おじさん薬剤師の日記

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アトモキセチン(ストラテラのGE)各社が自主回収をした経緯(2025/10/23)

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アトモキセチン(ストラテラのGE)各社が自主回収をした経緯(2025/10/23)

アトモキセチン(ストラテラのGE)を発売している5社が相次いて自主回収を行っています。

2024年8月にニトロソアミン類の許容限度値が100ng/日と厚生労働省が定めましたが、アトモキセチンに関してはこの基準を満たして製造することが難しいと判断され、2025年6月に「暫定管理値」として670ng/日まで上限を引き上げて医薬品の流通を優先させました。

ちなみにこの暫定管理値670ng/日とは、欧州医薬品庁のガイダンスで設定されている値です。

アトモキセチンを製造販売しているメーカーはニトロソアミン類について670ng/日を下回ることを担保として医薬品の製造販売を実施してきました。

しかし、2025年10月20日にアトモキセチンを販売している第一三共エスファ、東和、ニプロ、高田、ヴィアトリスの5社は一部のロットで暫定管理値を上回るニトロソアミン類が検出されたとして一斉に自主回収を行ったという状況となっています。

自主回収をおこなっていないメーカーとしては日本ジェネリックがあります。日本ジェネリックのホームページには

「医薬品に含まれるニトロソアミン類の体系的リスク評価手法に基づくリスクコミュニケーションガイダンス」に従い情報提供致します。

すでに市場に流通しているロットについては、現時点におきましては、海外ガイドラインに基づき設定した暫定管理値(5.583ppm)を下回ることから、自主回収や処方の停止などの措置は必要ないと判断しております。

と記されており、販売を継続する旨が記されています。

アトモキセチン「JG」販売継続

ストラテラのGE「アトモキセチン「トーワ」がニトロソアミン類の限度値を10分の1に抑えることに成功

ストラテラカプセルやそのジェネリック医薬品についての情報です。

2025年現在、先発医薬品のストラテラカプセルやそのGEについて、製造工程においてニトロソアミンが含有してしまうという事情があり、一部メーカーでは製造を休止している状況となっています。

その中にあって、東和薬品は「発がん性物質のニトロソアミン類」に関して1日許容摂取量の限度値100ngをクリアしたことを明らかにしました。

東和薬品は、ニトロソアミン類に関する取り組み状況を紹介しており、国が定めた限度値100ng/日の約10分の1に検出値をおさえることに成功したとしています。

その背景として、外気の取り込み口に窒素酸化物吸収フィルターを装着することで、アミン類と反応する窒素酸化物の流入を防ぐことに成功したとしています。

製品に関しては2025年6月から窒素酸化物吸収フィルターを装着した各工場にて製造しているとしています。

東和薬品によるニトロソアミン類を低減する取り組み

 

ストラテラカプセルのジェネリック医薬品“アトモキセチン”の各社比較データ

 

ストラテラカプセルのジェネリック医薬品が2018年12月に発売予定となっております。今回は各社から発売予定となっているジェネリック医薬品の特徴をまとめてみました。

 

ストラテラカプセルの特徴

 

ストラテラカプセルには5mg、10mg、25mg、40mgという4つの規格があり、各カプセルは色がことなります(5mg:橙、10mg:白、25mg: 青白、40mg:青)。サイズは3号カプセル(縦15.8mm、横5.85mm、重さ280mg)というサイズで、すべて同じ大きさとなっております。

 

2018年12月発売のジェネリック医薬品について

 

~カプセル製品~

 

アトモキセチンカプセル「日医工」

先発品に一番近い製品はどれ?と患者様に質問をうけたら「日医工」と答えます。

色は先発品と同じ配色です(5mg:橙、10mg:白、25mg: 青白、40mg:青)。

カプセルサイズは5mg、10mg、25mg、40mgすべての規格で先発と同じサイズの3号カプセルが採用されています。添加物はすべての規格で先発と同じものが使われております。

 

添付文書には10mg、40mgの薬物動態が記されております。(5mgは10mgと溶出挙動が同等、25mgは40mgと溶出挙動が同等と記されています。

「サワイ」のアトモキセチンカプセル40mgと「日医工」のアトモキセチンカプセル40mgの薬物動態が同じです。

2018年8月15日承認、12月発売予定の後発医薬品リスト(2018年8月15日承認)

アトモキセチンカプセル「サワイ」

色は先発品と同じ配色です(5mg:橙、10mg:白、25mg: 青白、40mg:青)。

カプセルサイズは5mg、10mg、25mgが2回り小さいサイズのカプセル5号(縦:11.1mm、重さ103mg)を採用しています。40mgだけは先発と同じサイズの3号カプセルとなっています。添加物はすべての規格で先発と同じものが使われております。

 

添付文書には10mg、25mg、40mgの薬物動態が記されております。他メーカーは1規格の薬物動態を記しているものが多い中、サワイは3規格の薬物動態を載せておりますので、患者様から各規格の情報開示を求められたときに対応しやすい製剤となっております。

「サワイ」のアトモキセチンカプセル40mgと「日医工」のアトモキセチンカプセル40mgの薬物動態が同じです

トラムセット配合錠のジェネリック“トアラセット配合錠”のメーカー比較

アトモキセチンカプセル「ファイザー」

色は先発品と同じ配色です(5mg:橙、10mg:白、25mg: 青白、40mg:青)。

カプセルサイズは5mgが先発品と比べて2回り小さいサイズのカプセル5号(縦:11.1mm、重さ103mg)を採用しています。10mg、25mg 40mgは先発と同じサイズの3号カプセルを採用しています。添加物はすべての規格で先発と異なります。カプセルを小さくすることで飲みやすさを改善していることがポイントです。

 

添付文書には40mgについての薬物動態パラメーターが記されております。5mg、10mg、25mgについては40mgと溶出挙動が等しいため同等という記述となっております。

~錠剤~

 

アトモキセチン「DSEP」「トーワ」「ニプロ」

上記3メーカーは薬物動態・錠剤径が同じであることから同一製品と思われます。

 

先発品がカプセル剤であるのに対して、ジェネリック医薬品を普通錠として販売することが一番のポイントです。錠剤径でいいますと

先発品カプセル40mg:長さ15.8mm、幅5.85mm、重さ280mg

ジェネリック錠剤40mg:長さ:8.6mm、幅3.7mm、重さ207mg

リフレックス/レメロン錠のジェネリック医薬品ミルタザピン錠の製剤比較

ジェネリック品は錠剤とすることで先発品の半分ほどのサイズに改善していることがわかります。ストラテラカプセル40mgを1回に3カプセルを定期服用している大人の患者様にとっては錠剤40mgを3錠飲む方が、ずっと飲みやすくなることが期待されます。

 

5mg、10mg、25mg、40mg錠はすべて白色錠剤で、添加物リストは先発品と異なります。(カプセルから錠剤への変更ですので錠剤を固めるために成分が後発品の製造に必要なためです)。また、錠剤の商品ではPTP70錠入りという包装を販売するメーカーもあります。

 

添付文書には40mgについての薬物動態パラメーターが記されております。5mg、10mg、25mgについては40mgと溶出挙動が等しいため同等という記述となっております。

 

アトモキセチン錠「タカタ」

 

「タカタ」から発売されるアトモキセチンも錠剤タイプです。特徴は規格によって錠剤の色、形が異なることです。

5mg:淡黄色、10mg:白色円形、25mg:薄い赤色、40mg:白色楕円

 

薬局としては調剤過誤を防止する観点から視覚的な違いというのは有益なポイントに感じます。40mg製品は楕円形なのですが、先発品とサイズを比較してみると

先発品カプセル40mg:長さ15.8mm、幅5.85mm、重さ280mg

40mg「タカタ」:長径12.7mm、短径:6mm、厚さ:4.5mm、重さ290mg

トラムセット配合錠のジェネリック“トアラセット配合錠”のメーカー比較

先発品と同じか、一回り程小さい感じに見受けられますので、飲みにくくなることはないと思います。販売包装は先発同様PTP140のみです。

 

添付文書には40mgについての薬物動態パラメーターが記されております。5mg、10mg、25mgについては40mgと溶出挙動が等しいため同等という記述となっております。

tab3

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まとめ

・発売されるジェネリック医薬品の薬物動態の(AUC)は先発品と比較して100~103%の範囲にまとまっており非常に精度の高い後発医薬品が発売されると感じました。

 

・ストラテラカプセルのジェネリック医薬品の剤形にはカプセル剤と錠剤があります。

 

・カプセル剤を発売するメーカーの特徴としては、カプセルの色についてはどのメーカーも先発品と同じ配色です。

 

・カプセル剤を販売するメーカーで、先発品に一番類似している商品は「日医工」です。(先発品と添加物リストが同じ、カプセルのサイズ(3号硬)が同じ)

 

・カプセル剤を販売する「サワイ」、「ファイザー」はカプセルのサイズを小さくすることで飲みやすさを改善しています。

 

・錠剤を販売する「トーワ」「DSEP」「ニプロ」の製品は薬物動態・錠剤径がすべて同じであることから同一製剤と思われます。先発品がカプセルであるのに対して後発品が錠剤ですので添加物が異なります。錠剤径が小さくなっておりますので飲みやすいと思います。

 

・錠剤を販売する「タカタ」は錠剤の色・形を規格ごとに変えることで調剤過誤の防止が期待されます。

2018年8月15日承認、12月発売予定の後発医薬品リスト(2018年8月15日承認)

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執筆者:ojiyaku


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