アザニン錠とフェブリク錠の併用禁忌を見落として骨髄抑制が発生した事例

アザニン錠とフェブリク錠の併用禁忌を見落として骨髄抑制が発生した事例

潰瘍性大腸炎の持病でアザニン錠を定期服用している電気工事士のSさんが2020年8月に痛風の発作におそわれ、9月7日に自宅近くのかかりつけ医から痛風治療薬「フェブリク錠」が処方され、近隣の調剤薬局で提供されました。

2種類の薬を服用して3週間後、10月1日に、仕事中に階段をのぼったところ、顔面蒼白、動悸、息切れ、めまい症状があらわれ、12日には日常生活でも生じるようになりました。

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10月20日にかかりつけ病院を訪れ、採血をしたところ「赤血球・白血球数が低値をしめした」ため大学病院(潰瘍性大腸炎治療で通院している)を訪れたところ「生きている人間のデータじゃ何よ」と指摘され、お薬手帳を確認したところアザニン錠とフェブリク錠の併用禁忌が判明した。

2剤の服用を中止し、同日~11月5日まで入院し、重度の貧血治療として輸血などの措置が行われました。

現在Sさんは「かかりつけ医も調剤薬局もあざ人を飲んでいることを知りながら、併用禁忌のフェブリク錠を提供した。医師も薬剤師も謝罪もない。併用禁忌について患者は何も分からず、お医者さんと薬剤師さんを信用して飲むだけ。怖い思い、死ぬ思いをしました。謝罪だけでなく、反省してほしい」と述べています。医師と薬剤師に過失があったとして、慰謝料など1110万円をもとめて東京地裁へ提訴しています。

 

かかりつけ医のコメントは「詳細がわからないため、現状ではコメントできません」としています。薬局は9月いっぱいで薬剤師が退職しているということでした。

 

アザニン(イムラン)錠とフェブリク錠の併用禁忌については、フェブリク錠が発売開始となった2011年以降なんどか報告が上がっている事例です。

日本医療機能評価機構「併用禁忌の薬剤投与事例」

医療事故情報収集事業報告書「併用禁忌」

フェブリク錠とイムラン錠やアザニン錠を併用すると、「骨髄抑制等の副作用を増強する可能性がある」ことが記載されており併用禁忌となっています。実際の症状としては、血球数が減少し、貧血症状を呈します。

注意)フェブリク錠の併用禁忌薬「イムラン・アザニン・ロイケリン」

フェブリク錠と同じ薬理作用のアロプリノール(ザイロリック)に関しては、イムラン錠・アザニン錠との併用は「慎重投与」とされており、併用する場合は、薬剤の用量を1/3~1/4に減量する指示が記載されています。(骨髄抑制の副作用)

 

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業

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ojiyaku