2018年度の厚生労働省予算案についての大臣折衝が行われ、調剤報酬を0.55%引き上げることが決められました。改定率は医科0.63%、歯科0.69%、調剤0.19%の引き上げです。
薬価改等改定率に関しては医療費ベースで1.74%の引き下げとなります(薬価ベースで7.5%ほどの引き下げ)。調剤薬局としては、いままで以上に「対物業務」から「対人業務」へと業務内容の見直しが求められるかもしれません。
調剤については大型門前薬局の損益率が高いことから、国費として60億円程度の見直しを行うことで合意されました。2016年度は大型門前薬局に対する措置として40億円程度の引き下げが行われましたので、2018年度はそれを上回る額の見直しが行われることとなります。
今後の審議により、大型門前としての定義(グループとしての処方箋枚数)と、処方箋集中率が検討され、調剤基本料の在り方が見直されるものと思われます。
・2016年度薬価改定うちわけ
実勢価改定等:-1.33%
市場拡大再算定:-0.19%
市場拡大再算定の特例等:-0.29%
その他
総計:-1.82
・2018年度薬価改定うちわけ
実勢価改定等:-1.39%
市場拡大再算定:-0.05%
市場拡大再算定の特例等:-0.02%
薬価制度の抜本改革:-0.29%
その他
総計:-1.74%
2018年度の薬価改定率を2016年度と比較すると、総額としては同程度(薬価ベースで7.5%程度ほど)の減額となります。市場規模としては2018年4月1日付で7000~7500億円ほどが消えることとなります。
2016年度と2018年度での大きな違いは、具体的に減額となる品目数が大幅に異なることです。2016年度の減額率は市場拡大再算定および特例等で-0.48%を占めています。具体的な品目としてハーボニー、ソバルディ、アバスチン、プラビックスなどの販売額が大きい医薬品10品目ほどが減額対象となっていました。
しかし、2018年度の市場拡大再算定および特例等が占める率は-0.07%程度でしかありません。一方、2018年度は「薬価制度の抜本改革」が-0.29%を占めています。つまり「新薬創出加算の対象品目を見直す」「長期収載品の薬価を段階的に減額」などの要件を満たす品目に関して薬価の大幅な見直しが行われます。
調剤薬局の在庫を考えますと、2018年4月1日付で「先発品・長期収載品・乖離率の大きい後発医薬品」など抜本改革の要件を満たす多くの品目が今まで以上の減額となる見通しです。そのため薬局としては年度末の在庫管理に、いままで以上に頭を使う感じになるかもしれません。