Categories: ドライアイ

ドライアイ症状に対するジクアス・ヒアレイン・ムコスタ点眼の比較

ドライアイ症状に対するジクアス・ヒアレイン・ムコスタ点眼の比較

 

ドライアイ症状を緩和するための3種類の目薬(ムコスタ・ジクアス・ヒアレイン)の効き目について臨床データを確認してみました。

ドライアイ症状を緩和するための指標としてはBUT(Tear Break UP Time)を使用している報告が多い印象です。BUTとは目を閉じてぱちっと目を開いてから目の表面を覆っている涙がどれくらいの時間で乾燥し始めるかを調べる検査です。目の表面を覆っている涙液膜の一部が破れて乾燥部位(ドライスポット)ができるまでの時間を測定します。5秒以下ならばドライアイの兆候ありです。

コンタクトレンズをした状態でムコスタ点眼液を使用したときの効果について

3%ジクアス点眼 vs 0.1%ヒアレイン点眼

10人の被験者を対象にジクアス点眼または0.1%ヒアレイン点眼を使用したあと、5分、10分、15分、20分後におけるBUTを測定した臨床データではジクアス点眼は15分間BUTを増加させたのに対して、0.1%ヒアレイン点眼は5分間だけBUTを増加させました。またBUTの増加時間に関しては5分後、10分後、15分後、20分後のいずれの時間においてもジクアス点眼の方が、増加時間が大きいという報告がなされています。

megusuri

ジクアス点眼 VS ムコスタ点眼

ジクアス点眼の被験者34人、ムコスタ点眼の被験者33人を対象として使用後2週間、4週間、8週間後のドライアイ症状の変化を確認したデータでは、両群ともにBUTを同程度に改善しました。そのため同程度にドライアイに対して効果的であることが示され、両群間での有意差は示されませんでした。また両群ともに全身的または局所的な副作用は認められませんでした。

オメガ3脂肪酸サプリメントはドライアイに対する有効性は認められず

ジクアス点眼とムコスタ点眼の臨床報告上の違いを確認したところ、ジクアス点眼は人工涙およびヒアルロン酸よりもはるかに長い時間にわたって涙液膜を維持するはたらきがあり、最長で30 分間涙液膜量を維持したという報告もあります。また眼表面の涙液膜を維持するために必要なムチンの分泌をUPさせる効果も報告されています。一方で、ムコスタ点眼はアレルギー性結膜炎などのドライアイ以外の眼表面疾患に有効であることが示されています。この作用について具体的なメカニズムは解明されていませんが、仮設によるとムコスタがもつ抗炎症作用・抗酸化作用が眼膜状の炎症症状を改善するのではと考えられています。

ジクアス点眼とレバミピド点眼の使用感に関しては、ジクアス点眼の方がよいという統計がでています。理由はレバミピド点眼が懸濁液であるため使用後に一過性ですが、視野が薄い膜で覆われる感覚になるケースがあるのに対して、ジクアス点眼は透明な液体ですので、そのようなことはありません。ドライアイ患者さんは長期間にわたって目薬の使用を続ける必要がありますので、点眼後の視野がはっきりするジクアスに分がある結果となりました。

上記2剤に関しては、角膜形成術後のドライアイ症状に関しても同程度の有効性が示されています。

角膜形成術後のドライアイ症状に対するムコスタ点眼またはジクアス点眼の有効性について

コンタクトレンズをした状態でムコスタ点眼液を使用したときの効果について

まとめ
  • 1%ヒアレイン点眼と比べると、ジクアス点眼・ムコスタ点眼はドライアイ症状に対する有効性が高い
  • ジクアス点眼とムコスタ点眼についてはドライアイに対する有効性は同等
  • ジクアス点眼は効き目が長い、ムコスタ点眼は眼の炎症を鎮める効果も報告されている。
  • ムコスタ点眼は懸濁液(透明ではない)ため、点眼後に視野がうっすら白く見えるケースがあるため、使用感を確認する必要がある

緑内障治療薬ルミガン・キサラタン・トラバタンズ・タプロス点眼の比較データ

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業

Share
Published by
ojiyaku