ハルシオン錠をお飲みの患者様へ、トリアゾラム錠(ジェネリック医薬品)についてご紹介すると「睡眠剤だけは先発を希望します」「効き目は本当に同じですか?」といったご返答をいただくことがあります。2018年10月からは生活保護受給者はジェネリック医薬品を原則とするといったルールもできましたので、トリアゾラム錠とハルシオン錠について効き目(厳密な薬物動態の違い)を調べてみることにしました。
ジェネリック医薬品は先発品の薬物動態(AUC、Cmax)と比較して80~125%の効果があれば製造許可が得られます。ハルシオン錠のような睡眠導入薬のジェネリック医薬品について私が注目するポイントは「薬が効くまでの時間」、「持続時間」、「寝起きの持ち越し」という3点です
ブロチゾラム錠(レンドルミンのジェネリック)について効き目(薬物動態)を比較する
以下にトリアゾラム錠に関する薬物動態の比較表(エクセル)を添付いたします。どの製剤も体に取り込まれる薬物量(AUC)は先発と比較して90~110%程度の値を示しているため有益な製剤です。
先発品の薬物動態(AUC、Cmax、Tmax、T1/2)に対する後発品の薬物動態をパーセンテージで表示しています。
AUC比:ハルシオンと比較してジェネリック医薬品がどの程度体に取り込まれるか
Cmax比:睡眠導入時の効き目のピーク
Tmax:薬の効き目の早さ(値が小さいほど効き目が早い)
T1/2:薬が消失されるまでの早さ(値が小さいほど早く消失する)
各製品についての特徴を確認してみます。
ハルシオンと比較してTmaxが低く、Cmaxが高い製品=早く効く、良く効く製品
と解釈した場合、以下の3品目が早く良く効く製品に近いと思われます。
トリアゾラム錠0.125mg「JG」
トリアゾラム錠0.125mg「テバ」
トリアゾラム錠0.25mg「KN」
ハルシオンと比較してT1/2が低く、AUCも低い製品=眠剤の効果が早く切れる
と解釈した場合、以下の品目は翌日に眠気が持ち越しにくい製品に近いと思われます。
トリアゾラム錠0.25mg「日医工」
トリアゾラム錠0.25mg「KN」
効き目が早い。それ以外はハルシオンの薬物動態と非常に近いデータとなっているためです。
注:データはすべて添付文書に記されている薬物動態をもとに作成しておりますので、効果に関しては個人差があることをご了承ください。
トリアゾラム錠(ハルシオンのジェネリック)の薬物動態を確認した結果、どの製品もAUC、Cmaxが先発品との誤差±5~7%以内に収まっており、非常に均整の取れた製品が並んでいるなぁと感じました。Tmax(薬が効くまでの早さ)に関しても、先発品との誤差が±10%以内に収まっているジェネリック医薬品が多く、どの製品を飲んでもハルシオンと比較して遜色ない寝つきが得られると思われます。