おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

厚生労働省

医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスク点検で厚生労働省がQ&Aを公開

投稿日:

医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスク点検で厚生労働省がQ&Aを公開

医薬品中に微量の発がん性物質(NDMA)が検出される事例が数件報告されていることを受けて、厚生労働省は「医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクに関する自主点検について」の質疑応答集(Q&A)を都道府県宛てに事務連絡しました。

医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクに関する自主点検について

自主点検通知の対象

化学合成された医療用医薬品、要指導医薬品及び一般用医薬品」は、基本的には合成原薬又は半合成原薬を有効成分とする医薬品を指す。

 

無機塩類は、今回の自主点検の対象外であるが、製造方法を踏まえ適切に対応すること。

生薬及びその製剤(漢方エキスを含む)は、今回の自主点検の対象外と考えてよい。ただし、化成品原薬と生薬及びその製剤(漢方エキスを含む)の配合剤は、自主点
検の対象である。

などが記されています。

 

ザンタックは2年間服用で発がんリスクが0.0005%(20万人に1人)上昇

厚生労働省は2020年7月27日、発がん性物質(NDMA)が検出されたために自主回収となったザンタック(ラニチジン)およびアシノンを長期間服用した場合の発番リスクの差について、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会にて報告を行いました。

ザンタックを2年間服用すると発がんリスクが0.0005%上昇

 

ザンタック(ラニチジン)を短期間服用した場合と長期間服用した場合の発がん率について、げっ歯類(マウスなど)の発がん性データをもとに評価しています。

ザンタック150mg(ラニチジン)を1日2回、8週間毎日服用した場合の発がん率上昇割合:0.0002%UP(50万人に1人)

ザンタック150mg(ラニチジン)を1日2回、2年間毎日服用した場合の発がん率上昇割合:0.0005%UP(20万人に1人)

ザンタック注射200mgを7日間毎日投与した場合の発がん率上昇割合:0.00000065%UP(1億5千万人に1人)

 

アシノン150mg(ニザチジン)を1日2回、8週間毎日服用した場合の発がん率上昇割合:0.000004%UP(2500万人に1人)

アシノン150mg(ニザチジン)を1日2回、2年間毎日服用した場合の発がん率上昇割合:0.000018%UP(560万人に1人)

と評価評価しています。

 

尚、メトホルミン(メトグルコ)服用による発がん物質(NDMA)検出が海外で報告された事例についての国内報告としては、NDMAが原薬からは検出されておらず、製剤のみから検出されていることをうけて、PTPシートに印字されたインクが原因でNDMAが生成された可能性を示唆しています。

それを受けて、PTPシートのインク成分の変更、出荷前に全製剤の分析を行いNDMAのモニタリングを継続する対策を実施しています。

メトホルミンからNDMAが検出された原因はインク?

ザンタック自主回収(予防的措置として)

グラクソスミスクラインはザンタック錠・ザンタック注射液について、2019年9月時点では発がん性を示唆する事象は認められていないとしながら、予防的措置として自主回収することを決定しました。自主回収が決定した品番(LOT)についてはグラクソスミスクラインホームページに公開されております。

あくまで予防的措置であり発がん物質が検出されたわけではないとしています。ラニチジン錠を製造販売しているジェネリックメーカーについては、9/27現時点ではグラクソスミスクラインのように自主回収するメーカーは確認されておりません。

 

ラニチジン塩酸塩・ニザチジンにおける発がん物質の検出対応について

 

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品安全対策課は2019年9月17日にH2受容体拮抗薬「ラニチジン塩酸塩」(先発品はザンタック)とその類似物質「ニザチジン」(先発品はアシノン)の製造販売業者へむけて、発がん物質の混入していないかどうか分析することを指示しました。

指示をうけた製薬会社は以下の通りです。(ラニチジン・ニザチジンを販売している会社)

グラクソ・スミスクライン株式会社

テバ製薬株式会社

マイラン製薬株式会社

株式会社陽進堂

小林化工株式会社

沢井製薬株式会社

鶴原製薬株式会社

東和薬品株式会社

日医工株式会社

日本ジェネリック株式会社

武田テバファーマ株式会社

ゼリア新薬工業株式会社

田辺三菱製薬株式会社

大原薬品工業株式会社

ニプロ株式会社

 

ranitidine-carcinogen

ranitidine-carcinogen

発がん物質混入検査をするに至った経緯

 

欧州医薬品庁(EMA)およびアメリカ食品医薬品局(FDA)においてラニチジン塩酸塩の製造・原薬から微量のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたことが発表されたことをうけて、日本国における製造販売業者に対してラニチジン塩酸塩の分析を指示するとともに、予防的措置として、分析結果が明らかになる間はラニチジン塩酸塩の新たな出荷を行わないよう指示をだしました。

 

 

N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)の含有量基準

 

NDMAの許容摂取量が 0.0959µg/日であることから、ラニチジンおよびニザチジンの1日最大用量(300mg)から算出して、0.32ppm(百万分率)以下であることが確認できるような検査水準で分析することが求められています。

 

 

分析結果が得られる時期の目処を9月30日までに厚生労働省・生活衛生局監視指導・麻薬対策課宛てに報告することとされていますので、品質に問題がなければ通常の流通が再開される見通しです。

 

ニザチジンについては流通規制はなされておりません。

 

ラニチジンについては、既に市場に流通している製品の回収を行う必要はない。分析結果が明らかになるまで、ラニチジンの新たな出荷は行わないこと。

 

とされております。

ラニチジン塩酸塩における発がん物質の検出に対する対応について

 

-厚生労働省
-ニザチジン, ラニチジン, 分析, 発がん物質

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

dementia

日本人の痩せている高齢者・糖尿病の高齢者で認知症リスクが高い

日本人の痩せている高齢者・糖尿病の高齢者で認知症リスクが高い   日本老年学的評価研究のデータによると、日本の高齢者では痩せている方と糖尿病の方で認知症発症リスクが高いことが報告されました。 …

yakuzaisi-todokede

2年に1度の薬剤師の業務従事者届をオンラインでしてみたい(2022/12/25)

2年に1度の薬剤師の業務従事者届をオンラインでしてみたい(2022/12/25) 薬剤師は2年に1度、業務従事者届を住所地の保険所または従事地の保健所へ届け出るルールなんですよね。 2023年1月16 …

kokuho-GE

保険者別の後発医薬品使用割合を公表、高知県医師国保が36.4%

保険者別の後発医薬品使用割合を公表、高知県医師国保が36.4% 後発医薬品の数量シェア80%を目指す厚生労働省は、平成30年9月診療における国民健康保険請求分について、保険者別の後発医薬品使用割合を初 …

drug-infomation-none-include

2021年8月から添付文書の電子化読み取りアプリ「添付ナビ」公開

2021年8月から添付文書の電子化読み取りアプリ「添付ナビ」公開 2021年4月6日、添付文書の電子化に伴うGS1コードの読み取りアプリとして「添付ナビ」が公開されました。 一般財団法人流通システム開 …

yakkyokuhou

日本薬局方のホームページに新規収載34品目が追加

日本薬局方のホームページに新規収載34品目が追加   厚生労働省は2019年6月28日付で第十七改正日本薬局方第二追補について告示および施行しました。新規で収載された品目は34品目、改正品目 …

  google adsense




2022年12月発売のGEリスト(エクセルファイル)

2022年12月発売のGEリスト(エクセルファイル)

おじさん薬剤師の働き方

how-to-work

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

薬剤師の育成について

how-to-bring-upo

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト




how-to-work