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オキサロール軟膏の効能効果を患者さんへお伝えする

オキサロール軟膏の効能効果を患者さんへお伝えする

皮膚科門前で勤務しているとオキサロール軟膏の処方を時折目にすることがあります。多くは尋常性乾癬の治療を目的として処方されています。今回はオキサロール軟膏(ローション)の効果について具体的に調べてみたいと思います。

~乾癬について~
乾癬には滴状乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬、関節性乾癬、尋常性乾癬とありますが、9割は尋常性乾癬と言われていますので尋常性乾癬について限局して話をすすめます。

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~尋常性乾癬について~
発症部位は異なりますが、皮膚が少し盛り上がり(肥厚し)赤い発疹の上に、銀色の粉(フケのようなもの)が付着してポロポロとはがれおちる皮膚疾患です。原因は不明ですが、皮膚表面の細胞が活性化し、細胞増殖が促進された結果、通常の10倍程度の速度で皮膚が作り出されてしまうという状態をまねきます。そのため皮膚が盛り上がったり(肥厚)、はがれおちたりする症状を呈します。

軟膏が皮膚から吸収されるまでの時間について

~オキサロール軟膏(ローション)の作用機序について~

尋常性乾癬をはじめとする乾癬症は皮膚疾患の増殖による角化が主な疾患ですので、皮膚の増殖と分化の異常、炎症症状を軽減することが治療となります。活性型ビタミンD3製剤であるオキサロール軟膏はヒト表皮角化細胞のIL-6産生抑制作用およびリンパ球増殖抑制作用をしめすことで皮膚表面の炎症症状を軽減化するとともに、表皮角化細胞の増殖を有意に抑制する効果が確認されています。

皮膚表面の細胞が増殖するためには1つの細胞が2つの細胞に分裂する必要があります。細胞が分裂するためには、細胞の核の中にある設計図(DNA)を複製することから開始されます。この設計図(DNA)の複製を妨げることができれば、細胞の過剰増殖をおさえることができます。DNAの基となる素材の一つに”チミジン”と呼ばれる物質があります。このDNA素材である”チミジン”が皮膚表皮角化細胞に取り込まれることを防ぐ効果を持っている薬が”オキサロール軟膏(ローション)”です。

小児がステロイド軟膏をなめる、少量たべるとどうなるか

オキサロール軟膏を皮膚に塗布すると表皮角化細胞へのチミジンの取り込みが阻害されます。その結果DNAの複製がストップし、皮膚の細胞増殖量がガクンと減ります。この作用を利用してオキサロール軟膏(ローション)は皮膚の異常増殖を抑制し、乾癬治療に用いられているわけです。

強力ポステリザン軟膏にふくまれる”死滅菌”について

 

~オキサロール軟膏の効果発現時間について~

外用薬を皮膚に塗布してから効果発現までにはある程度の時間を要します。皮膚細胞内薬物濃度が一定になることを”定常状態に達する”と表現するのですが、オキサロール軟膏の場合、塗布後約4時間で定常状態に達することがわかります。(上記参照)

小児がステロイド軟膏をなめる、少量たべるとどうなるか

前述しましたように、薬を塗布後に主成分が細胞内の核まで到達して細胞分裂を妨げる薬効であることから、オキサロール軟膏(ローション)がいかに細胞内に満たされるかが治療のポイントになります。さらに薬効を維持するために1日2回患部に使用する必要があります。添付文書には塗布ではなく”塗擦”(数回塗りこむ(擦り込む))と記載されています。乾癬部位は皮膚の角化および硬化がすすんでいるため、表皮細胞に薬を満たすためには単純塗布よりは少し擦り込むくらいの方が有益な成果につながることが示唆されます。(用法に関しては専門医の指示通りに使用すること)

~副作用について~

腎機能低下患者さん(透析患者さん)が使用すると血中のCa濃度が上がる可能性があります。高Ca血症の自覚症状としては口渇・倦怠感・脱力感・筋力低下・嘔吐・腹痛などがあります。
また、高齢者や塗布面積が広い場合も同様の副作用が起こりうる可能性がありますのでお薬をお渡しする際には注意喚起をはらっています。

強力ポステリザン軟膏にふくまれる”死滅菌”について

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業