睡眠薬を患者様へお渡しする際に、初めて服用する際は、翌日の運転について「翌朝の眠気持ち越しに注意してください」とお伝えすることがあります。今回は睡眠薬による交通事故リスクの違いについて調べてみました。
ノルウェー人を対象としデータなのですが、睡眠薬が処方された後、最初の1週間以内に交通事故を起こした割合と、睡眠薬を服用していない場合に交通事故を起こした割合とを比較したデータが報告されていました。
結果
アモバン・マイスリー:交通事故発生率2.3倍
ネルボン・ベンザリン(ニトラゼパム):交通事故発生率2.7倍
ロヒプノール・サイレース(フルニトラゼパム):交通事故発生率4倍
尚、ベンゾジアゼピンとアルコールを同時に摂取すると交通事故発生率は7.7倍まで増加します。
さらに交通事故の発生率について、睡眠薬を服用した若者ほど発生率が高いというデータとなっています。これについては睡眠薬を服用する時間が遅いために、翌朝まで効き目が持続しているために発生した可能性が示唆されます。薬剤ごとの交通事故発生率については効き目が長いほど発生率が高いデータとなっています。
また55歳~65歳の健常者が午後11時にアモバンやマイスリー、ロヒプノールを服用し、翌日に運転シミュレーションを行ったデータによると、運転速度が上がり危険運転につながるというデータが示されています。
睡眠薬を服用した翌日の交通事故については、初回服用から2週間以内に発生することが多いというデータがありますので、お薬をお渡しする際は注意喚起を行おうと思いました。
睡眠剤ではありませんが、65歳以上のドライバーを対象とした薬物使用と自動車衝突リスクのデータでは、腰痛症によりトラマドールを服用するドライバーで眠気による自動車事故衝突リスクが高いというデータがでています。(事故発生率11.4倍)