おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

ジェネリック医薬品(後発医薬品) 抗がん剤 降圧剤

ヒドロクロロチアジドの累積服用量と基底細胞癌・扁平上皮癌の発症リスクについて

投稿日:2018年4月15日 更新日:

ヒドロクロロチアジドの累積服用量と基底細胞癌・扁平上皮癌の発症リスクについて

 

日本国内での使用量はそれほど多くありませんが、海外で利尿・降圧剤として頻用されているヒドロクロロチアジドについて興味深い報告がありました。ヒドロクロロチアジドの使用量に比して基底細胞癌・扁平上皮癌(非メラノーマ皮膚がん)の発症リスクが上昇するという報告をデンマークの研究チームが行いました。

以前からヒドロクロロチアジドを服用している患者さんで、日光にあたると皮膚の発疹・腫脹・色素沈着などの皮疹に関する副作用が報告されており、口唇癌の発症リスクについての関連性が指摘されていました。

 

今回のデンマークの研究チームの報告は、累積ヒドロクロロチアジドの使用量(1995〜2012年)と基底細胞癌・扁平上皮癌(非メラノーマ皮膚癌)の発症リスクについてオッズ比を用いて報告しています。

ヒドロクロロチアジドと非メラノーマ皮膚癌の発症リスクについて

hydrochlorothiazid

hydrochlorothiazid

結果

ヒドロクロロチアジドの累積服用量が5万mg以上の郡

基底細胞癌の発症リスク:1.29倍

扁平上皮癌の発症リスク:3.98倍

 

ヒドロクロロチアジドの累積服用量が20万mg以上の郡

基底細胞癌の発症リスク:1.54倍

扁平上皮癌の発症リスク:7.38倍

 

ヒドロクロロチアジドの累積使用量と上記癌の発症リスクについては用量反応関係を示しております。また、他の利尿薬や降圧剤の使用では基底細胞癌・扁平上皮癌の発症リスクとの関連性は認められなかったと報告しています。

医薬品による光毒性と光アレルギーについて

国内で使用されているヒドロクロロチアジド錠

エカード配合錠LD/HD:ヒドロクロロチアジドを6.25mg含む

コディオ配合錠MD:ヒドロクロロチアジドを6.25mg含む

コディオ配合錠HD:ヒドロクロロチアジドを12.5mg含む

プレミネント配合錠LD/HD:ヒドロクロロチアジドを12.5mg含む

ミカトリオ配合錠:ヒドロクロロチアジドを12.5mg含む

私的にはヒドロクロロチアジドは、上記のような配合錠の出始めの頃にARBとの合剤として使われていた印象があります。国内におけるヒドロクロロチアジドの使用例はARBによる降圧作用の補佐的な“塩抜き”の役割として使われることが多いように感じます。

 

上記の使用量で1日1回ヒドロクロロチアジドを服用した場合、累積使用量が5万mg以上となるまでには6.25mgで22年、12.5mgで11年の服用期間を要します。さらに累積使用量が20万mg以上となるまでには6.25mgで88年、12.5mgで44年という歳月の間、ヒドロクロロチアジドを服用し続ける計算となります。

(非メラノーマ皮膚癌の発症リスクに関しては日光(紫外線)の照射時間が主要リスク因子となりますので、生活環境における紫外線による侵襲性リスクを最優先で考慮する必要があるかと思います)

この報告では欧米で頻用されているヒドロクロロチアジドについてものでしたが、日本国内では同類薬であるフルイトラン(トリクロルメチアジド)が頻用されています。どちらもサイアザイド系(チアジド系)利尿薬であり光線過敏症・発疹といった副作用が報告されています。一般的にチアジド系利尿薬には光線過敏症の副作用に注意が必要と言われておりましたので、今回の報告を受けて、フルイトランに関しても累積使用量を確認してみてもいいのかもしれません。

ヒドロクロロチアジドと非メラノーマ皮膚癌の発症リスクについて

-ジェネリック医薬品(後発医薬品), 抗がん剤, 降圧剤
-チアジド系, トリクロルメチアジド, ヒドロクロロチアジド, フルイトラン, 利尿薬, 基底細胞癌, 扁平上皮癌, 皮膚癌, 非メラノーマ皮膚癌

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

foundation-One-CDx

がん遺伝子パネル検査FoundationOneCDxとは

がん遺伝子パネル検査FoundationOneCDxとは   がん遺伝子パネル検査FoundationOneCDx(中外製薬)とOncoGuideNCCオンコパネルシステム(シスメックス)が …

generic-drugus-H30-4-1

後発医薬品の薬価見直しにより価格乖離の大きい品目が統一名収載となる(平成30年4月1日薬価改定)

後発医薬品の薬価見直しにより価格乖離の大きい品目が統一名収載となる(平成30年4月1日薬価改定) 平成30年4月1日以降の薬価が公開されましたが、その中で価格乖離の大きい後発医薬品が続々と統一名収載へ …

colorectal-cancer

抗菌薬の使用量が多いと結腸癌リスクが若干上昇する

抗菌薬の使用量が多いと結腸癌リスクが若干上昇する   抗菌薬(抗生剤)の使用量が増えると、近位結腸癌の発生リスクが“わずかに”高まるというデータが公開されました。しかし、筆者らは文末で結腸癌 …

AG薬が発売された薬の薬価をどんどん下げましょうというルールについて

AG薬が発売された薬の薬価をどんどん下げましょうというルールについて   2019年6月26日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会薬価専門部会にて、薬価算定に関する話し合いが行われます。話し …

Lynparza

リムパーザ錠が発売開始/海外では転移性乳がんでの治療を目的とした臨床試験データ開示

リムパーザ錠が発売開始/海外では転移性乳がんでの治療を目的とした臨床試験データ開示   2018年4月18日、リムパーザ錠100mg/150mgの発売が開始されました。 適応症:白金系抗悪性 …

  google adsense




2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年4月薬価改定 新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

おじさん薬剤師の働き方

how-to-work

薬剤師の育成について

how-to-bring-upo

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト




how-to-work