調剤基本料1を地域支援体制加算の算定要件として
「患者の服薬情報等を文書で医療機関に提供した実績が12回以上」
(服薬情報提供料に加え、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、同等の業務を行った場合を含む)
という要件が追加されました。
疑義解釈がでれば明らかになるかとは思うのですが
“服薬情報等提供料が算定不可となっているもので、同等の業務を行った場合を含む”
という文言の中で“同等の業務”がどこまでの業務なのかということが一つのポイントになると思います。
かかりつけ薬剤師指導料や、かかりつけ薬剤師包括管理料を算定している場合は「服薬情報提供料」を算定できません。その理由として、かかりつけ薬剤師業務の中に「調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を、薬剤を処方した保険医に情報提供し、必要に応じて処方提案すること。」という業務が含まれているためです。「保険医に情報提供」をしたことが“同等の業務”に含まれるか、疑義解釈を確認する必要があります。
また、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者についても「服薬情報提供料」を算定できません。その理由として、薬学管理・服薬指導・服薬支援・薬剤服用状況・薬剤保管状況などの薬学的管理指導内容について、訪問結果を医師へ情報提供(文章)を行うことが算定要件となっているためです。在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定することが“同等の業務”に含まれるかどうか、疑義解釈を確認する必要があります。
上記の2例が「患者の服薬情報等を文書で医療機関に提供した実績=同等の業務」であれば、地域支援体制加算の算定要件を満たしますので、それでよしです。同等の業務でないのであれば、服薬情報提供料を年に12回算定しなければなりません。
2020年3月10日時点、厚生労働省の見解によると「特定薬剤管理指導加算2(100点/月1回)」は服薬情報等提供料と同等の業務とみなされると示しています。
(令和2年度診療報酬改定の概要(調剤)より)
服薬情報提供料には服薬情報提供料1(30点)と服薬情報提供料2(20点)に分かれています。
服薬情報提供料1は保険医療機関の求めがあった場合において、患者の同意を得ることが前提となっておりますが、実際の調剤薬局現場で「保険医療機関からの求めがあること」は非常にマレだろうなぁと私は感じております。そのため服薬情報提供料を算定するのであれば服薬情報提供料2を算定することが一般的な気がしいます。
患者若しくはその家族等の求めがあった場合又は保険薬剤師がその必要性を認めた場合において、当該患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、患者、その家族等、又は保険医療機関へ必要な情報提供、指導等を行った場合に算定する。なお、保険医療機関への情報提供については、服薬状況等を示す情報を文書により提供した場合に月1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。
具体的な例としては
「患者宅に残薬が大量に余っている(4-ア)」
「ザンタックにNDMAが含まれている(イ)」
「これまでは錠剤が飲めていたが、錠剤の服用が難しくなった(ロ)」
などの情報について患者から情報収集または患者へ連絡し、その内容を保険医療機関へ情報提供した場合に服薬情報提供料2(20点)を算定できるものと考えます。
イ )保険薬局の薬剤師が薬剤服用歴に基づき患者の服薬に関する(4)のアからウまでに掲げる情報提供の必要性を認めた場合にその理由とともに、患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書等により提供した場合。これには、保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、処方箋を発行した保険医療機関に対して情報提供を行った場合が含まれる。
(4) 保険医療機関に対する情報提供の内容は次のとおりとする。
ア 当該患者の服用薬及び服薬状況
イ 当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等
ウ 当該患者が容易に又は継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報
調剤報酬改定伝達講習会などで、地域支援体制加算の算定要件についての説明があるかと思いますので、このあたりの詳細をわかりやすく説明していただければ助かります。