新潟大学・大阪大学などの共同研究によると日本人男性では「噛む力が弱い、噛めない」人ほど高血圧・糖尿病などのメタボリックシンドロームを発症するリスクが高くなることが報告されました。以下にその概要を記します。
研究グループによると「咀嚼能率(食べ物を細かく噛む能力」が低いほどメタボリックシンドロームに罹患するリスクが上がるというデータなのです。
被験者は50~7歳代の男女599人(初回健診ではメタボではない)、平均追跡期間4.4年としています。
咀嚼能率を測定する方法として「専用に開発されたグミゼリー」を30回噛んで増えた表面積を測定するという方法を用いています。
グミゼリーの表面積が低い1/4グループを「低値群」として、それ以外の群と比較したときのメタボ発生率をデータ化しています。
結果
平均4.4年間の追跡結果、599人中88人が新たにメタボを発症しました。
男性では「低値群」がその他の群と比較して
血圧高値:3.12倍
高中性脂肪血症:2.82倍
高血糖:2.65倍
☆メタボ罹患率:2.24倍
と咀嚼能率が低い群で、メタボ発症リスクが上昇していることが示されました。
筆者らは「咀嚼能率の低下による食べ物・栄養の摂取への影響が介在しているのでは?」と説明しています。
男性と比して女性では有意なデータが得られなかったことに関しては「女性の場合、閉経期以降のホルモン変化による影響が大きいいことと、食習慣の違いなどが背景にあり、咀嚼能率が直接影響しにくかったのでは?」としています。