お薬手帳の持参率が50%以下の薬局は薬剤服用歴管理指導料13点(平成30年調剤報酬改定個別改定項目)

お薬手帳の持参率が50%以下の薬局は薬剤服用歴管理指導料13点(平成30年調剤報酬改定個別改定項目)

 

平成30年度の調剤報酬改定内容が点数も含めて公開されました。

大手調剤薬局チェーン店の調剤基本料の減額が話題となっていますが、私的に、もう一つ気になる文言としては「お薬手帳の持参率50%以下は管理料13点」という部分です。

薬歴に次回の服薬指導計画を記載する

別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、注1又は注2に掲げる指導等の全てを行った場合には、注1及び注2の規定にかかわらず、薬剤服用歴管理指導料の特例として、処方箋受付1回につき、13点を算定する。この場合において、注3から注6までに規定する加算は算定できない。

注3~注6とは

麻薬管理指導加算・重複投薬相互作用等防止加算・特定薬剤管理指導加算・乳幼児服薬指導加算を意味します。

[施設基準]

適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局であること。(※)

※ 「6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した

患者の割合が5割以下」等の基準を設ける。

この文章を見ると、計算式の分子は

「お薬手帳を持参した患者数(38点を算定した人数)」

とわかるのですが、分母をどう考えるかによって算出される数字が大きくことなります。

お薬手帳の持参率が50%以下の薬局は薬剤服用歴管理指導料13点(P.369)

分母を文字通り「6ヵ月以内に再度処方箋を持参した患者数」とする考え方と、「6ヵ月以内に再度処方箋を持参して薬剤服用歴管理指導料として38点または50点を算定した人数」とする考え方です(後者は、いわゆる「薬A+薬D」という考え方です)。

例えば患者さんが医師の場合や薬剤師の場合は、薬剤服用歴管理指導料を算定しないケースが多く、それに伴い手帳の算定をしないケースが見受けられます。また、患者さん本人が医療機関に入院している場合は薬剤服用歴管理指導料を算定できません。

 

前者の解釈とした場合は、理由があって薬剤服用歴管理指導料を算定していない方の人数も分母としてカウントされてしまうため、結果としてお薬手帳の持参率が下がります。

薬剤師のためのe-ラーニング「MPラーニング」の仕様についての個人的感想

このあたりの分母をどのように解釈するかについては今後の詳細な情報開示を待つ感じなりそうです。

お薬手帳の持参率50%以下で薬剤服用歴管理指導料13点の施行に関しては、経過措置期間が設けられており、平成31年3月31日までの間は適用しない。と記されています。

平成30年度調剤報酬改定内容の主な変更点を記します。

・調剤基本料2(25点):月4000回超・集中率7割超/月2000回超・集中率8.5割超/特定の医療機関の処方箋受付回数が月4000回超

  • 調剤基本料3のイ(20点):月4万回〜40万回のグループ薬局で集中率が85%以上または不動産の賃貸借あり

・調剤基本料3のロ(15点):月40万回超のグループ薬局で集中率が85%以上または不動産の賃貸借あり

  • 敷地内薬局の調剤基本料は10点
  • お薬手帳の持参率が50%以下の場合は薬剤服用歴管理指導料が13点
  • 薬剤服用歴管理指導料38点→41点、50点→53点
  • 後発医薬品調剤体制可算は75%、80%、85%の3段階
  • 後発率が20%以下の薬局は調剤基本料が2点減点(処方箋受付が月600以下の薬局は除く)
  • 基準調剤可算の代わりに設けられた地域支援体制可算の算定要件が過酷
  • 重複投薬相互作用等防止可算は残薬調整以外が40点、残薬調整が30点
  • 服薬情報提供料は患者の求めで20点、医療機関の求めで30点
  • 乳幼児可算10点→12点
  • 服用薬剤調整支援料:125点
  • かかりつけ薬剤師指導料:70点→73点、同包括管理料270点→280 点
  • かかりつけ薬剤師の基準:6ヶ月以上在籍→1年以上在籍、週32時間以上勤務というルールは育児・介護休業法で定める期間は24時間以上かつ週4日以上の場合を含む
  • 在宅:単一建物診療患者1人650点、同患者2〜9人:320点、それ以外:290点

など

以下、該当本文を記します。

 

 

【調剤基本料】

調剤基本料1 :41 点

調剤基本料2 :25 点

処方箋の受付回数が1月に2,000回を超えること(特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える場合に限る。)

調剤報酬点数表

特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(当該保険薬局の所在する建物内に複数保険医療機関が所在する場合にあっては、当該保険医療機関からの処方箋を全て合算した回数とする。)が月 4,000回を超えること

 

特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該他の保険薬局の処方箋の受付回数を含む。)が月4,000回を超えること

 

調剤基本料3のイ:20点

同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1月に4万回を超えて、40 万回以下のグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし、調剤基本料3のロ又は調剤基本料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。

① 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える保険薬局

調剤基本料3のロ:15 点

同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1月に40 万回を超えるグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし、調剤基本料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。

① 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える保険薬局

 

特別調剤基本料:10点

(1) 病院である保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係

を有している保険薬局であって、当該病院に係る処方箋による調剤の割合が9割5分を超えること。

(2) 調剤基本料1、2、3のイ及び3のロのいずれにも該当しない保険薬局

 

いわゆる敷地内薬局の調剤基本料は10点となりました。

【後発医薬品調剤体制加算】(処方箋の受付1回につき)

 

後発医薬品調剤体制加算1(75%以上):18点

後発医薬品調剤体制加算2(80%以上):22 点

後発医薬品調剤体制加算3(85%以上):26 点

 

後発医薬品の調剤に関して、後発率が2割以下の調剤薬局は調剤基本料から2点減点(ただし、当該保険薬局における処方箋受付状況を踏まえ、やむを得ないものは除く。)

 

【薬剤服用歴管理指導料】

1 原則6月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合:41点

2 1の患者以外の患者に対して行った場合 :53点

3 特別養護老人ホームに入所している患者に訪問して行った場合:41点

注:薬剤服用歴管理指導料の特例:13点

6ヶ月以内の再来局患者のうちお薬手帳を持参した患者割合が5割以下の場合

【地域支援体制加算】:35点

地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績の基準

1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有すること。

① 夜間・休日等の対応実績 400 回

② 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40 回

③ 服用薬剤調整支援料の実績 1回

④ 単一建物診療患者が 1 人の場合の在宅薬剤管理の実績 12 回

⑤ 服薬情報等提供料の実績 60 回

⑥ 麻薬指導管理加算の実績 10 回

⑦ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40 回

⑧ 外来服薬支援料の実績 12 回

 

【重複投薬・相互作用等防止加算】

1 残薬調整に係るもの以外の場合:40点

2 残薬調整に係るものの場合:30点

 

【乳幼児可算】:12点

 

【服薬情報等提供料】

1 服薬情報等提供料1:30点(医療機関の求めに応じた場合)

2 服薬情報等提供料2:20点(患者様・その家族の求めに応じた場合)

 

【服用薬剤調整支援料】: 125点

6種類以上の内服薬が処方されていて、処方医に対して、薬剤師が文章を用いて提案して、2種類以上現象した場合に月に1回限り算定

【調剤点数】

イ 14日分以下の場合

( 1 ) 7日目以下の部分(1日分につき) 5点 →5点

( 2 ) 7日目以下の部分(1日分につき) 5点→ 4点

ロ 15日分以上21日分以下の場合 70点 →67点

ハ 22日分以上30日分以下の場合 80点 →78点

ニ 31日分以上の場合 87点 →86点

 

1包化加算

42日分以下の場合、7日分につき32点

42日分以上の場合220点

okusuri-tetyo

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業