90~1.71μg/dl群):93.1
語彙検査
血中鉛濃度(0.33~0.57μg/dl群):43.4
血中鉛濃度(0.58~0.70μg/dl群):42.4
血中鉛濃度(0.71~0.89μg/dl群):42.3
血中鉛濃度(0.90~1.71μg/dl群):41.2
上記のように血液中の鉛濃度が高いほど知能指数・語彙検査の得点が低くなることが示されました。同様の結果が臍帯血鉛濃度でも示されています。
鉛の暴露については、胎児期から新生児期、乳児期と継続的に暴露を続けることで、神経系への影響が示唆され、成長後における認知面や行動面における発達の遅れ・偏りとして検知されると考察されています。どこから、どの経路で鉛に暴露されるのか、暴露レベルの低減や暴露回避の方法について検討する必要があるとしています。
鉛の暴露については、1980年代ころまでは水道管の給水管にも鉛管が使用されておりましたが、1995年以降は水道給水管への鉛使用が禁止されております。