魚の目に対するスピール膏のはたらき(自分まとめ)
スピール膏はサリチル酸が50%含有された貼付剤です。魚の目に使用することで患部を柔らかくして角化した魚の目を少しずつ小さくしていく作用が期待されます。
スピール膏の薬理作用を記します。(自分まとめ)
スピール膏(サリチル酸50%貼付)による皮膚軟化のメカニズム
サリチル酸(Salicylic acid)は、ベータヒドロキシ酸(BHA)に分類される脂溶性の有機酸で、皮膚科領域では角質軟化剤として広く使用されています。50%という高濃度で貼付する場合、特に魚の目(鶏眼)やタコ(胼胝)などの角化病変に対して強力な作用を発揮します。
作用機序の詳細
角質溶解作用(ケラトリティック作用)
- サリチル酸は角質層のケラチンタンパク質を変性させ、角質細胞間の結合を弱めます。
- 特に高濃度では、角質細胞そのものを破壊することで、肥厚した角質を剥離させます。
角質解離作用(デスモリティック作用)
- 最新の皮膚科学では、サリチル酸はデスモソーム(細胞間接着構造)を緩めることで、角質細胞の自然な剥離を促進するとされています。
- これにより、皮膚表面が柔らかくなり、滑らかになるのです。
脂溶性による浸透性
- サリチル酸は脂溶性のため、皮脂に馴染みやすく、角質層の深部まで浸透します。
- これが、硬くなった皮膚を内側から柔らかくする要因となります。
抗菌・抗炎症作用
- 白癬菌などの微生物に対して抗菌性を持ち、炎症を抑える作用もあります。
- これにより、病変部位の衛生状態を改善し、治癒を促進します。
スピール膏の使い方
スピール膏は、魚の目・タコ・いぼなどの角質が硬くなった皮膚疾患に用いられるサリチル酸50%配合の貼付薬です。正しく使うことで、患部を軟化させて除去しやすくなります。
🔧 基本的な使用手順
患部の清潔化と乾燥
- 入浴後など、皮膚が清潔で柔らかくなっているタイミングが理想的です。
- 水分をしっかり拭き取り、乾燥させてから貼付します。
スピール膏のサイズ調整
- 患部より少し小さめに切り取るのがポイント。
- 大きすぎると正常な皮膚まで軟化し、痛みや炎症の原因になります。
貼付と固定
- 切り取ったスピール膏を患部の中心に貼り、絆創膏や固定用テープでしっかり固定。テーピングテープなど粘着性がつよいテープ剤で補強するのもありです。
- 市販品には固定用テープや保護パッドが付属しているものもあります。
貼付期間
- 2〜5日間貼りっぱなしにすることで、サリチル酸が十分に浸透するというのが使い方のルールとされていますが、実際は毎日、入浴後に貼りかえる方が現実的な使い方に感じます。
角質の除去
- 剥がした後、白くなった角質を消毒済みのピンセットや爪切りなどで、痛みのない範囲で除去します。
- 無理に剥がすと出血や感染のリスクがあるため、慎重におこないましょう。
繰り返し処置
- 完全に除去できない場合は、再度スピール膏を貼って同じ手順を繰り返します。
使用上の注意点
- 患部より大きく貼らないこと(正常皮膚が傷む可能性あり)。
- 入浴中も貼ったままでOKですが、はがれないよう注意。
治療後のケア
- 角質除去後は、患部が陥没することがありますが、新しい皮膚が再生されるので心配不要です。
- 清潔を保ち、必要に応じて絆創膏などで保護しましょう。

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