がん遺伝子パネル検査FoundationOneCDx(中外製薬)とOncoGuideNCCオンコパネルシステム(シスメックス)が2019年5月29日の中央社会保険医療協議会にて保険適用することが了承されました。保険適用額:56万円
TVニュースやヤフーニュースで、がん電子パネル検査が大々的に報じされておりましたが、具体的に何ができるのかを詳しく調べてみました。
・標準治療がない固形ガン
・標準治療が終了となった固形ガン
上記のがん患者さんに対して、主治医が「化学療法の適応となる可能性が高い」と考えた場合に「がん遺伝子パネル検査」を行うことができます。「がん遺伝子パネル検査」では複数の遺伝子変異を網羅的に把握することができるため、結果を受け遺伝子レベルから見て効果的な化学療法(抗がん剤)を検討するという流れです。
FoundationOneCDx(中外製薬)
324の遺伝子変異を一度に調べることが可能です。
非小細胞肺がん/メラノーマ/乳がん/大腸がん/卵巣がん
上記のガンに対しては、がん遺伝子パネル検査の結果から得られたバイオマーカーをもとに、FDAが承認している治療薬について情報提供しています。
FoundationOneCDxという名称の“CDx”とはcompanion diagnostic(コンパニオン診断)という意味合いが含まれています。
OncoGuideNCC(シスメックス)
114の遺伝子変異を一度に調べることが可能です。
上記の2つの「がん遺伝子パネル」が保険適用となったわけですが、パッと見た感じではFoundationOneCDxの方が多くの遺伝子変異を調べられるのかなぁと個人的には感じたので、以下にFoundationOneCDxの概要を記します。
スイス・ロシュ社傘下のファウンデーション・メディシン社が提供する製品です。日本国内では中外製薬が製造販売の承認を受けておりますので、中外製薬が国内での独占的商業権を有しております。
2017年11月に米国FDAに固形ガンに関連する網羅的遺伝子解析検査として承認されており、バイオマーカーを一度に検査することができるためコンパニオン診断として使用されています。
具体的な方法としては、患者の固形ガン(肺・乳房・卵巣・メラノーマ・結腸直腸・脳・肝臓・膵臓・甲状腺・膀胱など)から得られたDNAを用いて、324遺伝子について遺伝子変異(置換・挿入・欠損・コピー異常、遺伝子融合など)がおきていないかを検査します。
遺伝子に変異が起きている部位について、FDAが承認している薬物療法がある場合はその治療方法を紹介しています(コンパニオン診断)。また、一度の検体採取で多くの情報がえられることから腫瘍部位以外のDNA情報も確認することができ、患者様の負担軽減にもつながります。
実施可能な施設は、がんゲノム医療中核拠点病院11施設と、それに準ずる医療機関とされております。
非小細胞がん
EGFRエクソン19欠損/EGFRエクソン21L858R変異
⇒FDA承認療法:イレッサ、タルセバ、アファチニブ
EGFRエクソン20 T790M変異
⇒FDA承認療法:タグリッソ
ALK変異
⇒FDA承認療法:アレセンサ、ザーコリ、ジカディア
BRAF V600E
⇒FDA承認療法:タフィンラーとメキニストとの併用
メラノーマ
BRAF V600E
⇒FDA承認療法:タフィンラー、ゼルボラフ
BRAF V600EまたはV600K
⇒FDA承認療法:ゼルボラフとコテリックの併用/ゼルボラフとメキニストの併用
乳がん
ERBB2(HER2)遺伝子の増幅(過剰なコピー)
⇒FDA承認療法:ハーセプチン、Kadcyla、Perjeta
大腸がん
KRAS wild-type(コドン12と13)
⇒FDA承認療法:アービタックス
KRAS wild-type(エクソン2、3、4)
NRAS wild-type(エクソン2、3、4)
⇒FDA承認療法:ベクティビックス
卵巣がん
BRCA1/2変異
⇒FDA承認療法:ルブラカ