ゾフルーザ顆粒2%分包製剤の発売は2018-2019シーズンは発売しない

ゾフルーザ顆粒2%分包製剤の発売は2018-2019シーズンは発売しない

 

1回飲むだけで効果が得られる抗インフルエンザウイルス薬“ゾフルーザ錠”の新剤形「ゾフルーザ顆粒2%分包」は塩野義製薬が2018年4月に承認申請を行い、9月14日付で承認を取得し、11月中旬とされておりましたが、2018-2019シーズンは発売しないことが確定しました。

ゾフルーザ顆粒2%分包の発売に関しては、用法・用量の一部変更を伴う剤形追加という形での承認ですが、インフルエンザの流行を前に申請から5か月という短期間での承認取得となっております。

 

ゾフルーザ錠とゾフルーザ顆粒2%分包での適応症の違い

ゾフルーザ顆粒2%分包の用法について、非常に残念な点は、12歳未満で10kg~20kg未満の小児に対する適応が得られなかった点です。ゾフルーザ錠については12歳未満で10kg~20kg未満の小児に対しては1回10mgを1錠使用する用法が得られているのに対して、ゾフルーザ顆粒2%分包にはこの用法がありません。

ゾフルーザ錠のよくあるお問い合わせ(塩野義製薬2018年9月)

塩野義製薬に確認したところ、「承認申請は行っているものの、申請時期などは未定」という回答でした。

「小児」の定義は、添付文書の年齢区分によると「15歳未満」が一般的のようです。(6歳未満は幼児とされています)

新生児,乳児,小児に低出生体重児(出生 時の体重が2,400g未満)を加え「小児等」と記載 されるケースや、幼児と学童をまとめて小児(child)と区分するケースもあるようです(幼児:生後1年~6年、学童:生後6年~12年)

以下は2歳~5歳(幼児)を小児に含むと解釈した場合、ゾフルーザ顆粒2%(10~20kg未満への適応症)について記します。

小児の平均体重を確認してみると、

2歳~5歳:体重が10~20kg未満

6歳~:体重が20kg以上となる

ゾフルーザの効果について(薬理作用を私のイメージで記しました)

xofluza2%granule

となっていますので、錠剤がのめない2歳~5歳の小児に対してゾフルーザ顆粒2%分包をお渡ししたいところですが、ルール上は適応症が得られていないというジレンマが生じています。非常にもどかしいと感じます。是非11月の発売前までには10kg~20kgの小児に対する適応拡大を期待したいところ・・・と思っていたのですが、どうやら適応症の取得が困難だったようで2018-2019シーズンでの発売は見送られるかたちとなりました。

 

ゾフルーザ錠10mgの特徴

12歳未満で10kg~20kg未満の小児に適応があるゾフルーザ錠10mgの錠剤の特徴は

 

ゾフルーザ10mg

直径:5mm

厚さ:2.65mm

重量:61mg

割線あり

粉砕可能(苦みあり)

ゾフルーザ錠のよくあるお問い合わせ(塩野義製薬2018年9月)

というサイズですので、大人が見ると「小さい薬だなぁ」と感じるのですが、錠剤を飲んだことがない小児にとっては「喉がつまっちゃって飲めない」と感じることもあるかと思います。ゾフルーザ10mgには割線がついていますので、半分に割って飲むことも可能ですし、錠剤をつぶして粉薬として飲むことも可能であることを塩野義製薬の学術に確認しました。(苦みあり)。

 

2017~2018年シーズンまでは、抗インフルエンザ治療薬と言えば「イナビル吸入」「タミフル」「ラピアクタ」「リレンザ」とった同系統の治療薬が使用されておりましたが、2018~2019年シーズンからは、これまでとは作用機序の異なり、効果発現も早いと考えらている抗インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」がどこまでシェアを広げるか注目です。

私の個人的なイメージですが、これまで小児にタミフルドライシロップを5日間飲ませ続けることは、親御さんにとって非常に過酷な作業だと感じておりました。(タミフルドライシロップは非常に味が悪いためです)。しかし小児はイナビルを吸入できませんので代わりとなる薬がないため、どうしようもありませんでした。ゾフルーザは1回飲むだけで効果が持続して作用する非常に有用な製剤ですので、「1回飲むだけでいいからね」という説明が可能です。

ゾフルーザの効果について(薬理作用を私のイメージで記しました)

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業