平均乖離率9%台へ(2017年9月取引分の薬価本調査)
2017年9月取引分の薬価本調査の結果、速報値ではありますが、薬価と市場実勢価格との平均乖離率が約9.1%まで上昇しているということです。
これまでの薬価改定で置き換えて2018年度の薬価改定を推測しますと、薬剤流通の安定のための調整幅(2%)を差し引いても、薬価ベースで7%台のマイナスとなる見通しです。
過去の平均乖離率を確認してみると
2015年:8.8%
2013年:8.2%
2011年:8.4%
いずれも8%台で推移していたことがわかります。そのため今回の9%台前半という数値がいかに大きな数字であるかがわかります。
平均乖離率が拡大した背景としては、値引き率が大きい後発医薬品市場の拡大に加えて、値引き率が小さい高額商品C型肝炎治療薬の市場規模の縮小が考えられます。
C型肝炎治療薬の市場が縮小したことで、金額ベースで考えた時に、値引き率が大きい後発医薬品市場の占める割合が拡大したため、乖離率も拡大したことが示唆されます。
また、2017年9月にオルメテックOD・クレストールのAG薬が同時発売されましたので、先発品に比べてAG薬の値引き率が拡大したことも背景としてあるのかもしれません。
新薬創出促進制度や長期収載品の減額に加えて、平均乖離率の上昇という事実は、製薬業界・医薬品卸・調剤薬局にとって、2018年度の非常に厳しい改定に拍車がかかったように感じられます。
医薬品価格調査(薬価本調査)による乖離率(速報値)の年次推移