調剤薬局では錠剤の分包機を利用して一包化を作成することがあります。その際にPTPシートの錠剤をバラす(錠剤をむく)ことが多々あります。
15万円ほどで「錠剤バラスター」などの錠剤をバラす機械は販売されていますが、費用対効果を考えると機械を導入するほどでもないという薬局が多いように感じます。そこで今回はいろいろな人が錠剤をバラし終えたあとのPTPシート(殻)に注目して、錠剤のバラし方に関して何か得られることはないか調べてみました。
私が何も考えずにPTPシートをバラすと以下のようになります。
規則性がまったくなく、錠剤を押し出す際の力の入れ具合がさだまっておりません。また私の場合、錠剤をたくさんバラすと親指とその爪の間(以下図)が非常に痛くなることがあります。とくにデパケンR200mgなどの大きい錠剤をたくさんバラすときに生じやすいと感じていました。
職場スタッフがバラし終えたPTPシートの殻を探すため、ふらふらジロジロ歩いていると非常に均整の取れたPTPシートの殻を見つけました(下写真)
このPTPシートの殻を見る限り、全ての錠剤が同じ程度の力で同じ方向(左右対称)に押し出されていることがわかります。そこで、このPTPシートをバラしたスタッフ(私の先輩)にPTPシートのバラし方のコツを聞いてみました。
ポイントとしては
Ⅰ:両手の親指を使って交互に(①から順番に)錠剤を押し出す
Ⅱ:黒矢印方向に錠剤を押し出す
Ⅲ:バラし終えた錠剤のPTPシートが滑らかな弧を描くように人差し指・中指を使って自分側へPTPシートを曲げる(折り込むイメージ)
Ⅳ:PTPシートの表面で親指によりプッシュした錠剤は、PTPシートの裏面で人差し指と中指の間で挟むようにして出す
Ⅲを行う目的は、親指でプッシュするだけでは親指に対する圧が強くなるためです。多数の錠剤をいっきにバラと親指の負担が大きくなります。しかし人差し指・中指によりPTPシートを手前側(自分側)へ折り込むようにすると、親指によるプッシュをサポートする動きとなり、親指の負担が軽減されます。バラし終えたPTPシートの殻だけをみると錠剤バラスター(機械)でバラし終えたPTPシートの殻と見分けがつきません。
Ⅳを行う目的は、PTPシートに錠剤が残ることを防止するためです。錠剤をバラす(一包化の際に錠剤を分包機のコンベアにPTPシートから入れる)際にPTPシートに錠剤が残ってしまうことが一番作業効率を落とす原因となります。それを防ぐためにⅣの作業を取り入れます。
このスタッフは非常に錠剤をバラす作業が早く、かつ親指と爪の間が痛くなることはないといいます。
実際に、Ⅰ~Ⅳの動作を同時に行ってみたのですが、私にとっては1日で習得できるほど容易な作業ではありませんでした。特にⅢとⅣの操作の力加減・微妙な感覚がまったくわかりませんでした。しかし、業務効率化UPを考えると、身に着けたいと感じましたので、今後は意識して作業してみようと思います。