原発性高シュウ酸尿症治療薬「Oxlumo」が米国FDAに承認される
米国FDA(米食品衛生局)は2020年11月23日、遺伝子代謝障害である原発性シュウ酸尿症1型の治療薬「Oxlumo」を治療薬として承認しました。
Oxlumoは低分子干渉RNA製剤であり、酵素の生成に関与する細胞内遺伝子に作用して、酵素の生成を阻害する効果があります。
原発性シュウ酸尿症1型とは肝臓のペルオキシソームという細胞内小器官に存在するグリオキシル酸アミノトランスフェラーゼという酵素が欠損しているために肝臓内にグリオキシル酸が蓄積する症状です。
グリオキシル酸とはシュウ酸の前駆物質(シュウ酸のもととなる物質)であるため、過剰に生成されると、体内のシュウ酸量が増加して、不溶性のシュウ酸が腎臓などの臓器に沈着して、臓器不全を招く原因となります。
Oxlumoは皮下注射剤であり、投与されると体内でLumasiranという活性物質に代わります。Lumasiranはグリオキシル酸の合成に関与する細胞内の遺伝物質に作用して合成を阻害します。
この作用により、体内のグリオキシル酸およびシュウ酸塩の量を減少させ、原発性シュウ酸尿症1型の発症を軽減させる効果が期待されます。
Oxlumoは皮下注射剤です。治療開始最初3カ月は月に1回、その後は月に1回または3カ月に1回投与されます。
臨床データを
原発性シュウ酸尿症1型の6~60歳までの39人を対象としてOxlumoまたはプラセボを投与後6か月後の血中シュウ酸塩レベルを調査した結果、プラセボ群で血中シュウ酸塩レベルが低下した割合が12%であったのに対して、Oxlumo治療群では65%が減少を確認されています。
またOxlumoを投与された被験者のうち25人中21人投与6か月後の血中シュウ酸レベルが姓正常または、ほぼ正常レベルにまで改善しています。
Oxlumo投与による副作用は皮膚の発疹・かゆみ・痛みなどの注射部位反応でした。