2017年11月、THE LANCETにて骨粗しょう症治療薬フォルテオとアクトネル(ベネット)についての比較データが掲載されました。
~アクトネル(ベネット)錠の作用~
アクトネル(ベネット)が骨表面に付着し、破骨細胞のアポトーシスを誘導することで骨吸収を抑制し、骨密度の低下を抑えるはたらき
~フォルテオ皮下注の作用~
フォルテオ(テリパラチド)は内因性ヒト副甲状腺ホルモンの活性本体であり、骨芽細胞への分化促進作用、アポトーシス抑制作用により骨形成が促進されます。
つまり、アクトネル(ベネット)は骨が壊れることを抑制する薬であり、フォルテオは骨を作ることを促進する薬ですので、目的は同じですが作用は異なります。
・少なくとも2回の中程度または1回の重度の脊椎圧迫骨折の既往
・Tスコア(若年齢の平均(基準値)が0)が-1.5以下
・閉経後の女性
という条件を満たした患者さんをアクトネル(ベネット)群680例、フォルテオ群680例に振り分けて2年間の治療結果による骨折頻度を評価しています。
・アクトネル(ベネット)群:1週間に1回35mg服用
・フォルテオ群:1日1回20㎍皮下注
(注:日本国内ではアクトネル(ベネット)の用量は1週間に1回17.5mgです。フォルテオは国内と同量です)
新規で生じた脊椎圧迫骨折リスク/(2年間)
・アクトネル(ベネット)群:64例(12%)
・フォルテオ群:28例(5.4%)
(有意差あり)
フォルテオ群がアクトネル(ベネット)群に比べて脊椎圧迫骨折リスクを低下しています。
尚、脊椎圧迫骨折以外の脆弱性骨折リスク/(2年間)に関しては
・アクトネル(ベネット)群:38例(6.1%)
・フォルテオ群:25例(4%)
という報告ですが、有意差はでておりません。
「重度の骨粗しょう症を有する閉経後の女性に関して、新規で生じる脊椎圧迫骨折リスクはフォルテオ群が有意に低い」とまとめています。
国内の骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2015年版による薬剤による有効性の評価を確認してみると
アクトネル(ベネット)
骨密度の上昇効果、椎体骨骨折抑制、非椎体骨折抑制、大腿骨近位部骨折抑制
いずれの評価に関してもグレードAとなっています。
骨密度の上昇効果、椎体骨骨折抑制、非椎体骨折抑制:グレードA
大腿骨近位部骨折抑制:抑制するという報告がない:グレードC
「フォルテオは第一選択薬ではないため、ビスホスホネートやSERMなどの治療でも骨折を生じた例、高齢者で複数の椎体骨折や大腿部近位骨折を生じた例、骨密度低下が著しい例などで使用がすすめられる」としています。
備考
薬価(2017年)
アクトネル錠2.5mg:100.8円
アクトネル錠17.5mg:620.7円
アクトネル錠75mg:2770.6円
ベネット2.5mg:101.2円
ベネット錠17.5円:628.1円
ベネット錠75mg:2804.2円
フォルテオ皮下注600:43334円
(フォルテオの投与は24か月間まで)