日本では男女の比率が女性100に対して、男性は105とわれていおり、これは不動の生物学的基準と考えられています。
インドやベトナムでは女性100に対して男性が110人前後、中国では116前後と言われており、国よってバラツキがあるようです。
今回、オーストラリアにて男女の産み分けに関する新たな報告がありましたので下記します。
卵子にはX染色体が含まれており、精子にはX染色体またはY染色体が含まれています。
精子と卵子が受精して、XX染色体となれば女子、XY染色体となれば男子が生まれることを踏まえ、精子がX精子なのかY精子なのかを区分できれば良いと筆者らは考えました。区分方法について、X染色体をもつ精子の方が、Y染色体をもつ精子よりも”少しだけ重たい”という点に着目しました。受精卵などを培養するのに使用される高濃度ヒアルロン酸含有培養液を、20%、40%、60%、90%という4つの濃度からなる多層密度勾配を遠沈管内に作成し、そこに精液を取り除いた精子をはなちます。4℃で90分培養すると、一番上の密度の低い部分にはY染色体の精子が、一番密度の高い部分にはX染色体の精子が回収される率が高いことが報告されました。
採取した精子と卵子から胚を作成し胚移植を行って妊娠を確認するという手順です。
気になる男女産み分けの結果ですが、1317組のカップルが研究に参加し、そのうち1212カップルは男女の産み分けを希望せず、残りの105カップルが男女の産み分けを希望しました。
105カップルのうち59カップルが女児を希望しました。
受精率は77.3%であり、検査した胚のうち79.1%が女児でした。着床率が79.3%、妊娠率が62.1%、女児出生率が55%でした。
男児を希望する46カップルについて、受精率は75.4%、検査した胚のうち79.6%が男児でした。着床率は90.5%、妊娠率は66.7%、女児出生率は62%でした。
上記の方法を利用することで80%程度の確率で男女の産み分けのもととなる”胚”を生成することができるようです。
筆者らは倫理的な問題があるものの、不妊治療を行っているカップルだけでなく男女の産み分けを希望するカップルに対しても、安全であり安価な方法ではないかと提案しています。