おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

診療報酬改定

2018年度診療報酬改定の調剤薬局への影響:薬価等改定率-1.74%、調剤+0.19%

投稿日:2017年12月19日 更新日:

2018年度診療報酬改定の調剤薬局への影響:薬価等改定率-1.74%、調剤+0.19%

 

2018年度の厚生労働省予算案についての大臣折衝が行われ、調剤報酬を0.55%引き上げることが決められました。改定率は医科0.63%、歯科0.69%、調剤0.19%の引き上げです。

 

薬価改等改定率に関しては医療費ベースで1.74%の引き下げとなります(薬価ベースで7.5%ほどの引き下げ)。調剤薬局としては、いままで以上に「対物業務」から「対人業務」へと業務内容の見直しが求められるかもしれません。

2018年度「調剤報酬にかかる検討事項」を開示

~調剤~

 

調剤については大型門前薬局の損益率が高いことから、国費として60億円程度の見直しを行うことで合意されました。2016年度は大型門前薬局に対する措置として40億円程度の引き下げが行われましたので、2018年度はそれを上回る額の見直しが行われることとなります。

 

今後の審議により、大型門前としての定義(グループとしての処方箋枚数)と、処方箋集中率が検討され、調剤基本料の在り方が見直されるものと思われます。

Excelとレセコンデータで調剤薬局の発注点を出力する

~薬価改定に関して~

 

・2016年度薬価改定うちわけ

実勢価改定等:-1.33%

市場拡大再算定:-0.19%

市場拡大再算定の特例等:-0.29%

その他

総計:-1.82

 

・2018年度薬価改定うちわけ

実勢価改定等:-1.39%

市場拡大再算定:-0.05%

市場拡大再算定の特例等:-0.02%

薬価制度の抜本改革:-0.29%

その他

総計:-1.74%

2018年度の薬価改定率を2016年度と比較すると、総額としては同程度(薬価ベースで7.5%程度ほど)の減額となります。市場規模としては2018年4月1日付で7000~7500億円ほどが消えることとなります。

 

2016年度と2018年度での大きな違いは、具体的に減額となる品目数が大幅に異なることです。2016年度の減額率は市場拡大再算定および特例等で-0.48%を占めています。具体的な品目としてハーボニー、ソバルディ、アバスチン、プラビックスなどの販売額が大きい医薬品10品目ほどが減額対象となっていました。

 

しかし、2018年度の市場拡大再算定および特例等が占める率は-0.07%程度でしかありません。一方、2018年度は「薬価制度の抜本改革」が-0.29%を占めています。つまり「新薬創出加算の対象品目を見直す」「長期収載品の薬価を段階的に減額」などの要件を満たす品目に関して薬価の大幅な見直しが行われます。

 

調剤薬局の在庫を考えますと、2018年4月1日付で「先発品・長期収載品・乖離率の大きい後発医薬品」など抜本改革の要件を満たす多くの品目が今まで以上の減額となる見通しです。そのため薬局としては年度末の在庫管理に、いままで以上に頭を使う感じになるかもしれません。

Excelとレセコンデータで調剤薬局の発注点を出力する

 

-診療報酬改定

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

2017-12-8-sinyaku-sousyutu-tejuiygau

新薬創出・適応外薬解消等促進加算の修正案(2017年12月8日)

新薬創出・適応外薬解消等促進加算の修正案(2017年12月8日)   2018年11月28日に一部公開された「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について、各製薬団体から猛反対があったことを受 …

otc-tekiougai

病院から処方される風邪薬は、やっぱり保険適応外とはならない?

病院から処方される風邪薬は、やっぱり保険適応外とはならない? 2019年12月19日、政府は全世代型社会保障検討会議が中間報告をまとめました。 11月中の話題としては ・後期高齢者の自己負担割合を2割 …

2020-tanzaku

2020年度調剤報酬改定~地域支援体制加算は猶予期間あり2021年4月~

2020年度調剤報酬改定~地域支援体制加算は猶予期間あり2021年4月~ 地域支援体制加算 調剤基本料1を算定している薬局が算定している地域支援体制加算について算定要件が厳しくなりました。 ・在宅患者 …

my-number

医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱いについての疑義解釈資料(その1)が公開(2022/9/7)

医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱いについての疑義解釈資料(その1)が公開(2022/9/7) マイナナンバーカードを使用した顔認証システムに関して令和4年10月1日から医療機関におけるルー …

H30-4-1-yakka-9%-down

平成30年4月1日適用の薬価を公開、内服薬は平均9%引き下げ

平成30年4月1日適用の薬価を公開、内服薬は平均9%引き下げ   厚生労働省は2018年3月5日、新薬価(4月1日以降)を公開しました。 全体的な薬価の引き下げ額としては 内服薬:平均9%引 …