2019年8月27日、米国FDAはウェアリングオフ現象が生じているパーキンソン病患者に対してレボドパ/カルビドパ製剤と併用する追加治療としてノウリアスト錠の使用を承認しました。
協和キリン株式会社が製造販売している「ノウリアスト錠」は2007年の段階で米国FDAに新薬申請を行った経緯がありましたが、FDAは2008年2月に臨床データ不足を理由に申請を棄却した過去がありました。その後、ノウリアスト錠は2013年3月に日本にて世界に先駆けて医薬品として承認され、医療現場で使用されていた実績がありました。
その後の臨床報告データを確認してみましたが、日本からは臨床報告、それ以外の国からは治験データが報告されている状況が続いていました。直近ではカナダ・チェコ・ドイツ・イスラエル・イタリア・ポーランド・セルビア・アメリカが2013年10月~2016年10月の3年間で、ノウリアスト錠を12週間服用した場合の治療状況に関する第三相共同臨床試験を行っており、2019年9月にデータが公開される見通しとなっています。
パーキンソン病患者さんの線条体では、ドパミンの量が減少しているにもかかわらず、アデノシンの量が通常通り放出されているため、アデノシン過多の状態でGABA受容体へ作用することが原因となり、運動機能の低下が報告されております。
ノウリアスト錠は、脳内の線条体・淡蒼球においてアデノシンA2受容体へのアデノシンの結合を抑えることによって、ドパミンが減少している脳内において、アデノシンGABA受容体への作用を減弱させることで、ドパミン刺激・アデノシン刺激のバランスを改善することで運動機能を改善することが報告されております。
日本国内の臨床報告ではノウリアスト錠20mgを1日1回服用することで、軽度のパーキンソン病患者における運動機能の改善が示されています。また52週にわたりノウリアスト20~40mgを1日1回服用したデータ(被験者308人)によると、服用開始2週目から52週目まで、オフ時間の平均変化は、-0.71~-0.04時間と、オフ時間の減少が報告されています。
副作用は鼻咽頭炎(24.4%)、ジスキネジア(21.4%)などが報告されております。
FDAがノウリアスト錠を承認した際に、使用した臨床データとしては、レボドパを服用しているパーキンソン病患者さん1143人を対象として12週間の比較試験を行った結果、プラセボを投与された患者と比較して、ノウリアスト錠を服用した群では、毎日のOFF時間の有意な減少が報告されたとしています。
一般的な副作用として、不随意運動、めまい、便秘、吐き気、幻覚、不眠
ジスキネジアの進行または既存のジスキネジアの悪化が生じる可能性がありますので、経過観察が必要としています。
レボドパ製剤に追加して服用する
1日1回20~40mg
半減期:50~60時間
Tmax:2~4時間