ノバルティスファーマから販売されていた“スローケー錠600mg(PTP100錠、PTP1000錠)が販売中止となります。2019年1月以降は在庫が無くなり次第終了となります。
(経過措置:2020年3月末日)
スローケー錠600mg(先発医薬品)のジェネリックとしては唯一“ケーサプライ錠600mg”が販売されておりますが、スローケーの販売中止を受けて受注が集中することが予想されます。
平成28年4月~平成29年3月までのスローケー錠600mgの総使用量が2800万錠(カリウム製剤としての使用量で第二位)であるのに対して、後発医薬品のケーサプライ錠600mgの総使用量は800万錠というデータが厚生労働省のNDBデータに示されています。
そのため、単純計算をするとスローケー錠の販売中止に伴い、ケーサプライ錠が年間使用量は
800万錠 + 2800万錠 = 3600万錠
となるわけです。スローケー錠は2019年1月以降在庫が無くなり次第販売中止となることが確定しておりますので、ケーサプライ錠の流通量が不足することが予想されます。
ケーサプライ錠600mgを製造販売しているアルフレッサファーマの学術に増産の可能性について電話で確認したところ、
「今のところケーサプライ錠600mgの製造を増やす予定はない(2018年10月10日現在)。既存のお得意先(購入している病院、薬局)に関しては今まで通り安定供給することは可能ですが、新規の発注に関しては難しいかもしれない」
という回答を得ました(2018年10月10日現在)。今後、どのような対応となるかは不明です。
需要と供給の関係で、現状のまま解決策が無い場合、スローケー錠600mgを服用している患者様は他のカリウム製剤(内服)へ変更する可能性もあります。
1位:アスパラカリウム錠300mg(1錠1.8mEq):年間6400万錠
2位:スローケー錠600mg(1錠8mEq):年間2800万錠
3位:グルコンサンK細粒4mEq/g(1g中に4mEq):年間1650万グラム
4位:アスパラカリウム散50%(1g中に2.9mEq):年間1400万グラム
5位:アスケート300mg(アスパラカリウム錠のGE):年間880万錠
6位:ケーサプライ錠600mg(1錠8mEq):年間800万錠
新規の高カリウム血症治療薬Patiromerのライセンスをゼリア新薬が締結
という順となっています。
カリウムの投与量を考える場合、医師は“mEq”という単位を指標として投与量を検討します。(点滴では特にmEqが指標となります)。スローケーから他剤へ変更する場合、内服薬では少し注意が必要です。
新規の高カリウム血症治療薬Patiromerのライセンスをゼリア新薬が締結
スローケーからグルコンサンK細粒への変更する場合はmEqが同じになるように服用量を決めます。スローケー錠は徐放錠であるため1日2回の用法ですが、グルコンサンK細粒は徐放性がないため1日3~4回に分けて飲む用法となっております。
例:スローケー600mgを1錠=グルコンサンK細粒4mEqを2g(どちらも8mEq)
(製造販売元のニプロ学術へ確認しました)
スローケーからアスパラカリウム細粒へ変更する場合は、mEqが1/2となるように服用量を決めます。
例:スローケー600mgを1錠(8mEq)=アスパラカリウム細粒50%を1.4g(4mEq)
アスパラカリウム細粒を製造販売している科研製薬の学術へ確認したところ、「アスパラカリウム製剤はスローケー錠と比較して、体内へのカリウム移行量が高いため、等価換算をする場合はアスパラカリウムのmEq量がスローケーの1/2となる量からスタートし、採血結果をみながら服用量を調節します」
という回答を得ました。
スローケー600mg(8mEq)からケーサプライ錠以外の製品へ変更を検討する場合
アスパラカリウム錠300mg(1錠中に1.8mEq)
グルコンサンK錠2.5mEq(1錠中に2.5mEq)
錠剤としては厳密にぴったり必要なmEq(4mEqまたは8mEq)になりそうな製品はないのですが、このあたりは使用してみて考える医師もいるかもしれません。患者様としてはスローケー錠から他の錠剤へ変わると、飲む薬の数が増えそうです。
(スローケー1錠から粉薬へ変更する場合は、理論値として同じ量になる薬があります。)
・スローケー錠600mgは2019年1月以降、在庫が無くなり次第販売中止となります
・スローケー錠のジェネリック医薬品“ケーサプライ錠600mg”は、今のところ製造ラインを増やす予定はないといことなので新しく発注しようと考えている医療機関からの受注が受けられないかもしれなません
・スローケー錠から他剤へ変更する場合は「グルコンサンKは同じmEq量」、「アスパラカリウムは1/2mEq量」からスタート