グレープフルーツジュースのように“食べてはいけない柑橘類”の覚え方
追記)2023/5/21
先日患者様から「グレープフルーツ類はダメでミカン類はOKなんですね? ではセトカは?デコポンは?ポンカンは?」
という質問をうけました。
気づけば、私が学生だったころと比べると、柑橘類の種類が非常にふえているなぁと再認識させされました。スーパーの果物売り場には聞きなじみのない柑橘類が売られていますよね。これを一つ一つ覚えるには無理があるのですが、ザックリと認識できればと思い追記しました。
DHB換算量で示された上図によると、フラノクマリン類の含量が1μg/ml以下ならば食べてOK。それ以上ならば控えた方がいいでしょうという認識であるようです。あとは、その品名をどのようにおぼえるかですね。白い文字=食べてはいけないと覚える方法もあれば、柑橘類を分類として捉えて認識する方法もあるようです。
先に述べました「せとか」「デコポン」は皮が薄い系の柑橘類で「タンゴール類」に属します。いずれも食べてOKの柑橘類です。
デコポンはひょうたんのような形をした柑橘類ですが、ひょうたん型の柑橘類はポンカンが原種であり、食べてOKの柑橘類です。
ザックリ見た感じですと、食べてはいけない柑橘類は増えておらず、食べてよい柑橘類が増えたという印象でしょうか。
Ca拮抗薬やリピトール、プレタール、テグレトール、ハルシオンなどの薬はグレープフルーツジュースに含まれる“フラノクマリン類”により効果が強まります。そのためこれらの薬を飲んでいる患者様にはグレープフルーツなどの柑橘類を摂取しないようにお伝えします。
しかし、調剤薬局で「グレープフルーツやスウィーティーや〇〇などの柑橘類は食べてはダメだけど、温州ミカンやレモンは食べても大丈夫ですよ」と言われたところで、すぐに覚えられる患者様はなかなかいないように感じます。
私は暗記力が乏しいために、“ポン酢に含まれている”すだち“は影響を与えないグループだったかしら?”と記憶があいまいになることが多々あります。そこで、
今回は、“グレープフルーツなどの柑橘類”を覚えるための方法を検討しました
最初に、柑橘類に含まれるフラノクマリン類の濃度を確認してみたところ
グレープフルーツ ≒ ブンタン(ザボン):フラノクマリン類濃度が10~30μM程度
であることがわかりました。グレープフルーツはブンタン(ザボン)よりも一般的にメジャーな果物なので、ブンタンではなくグレープフルーツが代表として添付文書に記されているのかなぁと感じました。
次に、柑橘類のルーツをたどってみたところ
ブンタン(ザボン)の自然交雑によって
・グレープフルーツ
・夏みかん
・ハッサク
が生み出されていることがわかりました。
さらに
グレープフルーツとブンタンの交雑種として
スウィーティー(オロブランコ)が生み出され、
ブンタンとマンダリンの交雑種として
ダイダイ(サワーオレンジ/ビターオレンジ)が生み出されていることがわかりました。
そして、ブンタンから派生した上記の柑橘類がフラノクマリン類を多く含むため“食べてはいけない柑橘類”と表記している医療機関・医療サイトが多いことがわかりました。
あとはブンタンの種類として絹皮や晩白柚(ばんぺいゆ)を“食べてはいけない柑橘類”として記しているホームページもありますが、このあたりは“ブンタン類”と考えます。ブンタン類は漢字表記されることが多いという特徴がありました。
ここまでの内容をまとめますと
ブンタンから派生した柑橘類(グレープフルーツ類)には“フラノクマリン類”が多く含まれるため、Ca拮抗剤などの薬を服用している方は食べないということがわかりました。
つぎに、これらの柑橘類を自分が覚える方法・患者様に覚えていただく方法について考えました。
Ⅰ:「皮が分厚い柑橘類は食べないようにしましょう」
私が学生のときはこのように習いました。非常に覚えやすい文言に感じます。これが答えでいいかと思います。
Ⅱ:「ブンタンから交配した柑橘類は食べないようにしましょう」
情報としては正確ですが、非常にわかりにくい表現に感じます。スマートフォンなどのタブレット端末が普及しており、自分で検索できる時代ですので、“調べる”習慣がある方にはこの説明でもいいのかもしれません。
Ⅲ:「8代目、夏美とブンタがスイートへ」
グレープフルーツを除く上記の柑橘類を並べて5・7・5のゴロを作りました。
8:ハッサク
代:ダイダイ
夏美:夏みかん
ブンタ:ブンタン(ザボン)
スウィート:スウィーティー
“食べてはいけない柑橘類”を具体的に覚えたい方がいるかどうかはわかりません。もし“柑橘類が大好物“の方にCa拮抗剤、リピトール、ハルシオン、プレタールが処方されることがあれば、ゴロが何かのタシになるかもしれません。
ブンタンに含まれるフラノクマリン濃度