2020年度診療報酬・医薬品等に係る改革について
2019年6月11日、政府は経済財政諮問会議にて「経済財政運営と改革の基本方針 2019(いわゆる骨太方針)」原案を開示しました。2020年度診療報酬や毎年薬価改定関連の話題も記載されておりましたので該当部分を記します。
診療報酬・医薬品等に係る改革
イノベーションの推進を図ること等により、医薬品産業を高い創薬力を持つ産業構造に転換するとともに、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づき、国民負担の軽減と医療の質の向上に取り組む。こうした観点から、前回の薬価改定で引き続き検討することとされた課題等について結論を得、着実に改革を推進する。また、医薬品開発の促進に資する薬事規制の合理化を進める。
注)課題等の内容
医薬品等の費用対効果評価における迅速で効率的な実施に向けた見直しや、その体制等を踏まえた実施範囲・規模の拡大、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定の見直し、効能追加等による革新性・有用性の評価の是非、長期収載品の段階的な価格引き下げ開始までの期間の在り方、2021年度における薬価改定の具体的な対象範囲の2020年中の設定。
バイオ医薬品の研究開発の推進を図るとともに、バイオシミラーについては、有効性・安全性等への理解を得ながら研究開発・普及を推進する。
注意)バイオシミラーについて
国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性及び有効性を有する医薬品。
調剤報酬について、2018年度診療報酬改定の影響の検証やかかりつけ機能の在り方の検討等を行いつつ、地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価や、対物業務から対人業務への構造的な転換の推進やこれに伴う所要の適正化等、2020年度診療報酬改定に向け検討する。その際、医療機関及び薬局における調剤の実態や報酬体系を踏まえ、調剤料などの技術料について、2018年度診療報酬改定の影響や薬剤師の業務の実態も含めた当該技術料の意義の検証を行いつつ適正な評価に向けた検討を行う。
高齢者への多 剤投与対策、生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方の在り方については引き続き検討を進める。
後発医薬品の使用促進について、2020年9月までの後発医薬品使用割合80%の実現に向け、インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む。
(給付と負担の見直しに向けて) 社会保障の給付と負担の在り方の検討に当たっては、社会保障分野における上記の「基本的な考え方」を踏まえつつ、骨太方針2018 及び改革工程表の内容に沿って、総合的な検討を進め、骨太方針2020において、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる。
上記を読んだ私の個人的な感想を記します。
調剤報酬関連は
「地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価」と記してありますので、「かかりつけ薬剤師」関連の加算は上向きに進んでいく可能性が見えます。
「高齢者への多剤投薬対策・生活習慣病治療薬の費用面も含めた適切な処方の在り方については引き続き検討を進める。」という部分が「重複投薬・相互作用等防止加算」や「服用薬剤調整支援料」といった加算要件の評価につながることを期待したいところです。
「調剤料などの技術料」については、“薬剤師の業務の実態も含め”と記されていますので、どのような評価となるか不明です。通例ですと、技術料が微減して、一部の加算料が評価される流れとなることが多い印象ですが・・・今後の動向を見守る感じかと思います。