2018年11月28日に一部公開された「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について、各製薬団体から猛反対があったことを受け、政府与党は12月7日に修正案を示しました。今後、中央社会保険医療協議会で議論をへて正式に決定する見通しです。
・類似作用機序の医薬品発売に関しては先に収載された品目が発売されてから1年以内、3番手以内が新薬創出加算の算定要件
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先に収載された品目が発売されてから「3年以内」に収載された品目であり、1番手が加算適用品または革新性・有用性基準に該当するものという内容に変更されます。3番手以内というルールは変わりありません。
この変更案により、2番手、3番手が新薬創出加算を算定で取得できる期間が1年から3年に伸びました。また1番手が新薬創出加算を算定していなかったとしても、基準を満たす製品であれば2番手、3番手は新薬創出加算を算定することが可能となります。
企業要件については、加算係数で減額されない企業割合が「5%」→「25%」へ増やす見通しです。
また、同日「先発医薬品価格のうち後発医薬品に係る保険給付額を超える部分の負担の在り方について」の主な意見が公開されました。
「先発品と後発品の差額を患者負担とする考え方」と「先発品の薬価を後発品まで引き下げる考え方」の2種類が提案されていたわけですが、薬価制度改革案の流れを踏まえますと、話は後者にまとまる感じかと思います。
主な意見は以下の通りです
【先発品と後発品の差額を患者負担とする考え方について】
○ 先発・後発の選択は治療に関わるものであり、選定療養にはなじまないのではないか。
○ 患者負担を求めることに反対。負担能力によって医療が制限されかねない。選定療養に
もなじまない。
○ 患者の負担が増えることについては、国民的な理解が得られないのではないか。
○ 十分な後発品の安全性が確保された状態で、患者が積極的に選択できているようになっ
てから議論をしてもいいのではないか。
○ 後発品の数量シェア 80%の達成に向けては、これまでの延長線上ではない抜本的な対応
として、検討する必要がある。
○ 現時点では薬価を引き下げるより患者負担とする考え方の方が理解が得られると思う
が、導入当初は対象を限定するなどの丁寧な制度設計をすべき。
○ 仮に選定療養とする仕組みが導入された場合、国民に説明できないのではないか。
○ 後発品のある先発品を保険収載する必要性等についてきちんと整理できていない段階
で選定療養や新たな患者負担を導入するのは反対。
○ 経済力の差によって医療へのアクセスが阻害されることのないよう、平成 14 年健保法
改正法附則第2条の規定を堅持すべき。医薬品に係る自己負担の引上げや保険償還率の引
下げに反対。
【患者負担にはせず、先発品の薬価を後発品まで引き下げる考え方について】
○ 競争原理が働かず、薬価が高止まりするのではないか。先発メーカー、後発メーカーへ
の影響を慎重に議論するべき。
○ 患者が受ける医療の質の向上や費用の効果がどれぐらいあるかを含めて慎重に検討が
必要。
○ 薬価の引下げについては、後発品・長期収載品などの薬価全体の在り方とセットで、中
医協で議論するべきではないか。
○ 薬価の引下げについても、後発品への影響を含め課題が指摘されており、中医協におい
て薬価の在り方の観点で引き続き議論すべき。
○ 先発医薬品の薬価の引下げは、後発医薬品の使用促進にマイナスの影響を及ぼすのでは
ないか。
【その他】
○ いずれも患者、企業に大きな影響があり、懸念。
○ まずは後発品の使用割合を増やしていくことが必要ではないか。