目薬ってどうやって効くの?〜吸収のしくみと使い方のコツ〜
目がかゆいとき、乾いたとき、疲れたとき…。そんなときに使う「目薬」。でも、目薬って目にさすだけでどうして効くのでしょう?今回は、目薬が体にどう吸収されるのか、どんな経路で効いていくのか、そして使うときの注意点について、わかりやすく説明します。
目薬の吸収率ってどれくらい?
まず、「吸収率」とは、目薬に含まれる薬の成分が、どれだけ体に取り込まれるかを表す言葉です。目薬は眼球内にとどまって作用が期待される製剤ですので、血液中に入って薬の成分が全身に到達する量としては数%しかありません。
目の表面には「角膜(かくまく)」という透明な膜があります。この角膜を通って薬が吸収されます。
吸収速度は意外と早い!
目薬が吸収されるまでの速度は意外と早いです。目薬をさしてから、薬が角膜を通って目の中に届くまでの時間は、数分〜10分程度です。そのため、目薬をさしたあとすぐに目をこすったり、洗ったりすると、せっかくの薬が流れてしまうこともあります。
尚、目薬を1滴の量は0.05ml程度であり、目の容量は0.03ml程度ですので、目薬を1滴入れることができれば、充分量が入ったことになります。1回の点眼で2滴は入りません。
目薬の吸収経路はどこを通る?
目薬の成分は、主に以下の3つの経路を通って吸収されます:
角膜から目の中へ
→ これは目薬の主な吸収ルート。角膜(黒目の部分)を通って目の中の「前房(ぜんぼう)」という部分に届きます。結膜(けつまく)から血管へ
→ 結膜は白目の部分を覆っている膜です。ここから血管に入ると、薬が全身に回ることもあります。涙管(るいかん)から鼻へ
→ 目と鼻は「涙管」という細い管でつながっています。目薬の一部はここを通って鼻に流れ、そこから吸収されることもあります。
このように、目薬は目だけでなく、鼻や血管を通じて少量が体に吸収されることもあるのです。
例えばですが、緑内障の目薬の中で、β遮断薬という分類の目薬は、喘息患者さんの喘息発作を悪化させる可能性があるとして、使用してはいけないというルールになっています。このあたりが全身作用を危惧した例になるかと思います。
目薬を使うときの注意点
目薬を正しく使うことで、効果をしっかり得ることができます。以下のポイントに気をつけましょう。
手を洗ってから使う
→ 目はとてもデリケート。手にバイ菌がついていると、目に感染することがあります。容器の先を目に触れさせない
→ 目薬の先が目やまつ毛に触れると、容器の中に菌が入ることがあります。1滴で十分!
→ 目の表面にとどまれる液体の量は限られています。2滴以上さしても、ほとんどが流れてしまいます。さした後は軽く目を閉じる
→ 目をギュッとつぶると、薬が涙管に流れてしまいます。軽く閉じて、1〜2分ほど休むのがベスト。複数の目薬を使うときは5分以上あける
→ すぐに別の目薬をさすと、最初の薬が流れてしまうことがあります。5〜10分ほど間をあけましょう。
目薬が苦手な子供には?
どうしても目薬がにがてはお子さんに点眼をする際は、下のイラストのように目を閉じたこども目頭に目薬を1滴おとします。その後、数回まばたきをしてもらうか、またはあっかんべーのように下瞼をかるく下にさげて、目薬を目の中におとします。その後は30秒ほど目を閉じてもらいましょう。
お子さんが1~2歳でじっとしていられない場合は、下のイラストのようにお子さんを床にあおむけにして、ばんざいをしてもらいます。おこさんの頭側にまわって、お子さんの両腕に自分の両足をのせます。また、うち太ももでお子さんお顔を固定してから点眼してみてください。
寝ている時に点眼できれば理想ですが、起きている時であっても、上記の姿勢で点眼をするとある程度は目薬を目に入れることができます。
手が震えて目薬がこぼれてしまう場合
手の力が入らないばあいや、パーキンソン病などで手が震えてしまうと目薬をうまく差すことができず、目からこぼれてしまうことはよくあります。この場合、目じりが炎症をおこしていたくなるという事例も起こりえます。
そのような場合は点眼補助器具をお勧めします。
「らくらく点眼」はカップを目の上にしっかり固定できるので、一回で無駄なく点眼できます。また、カップの高さを一定に保つことができるので、目薬の先が眼球に触れることなく、衛生的に目薬を使用することが可能です。
まとめ
目薬は、さっとさすだけで目の不調をやわらげてくれる便利な薬。でも、吸収率は低く、正しく使わないと効果が十分に出ないこともあります。吸収速度は早いので、さした後はすぐにこすらないようにしましょう。
目薬の成分は、角膜や結膜、涙管などを通って体に吸収されます。だからこそ、使い方にはちょっとしたコツが必要です。正しく使えば、目のトラブルもぐっと減らせるはず!