統合失調症(696名)・双極性障害(211名)・自閉症スペクトラム障害(126名)・うつ病(398名)と診断された軽1431名と健常者1506名の脳内神経線維の状況を調べる拡散強調MRI検査の結果が報告されました。その結果統合失調症と双極性障害に共通点がみられ、うつ病は健常者に近い生物学的特徴を有している可能性が報告されました。以下にその概要を記します。
鉤状束(思考や判断・情動や動機付けに関与)
情報伝達の効率低下・神経線維やそれを保護する髄鞘の障害
脳梁体(記憶力・注意力・言語機能に関与)
情報伝達の効率低下・神経線維やそれを保護する髄鞘の障害
帯状束(学習や記憶に関与)
情報伝達の効率低下・神経線維やそれを保護する髄鞘の障害
脳弓(記憶・感情に関与)
情報伝達の効率低下・神経線維やそれを保護する髄鞘の障害
・双極性障害と大脳白質領域の微小構造が似ている
・うつ病と比較して大脳辺縁系領域における神経線維や髄鞘の障害がみられる
脳梁体(記憶力・注意力・言語機能に関与)
情報伝達の効率低下・神経線維やそれを保護する髄鞘の障害
脳弓(記憶・感情に関与)
情報伝達の効率低下・神経線維やそれを保護する髄鞘の障害
・統合失調症と大脳白質領域の微小構造が似ている
・うつ病と比較して大脳辺縁系領域における神経線維や髄鞘の障害がみられる
脳梁体(記憶力・注意力・言語機能に関与)
情報伝達の効率低下・神経線維やそれを保護する髄鞘の障害
脳梁体にのみ情報伝達障害がみられるものの、それ以外の部位では健常者に近い生物学的特徴を有している
大脳白質領域(鉤状束、脳梁体、帯状束、脳弓など)に関して、健常者との違いは見られない
統合失調症・双極性障害・自閉症スペクトラム障害・うつ病において、病気の期間が長くなると、脳内の情報伝達障害の割合も大きくなる(負の相関がある)ことが報告されています。
統合失調症・双極性障害・自閉症スペクトラム障害・うつ病における大脳白質領域の違い