おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

厚生労働省 診療報酬改定

服用情報提供料を算定する(地域支援体制加算取得のために)

投稿日:2020年2月11日 更新日:

服用情報提供料を算定する(地域支援体制加算取得のために)

 

調剤基本料1を地域支援体制加算の算定要件として

「患者の服薬情報等を文書で医療機関に提供した実績が12回以上」

(服薬情報提供料に加え、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、同等の業務を行った場合を含む)

 

という要件が追加されました。

fukuyaku-jyouhou

fukuyaku-jyouhou

疑義解釈がでれば明らかになるかとは思うのですが

“服薬情報等提供料が算定不可となっているもので、同等の業務を行った場合を含む”

という文言の中で“同等の業務”がどこまでの業務なのかということが一つのポイントになると思います。

かかりつけ薬剤師指導料や、かかりつけ薬剤師包括管理料を算定している場合は「服薬情報提供料」を算定できません。その理由として、かかりつけ薬剤師業務の中に「調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を、薬剤を処方した保険医に情報提供し、必要に応じて処方提案すること。」という業務が含まれているためです。「保険医に情報提供」をしたことが“同等の業務”に含まれるか、疑義解釈を確認する必要があります。

 

また、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者についても「服薬情報提供料」を算定できません。その理由として、薬学管理・服薬指導・服薬支援・薬剤服用状況・薬剤保管状況などの薬学的管理指導内容について、訪問結果を医師へ情報提供(文章)を行うことが算定要件となっているためです。在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定することが“同等の業務”に含まれるかどうか、疑義解釈を確認する必要があります。

 

上記の2例が「患者の服薬情報等を文書で医療機関に提供した実績=同等の業務」であれば、地域支援体制加算の算定要件を満たしますので、それでよしです。同等の業務でないのであれば、服薬情報提供料を年に12回算定しなければなりません。

 

2020年3月10日時点、厚生労働省の見解によると「特定薬剤管理指導加算2(100点/月1回)」は服薬情報等提供料と同等の業務とみなされると示しています。

(令和2年度診療報酬改定の概要(調剤)より)

服薬情報提供料

服薬情報提供料には服薬情報提供料1(30点)と服薬情報提供料2(20点)に分かれています。

服薬情報提供料1は保険医療機関の求めがあった場合において、患者の同意を得ることが前提となっておりますが、実際の調剤薬局現場で「保険医療機関からの求めがあること」は非常にマレだろうなぁと私は感じております。そのため服薬情報提供料を算定するのであれば服薬情報提供料2を算定することが一般的な気がしいます。

 

服薬情報提供料2(20点)

患者若しくはその家族等の求めがあった場合又は保険薬剤師がその必要性を認めた場合において、当該患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、患者、その家族等、又は保険医療機関へ必要な情報提供、指導等を行った場合に算定する。なお、保険医療機関への情報提供については、服薬状況等を示す情報を文書により提供した場合に月1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。

服薬情報等提供料に係る情報提供書

具体的な例としては

「患者宅に残薬が大量に余っている(4-ア)」

「ザンタックにNDMAが含まれている(イ)」

「これまでは錠剤が飲めていたが、錠剤の服用が難しくなった(ロ)」

 

などの情報について患者から情報収集または患者へ連絡し、その内容を保険医療機関へ情報提供した場合に服薬情報提供料2(20点)を算定できるものと考えます。

 

  • 患者又はその家族等の求めがあった場合、患者の同意を得て、次に掲げる情報等の内容について、患者又はその家族等に対して速やかに提供等し、当該患者の次回の処方箋受付時に提供した情報に関する患者の状態等の確認及び必要な指導を行った場合。

 

  • 緊急安全性情報、安全性速報や医薬品・医療機器等安全性情報など、処方箋受付時に提供した薬剤情報以外の情報で患者の服薬期間中に新たに知り得た情報

 

  • 患者の服薬期間中に服薬状況の確認及び必要な指導

 

 

イ )保険薬局の薬剤師が薬剤服用歴に基づき患者の服薬に関する(4)のアからウまでに掲げる情報提供の必要性を認めた場合にその理由とともに、患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書等により提供した場合。これには、保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、処方箋を発行した保険医療機関に対して情報提供を行った場合が含まれる。

(4) 保険医療機関に対する情報提供の内容は次のとおりとする。

 

ア 当該患者の服用薬及び服薬状況

イ 当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等

ウ 当該患者が容易に又は継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報

 

調剤報酬改定伝達講習会などで、地域支援体制加算の算定要件についての説明があるかと思いますので、このあたりの詳細をわかりやすく説明していただければ助かります。

服薬情報等提供料に係る情報提供書

2020年度調剤報酬改定~地域支援体制加算は猶予期間あり2021年4月~

-厚生労働省, 診療報酬改定
-同等の業務, 地域支援体制加算, 服薬情報提供料, 算定要件

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

chouzaijyosyu

調剤助手制度に関する要望書をホームページに掲載後削除(日本保険薬局政治連盟)

調剤助手制度に関する要望書をホームページに掲載後削除(日本保険薬局政治連盟) 日本保険薬局政治連盟は、同ホームページに 2019年1月24日:薬機法改正に係る要望書その2 と題して 地域療養支援(地域 …

seikatu-hogo-iryouhi-generic

生活保護受給者の医療扶助の抑制策として後発医薬品の使用を閣議決定

生活保護受給者の医療扶助の抑制策として後発医薬品の使用を閣議決定   政府は2018年2月9日、生活保護法や生活困窮者自立支援法など改革法案を閣議決定しました。今国会に提出し、今年度内の成立 …

yakkyoku

厚生労働省「咳止めと去痰約薬の供給量の増加」を経済対策に盛り込む。薬価上昇?(2023/10/19)

厚生労働省「咳止めと去痰約薬の供給量の増加」を経済対策に盛り込む。薬価上昇?(2023/10/19) 厚生労働相の武見敬三氏は2023年10月18日の臨時会見で鎮咳薬と去痰薬が供給不足になっている問題 …

yakuzaisi-todokede

2年に1度の薬剤師の業務従事者届をオンラインでしてみたい(2022/12/25)

2年に1度の薬剤師の業務従事者届をオンラインでしてみたい(2022/12/25) 薬剤師は2年に1度、業務従事者届を住所地の保険所または従事地の保健所へ届け出るルールなんですよね。 2023年1月16 …

350-billion-market-drugs

平成33年(2021年)から市場規模350億円以上の医薬品は薬価が見直される

平成33年(2021年)から市場規模350億円以上の医薬品は薬価が見直される   厚生労働省の中央社会保険医療協議会 薬価専門部会において薬価制度の抜本改革についての骨子(案)が公開されまし …

  google adsense




2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年4月薬価改定 新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

おじさん薬剤師の働き方

how-to-work

薬剤師の育成について

how-to-bring-upo

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト




how-to-work