月経困難症治療薬「ジェミーナ配合錠」を77日間連続服用した場合の副作用発現率98.8%
2018年7月2日、厚生労働省に新薬として
月経困難症治療薬「ジェミーナ配合錠」が承認されました。
これまで発売されていた月経困難症治療薬は28日間を1周期とする薬剤が多かったのですが、新規承認されたジェミーナ配合錠は28日間または84日間のどちらかを1周期とするかを患者さんの生活様式に応じて選択することが可能な製剤となっています。今回はジェミーナ配合錠について調べてみました。
〜ジェミーナ配合錠〜
主成分
レボノルゲストレル:0.09mg
エチニルエストラジオール:0.02mg
が配合された錠剤です。
月経困難症に対するヤーズ配合錠の効果
上記の2成分に関しては、これまで経口避妊薬(ピル)製剤として以下の商品名で使用されていた製剤です。
- アンジュ錠
- トリキュラー錠
- ラベルフィーユ錠
しかし、経口避妊薬として上記2成分を服用する際は、1日目〜6日目、7日目〜11日目、12日目〜21日目、22日〜28日目という具合に服用する量がそれぞれ決められています。
一方で、月経困難症治療薬として上記2成分を使用する際は一定量を服用することになります。そのためジェミーナ配合錠の重要な基本的注意として
「本剤を避妊目的で使用しないこと」という注意喚起がなされています。
(ピルとは服用量が異なるため別の薬という認識で捉えます)
月経困難症について
ジェミーナ配合錠の一番の特徴はその用法です。既存の月経困難症治療配合薬は21日間連続服用後、7日間休薬する用法が多いのですが、ジェミーナ配合錠はその用法にくわえて、1日1錠を毎日一定時刻に77日間連続経口投与し、その後7日間休薬する。以上84日間を1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず85日目から次の周期を開始する。という用法が新設されています。
生活様式に応じて用法を選択できることは、患者様にとっては有益に感じます。私的には、月経困難症治療薬は副作用が多い印象があったので、77日間連続服用したときのデータを確認してみました。
副作用歴
21日投与7日休薬群:副作用発現率83.2%
不正子宮出血(67.7%)、希発月経(27.1%)、月経過多(18.7%)、下腹部痛(14.2%)
77日投与後7日休薬群:副作用発現率98.8%
不正子宮出血(95.3%)、希発月経(86.0%)、月経過多(32.6%)、無月経(31.4%)、下腹部痛(31.4%)、過少月経(5.8%)
77日投与群では98.8%で何らかの副作用がでています。特に77日投与群で注視すべき点は「希発月経86.0%、無月経31.4%、過少月経5.8%」という数字です。
(希発月経:月経周期が39日以上90日未満)。
25〜38日の月経周期を維持するというこれまでの治療方針から、84日周期へサイクルを変更するわけですから、月経の遅延や過少、希発といった症状になることが十分予想されます。
そのためジェミーナ配合錠を安心して84日周期(77日投与7日休薬)で服用するために、約3ヶ月間で予想されうる有害事象・経過について十分な説明が必要かと思われます。さらに静脈血栓症のリスクが3〜4倍高くなることもお伝えした上で、四肢の脱力感・麻痺・冷感、視野の変化といった血栓症の前兆についてもお伝えすべきかと思います。