平成30年4月1日以降の薬価が公開されましたが、その中で価格乖離の大きい後発医薬品が続々と統一名収載へ変更されていることがわかりました。
平成30年度薬価制度の抜本改革において後発品の価格帯については
「毎年改定では、価格乖離の大きい品目についてのみ、その加重平均値を新たな価格帯と
する改定を行うこととする。ただし、統一名収載の価格帯については、1品目とみなし、全体として価格乖離の大きい品目である場合に、全体の加重平均にて改定を行うこととする。」
と記されていました。
具体的な品目例見てみると
エビリファイ錠のGEであるアリピプラゾール錠6mgは2017年6月16日に11社の製品が薬価収載されました。この時点では11社の製品の薬価は同じでした。しかし、平成30年4月1日薬価を確認してみると
(製品名:発売当初の薬価→平成30年4月1日薬価)
アリピプラゾール錠6mg「JG」:54円→42.2円
アリピプラゾール錠6mg「タカタ」:54円→42.2円
アリピプラゾール錠6mg「トーワ」:54円→42.2円
アリピプラゾール錠6mg「明治」:54円→42.2円
上記以外の7社
アリピプラゾール6mg錠(1):54円→29.8円
平成30年度薬価関連(後発品・新薬創出加算・市場拡大再算定・長期収載品の薬価引き下げ)
となっています。上記のように同日発売の後発医薬品の薬価に差が生じた要因としては、厚生労働省が明記していた「価格乖離」が考えられます。医療機関が医薬品を購入する価格(市場実勢価格)と実際の薬価との間の乖離(薬価差)が大きな品目については、全体の加重平均にて薬価が決められるルールであることを考慮すると、「JG」「タカタ」「トーワ」「明治」の4社は値引き率が小さいために統一名収載を回避しましたが、それ以外の7社は値引き率が大きい(価格乖離が大きい)ために薬価が低い統一名収載となったと解釈できます。
アリピプラゾール6mg錠の統一名には
アリピプラゾール6mg錠(1)
アリピプラゾール6mg錠(2)
とありますが、(1)が普通錠、(2)がOD錠を意味しています。
価格乖離によって統一名収載となった主な品目としては
・オランザピン10社程度(ジプレキサのGE)
・カンデサルタン15社以上(ブロプレスのGE)
・クロピドグレル4社以上(プラビックスのGE)
・ゾルピデム4社(マイスリーのGE)
・テルミサルタン10社以上(ミカルディスのGE)
・ドネペジル5社以上(アリセプトのGE)
・ナフトピジル5社(フリバスのGE)
・バルサルタン7社(ディオバンのGE)
・パロキセチン5社(パキシルのGE)
・モンテルカスト15社(キプレス・シングレアのGE)
・レボフロキサシン4社以上(クラビットのGE)
・ロサルタン/ロサルヒド4社以上(ニューロタのGE)
・セルトラリン4社(ジェイゾロフトのGE)
上記の製品に共通して言えることは、ここ数年の間でジェネリック医薬品として発売された薬であって、比較的薬価が高めの製品であるということです。後発メーカーとしては販売価格を下げても医療機関い採用されれば利益が得られるケースがあるため、品目によっては価格競争が起こります。その結果、薬価と市場実勢価格との間に乖離が生じてしまうことが厚生労働省の課題となっていました。
このことから、今後発売されるジェネリック医薬品に関しても大幅な値引きが行われれば価格乖離が大きいとみなされて、年に数回行われる薬価改定により、市場実勢価格に見合った統一名収載(薬価が低くなる)となるのかなぁと私は想像します。