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モーラステープを貼り続けたら効果はどれくらつづきますか?

モーラステープを貼り続けたら効果はどれくらつづきますか?

モーラステープは1日1回貼ると24時間、効果が持続する製剤です。皮膚が弱い方やかぶれる方は、半日ほど貼付したら剥がしましょう。剥がした後も効きめは「だいたい貼っていた時間程度は持続します」

上記のような感じでお伝えしながらモーラステープをお渡しすることが多いのですが、「拙者、皮膚が非常に強いのですが、モーラステープを可能な限り貼り続けると何時間まで貼ることができます?」

なんていう猛者が、万が一目の前に現れた場合に備えて、モーラステープを貼り続けたら、何時間効果が持続するのかについて一応調べてみました。

(保険請求で、モーラステープを調剤する限りは「1日1回24時間で貼り替えてください」というルールであることは変わりありませんのでご了承ください)

モーラステープは何時間まで貼り続けることができるのか

モーラステープ20mg1枚を背中にずーっと貼り続けると、どこかの段階でモーラステープに含まれる痛み止め成分(ケトプロフェン)が出尽くして、効果ゼロになるわけです。

モーラステープ20mgのインタビューフォームを確認してみると、健康成人6名の背部へモーラステープ20mgを1枚、24時間、単回貼付した場合、24時間までのケトプロフェン吸収量は13.67mgで、適用量に対する吸収率は69.74%であった。また、健康成人男子6名の背部へモーラステープ20mgを1日1回1枚、28日間貼付した場合の平均吸収量は13.02mg~14.94mgであったというデータも示されています。

つまり、モーラステープ20mgに含まれている鎮痛成分(ケトプロフェン)は24時間で3分の2程度が放出されて皮膚に浸透していることがわかります。言いかえますと、3分の1程度は放出されずにモーラステープ20mg中に残っているとも言えます。

モーラステープ20mgを背中に貼ると、貼付後4時間あたりまでは、勢いよくモーラステープの主成分(ケトプロフェン)が皮膚に浸透していきます。その後4時間~8時間あたりまででケトプロフェンの放出量は頭打ちとなり、8~12時間では放出量が維持され、その後は放出量が低下していきます。

製薬メーカーが開示している情報では24時間時点でモーラステープ20mgをはがしてしまうため、血液中もケトプロフェン濃度が大幅に低下します。

貼付から24時間経過時点でもモーラステープを剥がさなければ、あと半日くらい(貼付から36時間まで)ならケトプロフェンが放出してほしいなぁ・・・なんて期待しちゃいます。

ただ、ここで思い返すわけです。

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貼付から24時間後もモーラステープ20mgを貼り続けて、残ったケトプロフェン(残りの3分の1)がジワジワと皮膚に放出されたとして、果たして鎮痛効果が得られるだろうか?

モーラステープ20mgを貼っている理由は「痛みを抑える(鎮痛効果を得る)こと」ですので、貼り続けることが「有益」でなければ意味がありません。

 

モーラステープ20mgを1日1回1枚、毎日使用した場合、血液中のケトプロフェン濃度は

最大:122~156ng/ml

最小:およそ50ng/ml

で推移することが確認できます。

一般的に上記の血液中濃度が維持しているとき「鎮痛効果が安定している」と考えますので、裏を返すと血液中濃度が50ng/mlを下回った段階で、「効果が減弱してきている」と私は考えます。

 

ではモーラステープ20mgを1日1回1枚背中に貼ってから24時間時点におけるケトプロフェンの血液中濃度をザックリですが確認してみると、65~70ng/ml程度であると血中濃度のグラフから読み取ることができます。

 

では、モーラステープ20mgを貼り続けて、最低限の鎮痛効果が得られる(ケトプロフェンが放出される)のは貼ってから何時間後か?

について理論的な値は以下のグラフのような感じかな?と私は考えました。

青線:貼付から20時間後以降の血中ケトプロフェン濃度の減少速度

赤線:理論的に鎮痛効果が得られるであろう最低血中濃度(50ng/ml)

緑矢印:青線と赤線が交わるときの時間:28時間後

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どうでしょう。

理論的には貼付から28時間後までならば、ある程度の鎮痛効果が得られるのかな?という疑似的なグラフが出来上がりました。

皮膚に貼り続ければ、その後もモーラステープ20mgの主成分であるケトプロフェンは少しずつ皮膚に放出されていきますが、鎮痛効果が得られるほどの放出量ではないと私は考えます。

 

本来であれば「貼ったら24時間までですよ」というべきところを「ここだけの話ですけど、貼ったら28時間までギリギリいけますよ」ということに意味はないですね。

もう一度言いますが、鎮痛効果が理論値ですが4時間延長することに意味はありませんので、「モーラステープは1日1回貼り替える」ことでいいのではないでしょうか。

以上がモーラステープを貼り続けることに関する私なりの見解です。特に目を見張るような結果ではありませんでした。

以下にロキソニンテープでも同様の調査を行った結果を記します。

 

ロキソニンテープでも同様に「何時間連続で貼付できるか?」を調べてみたのですがヒトに対する臨床データは

・ロキソニンテープを12時間使用した後、製剤中に残存しているロキソプロフェンナトリウム水和物は88.8~92.5%であることから、体内へ移行したロキソプロフェンナトリウムは薬10%程度と考えられた

という記載があるのみでした。

「ロキソニンテープは基本的に12時間貼付したら剥がします。剥がしても鎮痛効果は持続します。」ということを治験段階から想定して開発された薬であるようで、ヒトに対して24時間貼付した臨床例が少ない製剤であると感じました。

・ラットから摘出した皮膚を使用して、24時間にわたり皮膚への透過性および累積等過量を調査したデータによると、開始から24時間の時点でもロキソプロフェンは皮膚への透過速度(2μgロキソプロフェン当量/㎠/hr)を維持し、累積等過量は右肩上がりに増加していることが示されています。

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上記のデータをもとに、個人的にぼんやりとですが空想してみます。

「貼付から12時間後に10%程度しか皮膚に浸透していないということは、この時点で主成分の90%はまだロキソニンテープ中に残存しているわけね。」

「ラットにロキソニンテープを貼ると、貼付直後から4時間あたりまでは主成分が勢いよく皮膚へ透過(4μgロキソプロフェン当量/㎠/hr)していって、貼付から12時間~18時間では透過速度が2μgロキソプロフェン当量/㎠/hrで安定しているように見えるなぁ。」

「累積等過量は、貼付から12時間の時点で「約30μロキソプロフェン当量/㎠」、貼付から24時間の時点で「約50μgロキソプロフェン当量/㎠」が皮膚へ染み込んでいる。右肩上がりですなぁ」

 

いかがでしょう?

ヒトおよびラット摘出皮膚へのロキソニンテープのデータを総合的に考えますと、貼付から24時間経過した時点でも、主成分の83%程度はロキソニンテープ中に残存していて、さらに皮膚への透過性は2μgロキソプロフェン当量/㎠/hr弱くらいなら維持し続けるようにも空想できるような・・・・。というように感じた方もおられるのではないでしょうか。

 

24時間使用したロキソニンテープには主成分が80%程度残存しているわけですが、同様の事例はセルタッチパップでも確認できます。セルタッチテープの添付文書を確認してみると

「0.5%[14C]-フェルビナク貼付剤(パップ剤:3cm×4cm:フェルビナクとして 6mg 含有)を雄性ラットに 24 時間貼付したとき、除去後の貼付剤中放射能残存率は、92.6%であった」

という感じで、ラットにセルタッチパップを24時間貼付後に剥がすと、剥がしたセルタッチパップには92.6%の主成分が残存していたことが確認できます。

 

湿布剤とはそういうものなのかもしれませんね。

 

今回のテーマはあくまで空想の域を超えません。

モーラステープもロキソニンテープも1日1回24時間が最長の使用時間であることが事実です。

そのことをご理解いただいた上で、以下の空想薬学をお読みください。

モーラステープは24時間貼付すると、含有成分の6~7割程度のを使い切ることができる製剤であるのに対して、ロキソニンテープを24時間貼付し続けた場合でも、含有成分の2割程度しか使用しておらず、残りの8割はロキソニンテープ中に残存した状態で、私たちはロキソニンテープを剥がして捨てている可能性が浮かび上がりました。

 

実際には行うことはありませんが、貼付から24時間以降もロキソニンテープを貼り続けるとすると、個人的なイメージですけれども鎮痛効果はゼロではないのでは?・・・と想像したりします。

 

 

 

 

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業